新しい資本主義
著者 原丈人
数々のベンチャーを世界的企業に育成したシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストが、日本を舞台に未来を語る。アメリカ発の金融危機は、市場万能・株主至上の金融資本主義...
新しい資本主義
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商品説明
数々のベンチャーを世界的企業に育成したシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストが、日本を舞台に未来を語る。アメリカ発の金融危機は、市場万能・株主至上の金融資本主義の欠陥を露呈した。2003年時点ですでにこの事態を予見していた著者は、格差も恐慌も打ち破る究極の解決策を提言する。「ストックオプションは即刻禁止せよ」「エネルギーと食糧は自由競争だけに任せるな」「5年以上株式を保有する人だけの市場をつくれ」「投資減税で新技術開発への資金を促せ」「コンピュータに代わる新たなテクノロジーを生み出せ」。マネーゲームに明け暮れるファンドの横暴を止め、終焉が近いパソコンに代わる新しい基幹産業の創生をめざす。バブル頼みの「幻の好景気」から、みんなが恩恵を受ける「本物の好景気」へ。日本こそが、この新しい資本主義の担い手となれる!処女作『21世紀の国富論』(平凡社)で一躍、時の人となった著者の第二作。
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皆が恩恵を受けられる真の好景気を生むための資本主義を説いた書です!
2018/08/24 09:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、これまで世界が経験してきた幻の、バブルとも言える好景気、一部の投資家だけが利益を生む資本主義などを真っ向から否定し、すべての人々が恩恵を受けられる真の好景気を生む資本主義の実現を目指すために必要な施策を説いた書です。近年、アメリカの発の金融危機によって、市場万能主義の資本主義の欠点が露呈されました。そこで、本書は真の資本主義の実現のためにストックオプションの禁止、五年以上の株主だけの市場の形成、投資減税で新技術開発の促進などを提言しています。今後の資本主義を見据えた良書です。
新たな幸福の価値基準
2009/05/02 18:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原丈人さんの本の出だしは結構ざっくりしている。
原さんはベンチャーキャピタリストというまだ見ぬ価値の産婆さんなので、
自分の仕事の限界と可能性が見えていて、そんな前提の上でこんなことを
冒頭でさらっと書いてしまう。
「幸せ」を数式で表すことが出来るだろうか。
人間の感情を数式で表すことが出来るだろうか。
新しい技術の芽はどこにあるかを数式が教えてくれるだろうか。
私は、幸せも人間の感情も数式で表せないと思うし、新しい技術の芽は
数式「だけ」ではわからないと思うから、本書は冒頭から心地よかった。
数式なんかで表されてたまるか!というのが人の気概であって、それでも
数式で表してやろうという人がいるのが、人の科学的知性だと思うので、
原さんのような価値観が広まるのは、人の世にとって、悪くない。
原さんの目は、国家の経済指標や財務諸表やチャートにばかり向いて
いない。その視線は、ウォール街の常識に染まったエリートの眼差しを
冷静に見据えているし、同じ視線がディーラーの近くで働いている
低賃金の清掃員にも注がれているように感じるし、また同じテンションで
空間的にはぜんぜん異なる途上国の、ごく普通に貧乏している人々を
見ているように感じさせる。更にはそうやって日々を生きる人々の
心と胃腸のなかにまで視線が届いているように思える。
本書で原さんが論じる新しい資本主義=公益資本主義は、資本のための
資本主義ではなく、人の幸福のための、貧困をなくすための資本主義で、
金融資本主義というひとつの価値観が崩壊したいま、能力のある人間が
公益というスタートラインに立つことは非常に意義がある。
まずはざっくりとでもいい、なんといってもこれからの価値を見出すのが、ベンチャーキャピタリストで、どんな技術が必要なのかも、貧困のない
幸福な世の中というざっくりとしたものから逆算で探り出していけば
良い訳だ。
もうひとつ、本書が前著の『21世紀の国富論』から一歩進んでいると
感じさせるのは、幸せは数式で表せないと強調しつつも、それでも
公益資本主義の指標を提示している点だ。それは3つあって、「公平性」と
「持続性」と「改良改善性」である。ある活動を進めていくにあたり、
価値基準をどこに設定するかは本当に難しい課題で、それこそが
時代の哲学であると思う。この指標が正しいのかどうか、それは
原さんの活動に関わった人の生活そのものの中にしかない。
(でもそれは実は金融資本主義でも同じで、金融エリートは果たして
いま幸福なのだろうか?)いずれにしろ、その測りがたさが原さんの
主張の一般的弱さであり、時代の息吹を感じる人への強さでもある
理想には賛同するが,説得力がある議論だとはいえない
2009/04/29 18:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
論旨はおなじ著者による「21 世紀の国富論」にちかい.崩壊した金融資本主義を批判し,ベンチャー的ものづくりの価値を主張している.著者はあたらしい産業には「コア技術」が必要だと主張しているが,自身が提言している PUC (パーベイシブ・ユビキタス・コンピューティング) という概念や,それをささえるものとして IFX 理論 (インデックス・ファブリック理論) からうまれることを期待している.そして,開発投資の対象をきめるのに各分野の専門家がえらんだ企業に優先的に投資するしくみを提案している.マイクロクレジットというような途上国における起業のしくみや日本の途上国援助にもふれている.
タイトルの「新しい資本主義」とは「公益資本主義」だという.それをささえる経済学も組織的に研究しているというが,経済学がつくれたからといってそれを実現させるのは困難なことだろう.かかげた理想には賛同するが,説得力がある議論だとはいえない.