紙の本
空海は使えなかった 「ン」
2019/10/09 08:52
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投稿者:kaneyoshi - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本橋は、なぜ Nihombashi と書かれているのか?
古事記・日本書紀・万葉集 には、「ん」を書き表す文字がひとつも使われていない。
最も古い万葉仮名は、難波宮跡から出土した652年以前に書かれた木簡とされる。
カタカナ・ひらがな が現れるのは、905年ころ。
空海の時代、まだ「ン」を表す ひらがな・カタカナは存在していない。万葉仮名もこれを表す漢字はない。
文献上で 「ン」という文字が使われた最古の例は、1058年に書かれた「法華経」だと言われている。
1058年に「ン」が使われたからといって、すぐに普及したかといえばそのよなことはない。
1100年ころから 「ン」が使われるようになっていった。
「鳶が鷹を生む」の振り仮名を振れば、「とび」「たか」「う」となるが、声に出して読めば 「とんびがたかをうむ」 となる。
撥ねる音「ん」は、表記しないのが和歌を書くときの原則である。
「ん」のみで 一冊書けてしまう、なかなか奥が深い!
ちなみに 「Nihombashi」 のmについて、ヨーッロパ系言語では、n と mの表記に厳然とした書き分けがある そうです。
紙の本
知的冒険の書
2015/05/10 12:02
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投稿者:はる - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて日本語には無かったとされる「ん」という音は、漢字の読みの一部としては存在していましたが、「ン」自体を表現する漢字は無く、日本において試行錯誤の末に定着した表音文字が現在の「ん(ン)」だそうです。著者は、この「ん」を平安時代の仏教思想の発展とからめて論じていきます。密教世界において神羅万象の統合を表すサンスクリット語の「吽」から庶民の言語のなかの日本語の「ん」へ。今まで知らなかったまったく新しい視点で「ん」という音と文字を見ることができる知的冒険の書として楽しめました。
なお、「日本語最後の謎」はちょっと大げさです。「日本語最後の文字の謎」くらいに考えてください。
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2010.02.28 日本経済新聞で紹介されました。
2010.03.07 朝日新聞で紹介されました。
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ん、の話。
もうちょいテーマを広げていくかと思ったけど、ほとんどが「ん」の登場の歴史。仏教とか和歌とか国学者とかかなりディープな内容になっております。言語学は嫌いじゃないからなんとか読めた。きれいな日本語について考えた。
地元のJUSCOで購入。
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昔西遊記を読んだ際にインド⇒中国の仏教伝来の話はがっぷり
四つで取り組んだので、「ん」を創造段階は無理なく読めました。
(空海の知識は「漫画にほんの歴史」レベルだけど)
ただ、江戸時代以降の話はイマイチ。
著者は中国文献の研究者であるようなので、引用ばかりで考察の
浅い江戸時代の国文学の件はいらなかったと思う。
仏教の本質を伝えるために「ん」が創造された、という事実は
かなり熱いです。
私自身は宗教っ気0だけど、絵を観るにも本を読むにも一定の
宗教の理解は必要だなあ、と再認識しました。
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「ん」は
なんば、さんが、たんき
それぞれで発声が異なると言うことを別所で聞いたことから、興味をもっていました。
昔の日本には「ん」がなかった、など興味深い内容が載っています。
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いわゆる読み物を期待して買いましたが、結構マジメな本でした。おかげで「ん」の成り立ちについては、普通の人よりかなり詳しくなった自信はありますが、話が固すぎて日常会話で使うのはムリです。
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面白かったー。「ん」の起源、発展をめぐる謎。歴史のロマン。日本語から歴史とか文化を考えるってことに知的好奇心が刺激された。少し話がとっちらかってる感じがしたけど、何度も読んでちゃんと理解したいと思える本ではありました。
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目の付けどころは素晴らしいのだけれど、読み物としてはどうなんだろう?私には難し過ぎて、読んだそばから忘れてしまいます。全体的なニュアンスの感想を一言。「やっぱり日本語って難しい言語なんですね」
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日本語には五十音図というものがあるが、そのなかで「ん」だけは、特別な位置にある。それには理由があるという。実は「ん」は、平安時代までは存在しなかったそうだ。もともと日本には文字がなかった。中国から感じが伝わり、万葉仮名というものがつくられた。そしてさらにひらがなやカタカナが作られ、
日本独自の発展をとげていった。
本書は仏教文化と共に発展してきた経緯を追いながら、「ん」に焦点を当てて、実に興味深い話が展開されている。
「ん」という文字の出来上がる経緯がわかると、その後の言葉遣いについてもうなづけることが多々ある。
なるほど~!
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言葉の成立は国の文化史、歴史と深く関わっていることがよくわかった。奈良平安時代の先端文化であった仏教の影響は今では想像もつかないほどだったのだろう。mとn区別、空海のサンスクリット語経典導入、本居宣長の国粋主義日本語純粋論による濁音撥音の否定、リエゾンによる「ん」の発生、和歌の中の濁音撥音回避、漢文内の「ん」による調子、阿から始まり吽で終わる宇宙論、
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●構成
はじめに
第一章 「ん」の不思議
第二章 「ん」の起源
第三章 「ん」と空海
第四章 天台宗と「ん」
第五章 サンスクリット語から庶民の言語へ
第六章 声に出して来た「ん」
第七章 「ん」の謎に挑む
第八章 「ん」の文字はどこから現れたか
第九章 明治以降の「ん」研究
第十章 「ん」が支える日本の文化
あとがき
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日本語を使用する人であれば誰でも知っている「ん」。しかし「ん」は五十音表外からはみ出して存在し、また「ん」から始まる日本語が存在しないなど、あいうえお五十音の埒外に置かれているように見える。では何故そのようなことになったのであろうか。突き詰めて考えればそれは、「ん」という文字の起源を探る必要があるのではないか。また、日本語において「ん」はどのような役割をしているのであろうか。
著者は本書で、上記の疑問点に答えるため、記紀をはじめとする上古の時代の日本語(この時の文字は、中国大陸からやってきた漢字のみである)における「ん」系統の発音から出発する。そして「ん」の系統には三つの発音、すなわち「n」、「ng」、「m」の三音から成りそれぞれ使い分けていたこと、しかし初期は日本だけでなく中国にも「ん」や「ン」の文字が存在せず、「イ」「ニ」「ム」で代用していたことやそもそも「ン」の発音は表示の際には省略されることが少なくないこと、平安時代に空海が唐から持ち帰ったサンスクリット語の文典を起点として仏法思想の中から次第に「ン」の文字が形成されていったことなどを解き明かす。そして最終的には現代の発音のように、三種類の発音が「n」の一種類に収斂していくのである。
あまりにも身近で、考えようとも思わない文字にも様々な深い歴史があることを、この本は教えてくれる。
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【図書館】
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「あいうえお」の50音表は、どこから来たのかわかったのはよかった。はっきりしてるわけじゃないんだろうけど。
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雑多な内容がまとまりなく、あらかじめ決められた枚数にとりあえず押し込んだ、新書らしいといえば新書らしい本。
イチイチウラを取らなきゃいけないような信頼性のなさがそこかしこで見受けられるので面倒。
タイトルの勝利。
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『天才と呼ばれる空海とて、時代という制約があった。』
「n」なのか「m」なのか。なぜ「ん」から始まる言葉がないのか。名実ともに日本語における最後を飾る「ん」の謎に迫る。「ん」の成り立ちがここまで仰々しいものだとは知らなんだ。読み物というよりも、学術書レベルで綴られている。漢文にアレルギーのある人には、ちょっときついかも。