紙の本
江戸人が生んだ鼠色
2020/10/30 14:52
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっと本筋から離れてしまいますが、江戸の粋人たちが、豪奢な装いを抑圧した権力への反発から作り出した様々な色合いの鼠色の話が気になりました。
まとうことを許された鼠色に鮮やかな色をほんの少し混ぜる知恵。紅を一滴桜鼠色、藍をおとして藍鼠...といった内容が描かれていて、粋を尊んだといわれる江戸の人だから、それはさぞやたくさんの鼠色が生まれただろうなぁ...と。
紙の本
続きをただただ読みたい
2015/03/26 06:32
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
"三つの序奏—あとがきにかえて"で全ての短編に第1章となっていると書かれています。なんかしまらないと思っていましたがそういうわけでした。そうなるとどれも続きが読みたくなってくるのですが、あえて一つ選ぶとしたら「一角獣」ですかね。モルト氏、気に入りました。
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ジャケ買いしてしまった・・
買ってよかった。
読んでよかった。
つぼの奥をくすぐられる感じ?
読み終わった後、口の端(口角)が3ミリあがるくらいのにんまり感がたまらない。
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『つむじ風食堂の夜』のようなわかりやすさ、親しみやすさ、暖かさはないものの味わい深い短篇(?)集。表題作よりも最初の話が好きだったり。
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こういうミラーワールドのような設定、好きだなあ。
村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』のように整然としたスタイルはとっていなくても。
1人称と3人称の世界。
語る私と語られる彼女。
これは続くかもしれないし、続かないかもしれない「第1章」だけの短編集。
私は続きが読みたい。
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僕は天上で暮らす“朗読鼠”。地上の作家が三人称で小説を書く時に、第三の声となってサポートするのが仕事だ。ある日、担当する作家の船山鉄夫君が、突然、予定を変更して一人称小説を書き始めてしまい…。笑いと哀しみをくぐりぬける小さな冒険を描いた表題作他二編を収録。この世ならぬ不思議な喜びを届ける、三つの始まりの物語。
朗読鼠、不思議な話だった。
なんでか、イメージは西島さん。
映像化するなら、彼以外いない気がする。
不思議な世界だけど、引き込まれたな。
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百鼠、という仕事。
一角獣を思わせる自転車。
想像力をかきたてられつつも、「えっ、これでおしまい?」な気分が強かったのです。
すべてがすべて、そうだったわけではありません。
物足りない感覚を楽しむべきなのでしょうけれど・・・。
ちょっとしたお話を(趣味で、たまーに)書く身としては、一つの区切りだけでなく、全体が完成した状態で楽しみたいですね。
続きもののお話を追うのは楽しいんですが、それも確実に続けばこそ。
そんなわけで評価は低めの☆3です。
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モルト氏と彼の恋人、お互いの兄妹の話、「一角獣」
地上の三人称小説は天上の“朗読鼠”によるもの。そんな世界で禁じられた一人称に惹かれてしまった鼠の話、「百鼠」
小説家の母を持つ娘が京都に向かう話、「到来」
3つの長編小説(?)の第一章を集めた短編集。
共通項は一人称と三人称。そして鼠色の雲と雷。
それぞれ違った味わいだけど、どれも浮世離れした世界観。全部好き。
百鼠はぜひ長編で読みたい。
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吉田さんの物語はいつも進むのが勿体無いくらいに素敵な言葉で物語が構成されています。
今回は物語の1章のみを集めたものだからか、
自分の心が素直じゃなかったのか、これまで読んだものの中では淡々と読んでしまいました。
でも相変わらず主人公が過ごす空間を自然と思い描きながら楽しめるところなんか大好きですね。不思議なお話なんだけど、物語の舞台の地図を感じながら読んでいる気がします。吉田さんの物語にはいつも独特な雰囲気のまちがあります。
また時間をおいて読み直します。
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一滴ずつ落ちる水を飲むように、大切に大切に読んできた
「百鼠」が終わった。淋しくてうれしくて淋しい。
三人称の小説しかない世界で、一人称の小説はどれほどの蠱惑
なのだろうか。
そろそろ一人称に疲れたので、できればそちらの世界へ。
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吉田さんのものがたりはやわらかい。
日常的な描写でもちょっとセピア色がかっている。
そういう世界がここちよい。
表題作「百鼠」の他に「到来」という短篇が集録。これもなかなか好きだった。
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短編が三本。再読。
「一角獣」中年男性の日常とか恋愛とか。よかった。
「百鼠」天上には、三人称の小説を書かせる、朗読鼠がいるのですよ。
「到来」吉田作品では、二十代前後の女子でも静かな生活を送っている。
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吉田さんらしいと思いました
この方の本は心がほっこりなるものが多いです
一角獣も百鼠も到来もどれも良かった
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この本は、表題作の他に〝一角獣〟と〝到来〟を合わせた3作品で構成されています。実はこの3作品、タイトルだけが先に頭に浮かんだそうです。あることをきっかけに、ふっと浮かんだ3つのタイトルを目次にした短編集を作りたい・・・そう思って同時並行で書き始めたら、それぞれが長編になりそうな雰囲気だったので、締め切りに間に合わすべく、とりあえずここに3つの作品の第1章のみを収めたという、変則的序章集になったみたいです。
これらの作品はまったく別の物語ですが、3作に共通しているテーマが〝人称〟です。〝一人称〟か〝三人称〟か・・・このことは小説を書く側にしても、読む側にとっても実に興味深いことがらですネ。
その後、第2章、第3章と書き継がれたのかどうか(おそらく書かれていないのではないかと思われます)はわかりませんが、第1章だけでもそれぞれ完結した形になっているので、中途半端な読後感にはなりません。ご安心を。
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言葉に対する観察の鋭さに、毎度ううむと唸らされる吉田作品。
文庫版のあとがきを読んで、それまでもやもやと漂っていた各話のピースが「なるほど!」とはまった感じがした。物語の世界が自分の中に定着するまで、何度か読み直したら、感想もまた変わりそう。