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商品説明
死せる禿鷹、生きるキャリアを走らす!史上最悪の悪徳警官が、死を賭して守った署内裏帳簿のコピー。それが、警察庁幹部によって葬り去られようとしていた。南米マフィアの復活と共に、血腥い暗闘の火蓋が切って落とされる。【「BOOK」データベースの商品解説】
史上最悪の悪徳警官が死を賭して守った署内裏帳簿のコピーをめぐって、神宮署、警察庁、東都ヘラルドの記者が動き出した。南米マフィアの復活と共に、血腥い暗闘の火蓋が切って落とされる! 『別冊文藝春秋』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
正義も悪も女性、っていうのがいいです。でもこのシリーズで巻を追って禿富がいい人間になっていくところがターミネーターみたいで面白くないというか、フツーかなって。ま、岩動の造形は凄いですけど・・・
2010/06/27 22:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
逢坂剛は私が好きな作家の一人ですが、シリーズ化が長く続いているもの、特に長編のものはマンネリ化が進んでいる印象を受けます。マンネリというより密度が薄くなっている、といったほうが正しいかもしれません。そのなかで例外としてあげたいのが一つは『重蔵始末』のシリーズで、もう一つが『禿富』シリーズです。重蔵シリーズは、今後、逢坂の代表的な仕事となる気配が濃厚で、それには連作というのがいいのかもしれません。
一方の禿富ですが、こちらは主人公が死んでしまって、マンネリ化する前にシリーズ自体が終わってしまいました。これは一つの見識で、止められなくなったシリーズの惨めな姿を晒さないで済んだわけです。と思っていたところにこの本の出版ニュースが飛び込んできました。げ、死んだはずだけど生きてたっていう展開? それじゃ公安シリーズじゃない、そういうのって上手くいくわけがないよ、なんて思ったわけです。
文藝春秋のHPには
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史上最悪の警官・禿富を超える悪徳女警部が暴れます
禿鷹が遺した裏帳簿のコピーをめぐり、神宮署、警察庁、東都ヘラルドの記者が動き出した。悪事は闇に葬られるのか。待望の新シリーズ
壮絶な死を遂げた悪徳刑事(デカ)・ハゲタカこと禿富鷹秋が同僚の御子柴(みこしば)に託した神宮署の裏帳簿のコピー。この処理をめぐり警察幹部、マスコミ、暴力団を巻き込んだ暗闘が始まった。警察幹部のスキャンダラスな趣味、コピーを手にした警部補の身辺に伸びる犯罪の網――壊滅の憂き目を見たはずの南米マフィアが新宿で復活、亡きハゲタカの追い落としにかかわった非道な女警部・岩動(いするぎ)と組み、渋六興業関係者に刺客を放つのだが……。人気シリーズのスピンアウト長編、今回は禿富未亡人が獅子奮迅の働きで夫の仇討ちに臨みます。ハゲタカの妻だけにタダの美女ではありません! ご期待ください。(OY)
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とあります。どうもここだけを読むと、禿富が生き返って復讐をするという気配はなさそうです。でも、読者の熱心な懇願があれば死者を甦らせることくらい何でもない、というのが作家です。渡邊伸綱のヘタウマな装画に気を許していると、何が起きるか分かりません。「禿富未亡人が獅子奮迅の働きで夫の仇討ちに臨みます」とありますが・・・
良くも悪くも女性が話の中心にいます。ともかく岩動寿満子が凄すぎます。まずです、性別はともかくとしてこんな人間に目をつけられたら、正直、生きていくのが厭になると思います。悪徳警官、どころか単に悪人が警察官になっただけといった方が正しい。しかもです、それが女で醜いとなると、これは堪りません。
その対極にいるのが禿富司津子です。ある意味、この女性を書きたかったんだな、って思います。ただ、今になって思うんですが、このシリーズってターミネーターですね。第一話では主人公は悪の存在です。それが第二話で強面の良い人間になってしまう。最後はみんなから慕われてしまう。いいんですけど、たまには本物の悪徳警官が主人公でもいいなって。ま、岩動が主人公って言うのは御免こうむりたいですけど・・・
最後は構成とデータですが、プロローグ、本文48章、エピローグとなっていて、初出は「別冊文藝春秋」2008年7月号~2009年11月号、装丁は関口聖司です。