紙の本
「人間喜劇」はまだまだ続く
2021/01/13 21:58
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人間喜劇」の中から訳者の宮下氏が短編を4つ「グランド・ブルテーシュ奇譚」「ことづて」「ファチーノ・カーネ」「マダム・フィルミアーニ」、評論を1つ「書籍業の現状について」を選んで翻訳している。私はフランス古典文学が好きで、とくに立身出世を目指して汗まみれになっている人間を見事に滑稽に浮き彫りにしてゆくバルザックの作品は私にとってはその頂点と思えるのだが、何せ「人間喜劇」は全部で90編はあるというのだから読破できるのはまだ先の話だろう。私はベネチア貴族がとんでもなかった人生を主人公に語って聞かせる「ファチーノ・カーネ」と妻の浮気に対してとんでもない仕返しをする「グランド・ブルテーシュ奇譚」がいい、妻に夫が言い放つ「あそこにはだれもいないと、きみは十字架にかけて誓ったではないか」という科白が怖い
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グランドブルテーシュ奇譚
2018/05/15 23:20
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作は語りの手が混んでいて、やはりある地方の夫人の道ならぬ不倫を描いている。衝撃的なのは、不倫された夫が不倫している妻に言い放つ言葉。他にも本編が始まる前がユニークな『マダム・フィルミアーニ』や、バルザックらしからぬ好篇『ことづて』と良い短篇を入れていて、肩肘張らずに読むことができる。文豪バルザックの多彩さを実感できる一冊。
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グランド・ブルテーシュ奇譚
ことづて = Le message|| ファチーノ・カーネ = Facino Cane|| マダム・フィルミアーニ = Madame Firmiani|| 書籍業の現状について = De l'etat actuel de la librarie
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なんか私には物足りん!
私の中の人間喜劇的には、正直チョイスがびみょ〜ん…ような、気が。
びみょんでもいい、人間喜劇の新邦訳出すなら、誰か禁治産とかピエール・グラスーとか無神論者のミサとかアルシの代議士(未完)とかを、お願いしますです。
っかいっそ、人間喜劇の完全版全集出して下さいお願いします。
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暇つぶしにしかならなかった。この作品集に特別の価値があるとは思えない。
ただ、つまらなくはなかった。
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はじめて読むバルザック。短編だからなのか、読みやすい。語り口が、シャーロックホームズの短編に似てる。19世紀ヨーロッパの共通構造なんでしょうか。
次は長編かな。
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俺の好きなバルザック作品たちとは毛色がやや違うという印象。
やっぱりバルザックの本領は長編だと思う。
「グランド・ブルテーシュ奇譚」
浮気妻のほうもなかなか肝が据わっているが、こわは旦那がかなりツワモノ。話の本筋はまあベタか。個人的には旦那が死んだ真の理由を想像するのが楽しい。★★★
「ことづて」
いやあ恋愛は素晴らしいですなあ、と素直に思っておけばいいんですかね。★★★
「ファチーノ・カーネ」
事実か、妄想か。自分にとっての真実が、必ずしも他人にとってもそうとは限らないのです。★★★★
「マダム・フィルミアーニ」
いやいや、ここまで純粋だともはやファンタジーでしょ。★★★
「書籍業の現状について」
出版社・取次・書店の無駄なマージン挟みまくりの構造は、昔っからの慣例なんだなあ。★★★
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「人間喜劇」から4編を選んで編まれた短編集。訳はラブレーの宮下さん。
とにかく表題作が良いんだけど、どれを読んでもバルザックはやっぱりいいなとしみじみと感じていた。バルザックの皮肉はよい。
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(2010/01/22購入)(2010/01/24読了)
以前からバルザックを読んでみたかったので。
「グランド・ブルテーシュ奇譚 」
こういう話し好きだ。
ところで、スペイン人青年の死体はそのままなのか?
━━ あそこにはだれもいないと、きみは十字架にかけて誓ったではないか。
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トルコ人にとってアヘンに夢想を求めたように、ヨーロッパ人の想像力は読書が文学に求める感覚的刺激によって育まれるのだ。啓蒙の光が広がり、教育費用の低下、コミュニケーションの高速化といったものが、書物の生産をごく当たり前のことにした。
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19世紀フランスの作家バルザック(1799-1850)の短編4編と評論1編。大都市パリの喧噪と汚濁に塗れながら、もはや「回帰すべき田園」も無ければそこで幻想されていた「人間の本来性」なるものも喪失してしまっていることを痛切に認識し、近代社会という暴力的に運動する機構のなかで落魄した群衆の匿名的な情念と生理の有象無象それ自体のうちに何か美的なものを見出す新たな美意識を、ボードレール(1821-1867)に先駆けて描いている。この現代的な美意識にあっては、ギリシア以来古典的な「真-善-美」の三位一体が解体されている。
「英雄や発明家、街の物知りや、ごろつき、悪人、有徳の士や背徳者。だれもが貧困に押しつぶされ、困窮に窒息し、酒におぼれ、強烈なリキュールで精神を鈍磨している。・・・。この悲しみの町で、どれほどの冒険が敗北を喫し、どれほどのドラマが忘れ去られてしまうのか、あなたには想像もつかないにちがいない。そこには、おそろしいできごとや、すばらしいことが、いくらでもあるのだ! 想像力だけでは、そこに隠されている真実にまでは届かず、また、だれも彼らの中に入りこんで真実を発見できはしない。悲劇にせよ喜劇にせよ、こうした驚嘆すべきシーン、いわば偶然が生み出した傑作を見いだすにはどん底にまで降りていく必要があるのだ」(「ファチーノ・カーネ」1836年)
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バルザックの本を余り面白いと思って読んだ事は、実はあまりなかった。もったいない事をしていたのかもしれない。そして、宮下訳はいつも期待通りの面白さがある。短編の選び方にもセンスがあると思う。
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バルザックはやっぱり面白い!
谷間の百合、ゴリオ爺さんの次に読んだこの短編集。
表題作の浮気する妻への夫の復讐の話と、お金の話、ファチーノ・カーネが好き。
素直に読み終わって違和感を覚えたマダム・フィルミアーニはフィルミアーニ夫人は死亡確認書や遺言など、必ず手に入ると信じていたからこその行動なんじゃないかと邪推。それに見事に騙される男達、と見たら面白いんですが…。
是非人間喜劇全てを文庫化してほしい。
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『グランド・ブルテーシュ奇譚』という短編ののっけから、
ホラーでぶっとぶような話。
≪人間喜劇≫と解説ではあるけど、どちらかというとトラジティー寄りではないかと思う。
グレート・バルザック。
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バルザックの本を初めて読んだ。5篇の短編集で一番気に入ったのはファチーノカーネかな。それ以外も読み応えはあったけど、エンディングが結構童話集でお決まりのパターンという感じのものが多かった。でも内容の節々に哲学的な要素が含まれていて、マダムフィルミアーニに至ってはかなり特殊な始まり方をしていて私にとって新鮮に感じられた.
一つだけエッセイが載っていた。19世紀のパリの書籍業についてでもっともな批評が書いてあった。