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商品説明
光があるから影ができるのか。影があるから光が生まれるのか。ここに、時代小説でなければ、書けない男たちがいる。父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。それから—竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、その死の真相を追う。おまえに何が起きた。おまえは何をした。おれに何ができたのか。【「BOOK」データベースの商品解説】
生涯の契りを誓った2人の少年。1人は異例の出世を果たし、1人は貧困のなかで朽ち果てた。国家老となった名倉彰蔵は、竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死の真相を追う…。『小説現代』連載に加筆し書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
『永遠の0』『ボックス!』『風の中のマリア』『モンスター』、1作ごとに読者を驚かせてきた百田尚樹
今度は、ついに時代小説!
ここに、時代小説でなければ、書けない男たちがいる。
生涯の契りを誓った2人の少年。1人は異例の出世を果たし、1人は貧困のなかで朽ち果てた。
光があるから影ができるのか。影があるから光が生まれるのか。
父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした14の秋。それから――竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、その死の真相を追う。
おまえに何が起きた。おまえは何をした。おれに何ができたのか。【商品解説】
目次
著者紹介
百田 尚樹
- 略歴
- 〈百田尚樹〉1956年大阪生まれ。同志社大学中退。放送作家として人気番組「探偵!ナイトスクープ」など多数を構成。2006年「永遠の0」で作家デビュー。他の著書に「ボックス!」「モンスター」等。
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紙の本
時代小説
2019/02/27 00:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふだん時代小説を読まない人なら「すごく感動」できるのかもしれませんが……感動を強要されているような感じでした。
紙の本
「自分探しの時代」に読みたい時代小説
2010/08/27 16:49
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
戸田勘一(名倉彰蔵)の家は下士の身分。
父が亡くなったとき、勘一は少年でしたが
不慮の死を遂げたため、家は断絶されませんでした。
が、家は貧しく、藩校にも道場にも通えず、
竹籤細工の内職で家計を助けます。
一方、中士の次男に生まれた磯貝彦四郎は
藩校でも道場でも常に一番の成績をおさめる優秀な子ども。
その上、爽やかで、人を思いやる優しい心根の持ち主です。
次男のため、家督は継げませんが
婿養子の話に苦労しそうにありません。
この2人は身分を越えて、不思議な縁と
氣があうことから竹馬の友となります。
しかし、運命は2人を引き裂き
勘一は茅島藩8万石の筆頭国家老にまで上りつめますが
彦四郎は部屋住みの上に、不始末から蟄居を命じられます。
やがて逐電し、行方が知れません。
この2人の友情を描きながら
なぜ2人の運命が隔たっていくのかを描く力作です。
武士のなかにも身分があり、
そのなかから実力があっても、才覚があっても
出世の道など開かれず、
不用意な言動は、その地位から引きずりおろしていく。
そんな過酷な武士社会のなかで、どのように生きるのか。
「自分探し」がキーワードになっている現代人に
著者は生き方を問いかけます。
紙の本
その人生に悔いはなかったのか・・・
2011/09/26 23:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
消息を調べたときには、その男はすでにこの世にいなかった・・・。
茅島藩筆頭家老の名倉彰蔵は、固く友情を誓った男、磯貝彦四郎と
過ごした日々を思い出す。そして、自分が戸田勘一だった頃のことも。
不思議な絆で結ばれたふたりの男の、感動的な物語。
幼い頃、不幸なできごとで父を亡くした戸田勘一。彼を支えてくれたのは、
かけがえのない友だった。つらいときや苦しいとき、友はいつも見守って
くれた。だが、あるできごとがきっかけで、ふたりの運命は大きく違って
いく。出世の道を突き進む勘一。しかし、友は・・・。
光あるところに必ず影がある。表裏一体だけれど、そのふたつはあまり
にも違い過ぎる。日の当たる道を歩き続ける勘一。おのれの幸せを捨て、
おのれの人生のすべてを賭け、勘一の影に徹しようと決心した男。読んで
いて、胸が締めつけられるような切なさを何度も感じた。人はここまで
自分を犠牲にできるものなのか?私は彼に問いたい。「その人生に悔いは
なかったのか?」これを友情と呼ぶには、あまりにも悲しすぎる。ラストは、
涙がこぼれた。いつまでも余韻が残る、感動的な作品だった。
紙の本
泣きました。
2014/02/02 15:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねじまき鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公堪一がかっこ良すぎると思ったが、それだけの男であった。 最後、図書館で読み終えたが、涙が涙が 嗚咽でした。
紙の本
高度な「愛」
2012/01/08 14:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
影法師 百田尚樹 講談社
侍(さむらい)のお話です。いくつかの読めないあるいは意味がとれない単語が出てきます。「捨て扶持(ぶち)」江戸時代の言葉。役に立たないものに与える給料・生活費「儂」わしと読む。自分のこと。「奸物(かんぶつ)」悪知恵のはたらく心のひねくれた人間。この物語では、私利私欲のために家臣や民の幸せや夢となる政策実行を妨害した滝本主税(ちから)筆頭国家老を指します。「上意討ち、じょういうち」主君の命を受けて、罪人を討つ。討ちそこねると死とお家断絶が待っている。「逐電ちくでん」すばやく逃げて行方をくらます。この物語では、ストーリーの柱となる磯貝彦四郎が逐電します。
主役の茅島藩(かやしまはん)筆頭国家老名倉彰蔵50才の回想から始まります。彼の影法師になるのが磯貝彦四郎です。すでに他界しています。この作家さんの物語作りの手法により、ラストのラストで目頭が熱くなります。文章に記事はありませんが、わたしは、本の記述にあるような解釈はしません。なぜ、彦四郎は彰蔵を守ったのか。記事では、彰蔵が藩にとって必要な人間だったからとあります。違います。彦四郎は彰蔵の妻みねを愛していたからなのです。みねを不幸な境遇にしないために彦四郎は夫である彰蔵を守り通したのです。
だれかのために自分を犠牲にする。そういう人がいないと社会は成り立っていかない。無名で生涯を終えた人たちこそが賞賛されるべきです。世のため人のためといいつつ、結局は自分のために生きている人のほうが多い。書中では、肝心な分岐点で、登場人物たちは無言になります。心ある人たちは、自分の気持ちを声に出さない。沈黙します。
この物語では舞台が明記されていない、あるいはわたしが地名を知らないためか、おそらく東北地方の日本海側と推察するのです。実話があるのかもしれません。農民を始めとした下層武士の貧困を救うため「米」に着目して干潟を干拓して田に変えていくことが目標となっています。「米」がすべての尺度です。米のために幾度も殺し合いが発生します。殺戮シーン(さつりく)の表現はすごい。刀技は瞬間的ですが迫力があります。最後に、文章は適度な固まりでつないであり読みやすかった。
紙の本
時代小説の体裁の謎解きミステリーが感動の真実を解き明かす
2012/08/24 13:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
見事!
達人のあざやかなカラ竹割を見た気分である。
百田尚樹といえば、以前ボクシング小説の『BOX!ボックス!』を読んで面白かったし、ストーリーテラーとしての才能はわかっていた。それが初めて時代小説を書いたというので、時代小説も好きなこちらは期待して読んだのだったが、期待通りだった。あるいは期待以上か。これが初めてのジャンルとは思えないし、なにより、この物語る力は半端ではない。
強い絆で結ばれた友でもあり、ある意味ライバルでもある男たちの友情というモチーフは『BOX!ボックス!』と同じ。作者はそういうのが好きなのかもしれない。
そこへもう心を打つひと捻り。子供のころ読んだ「泣いた赤鬼」という童話を連想した。
苦労を乗り越えて成長してゆく成長小説の魅力と、剣豪小説の魅力と、謎解きミステリーが合体したぜいたくな内容だが、ミステリーだとしばしば恐怖につながる謎解きが、ここでは感動につながってゆくのもいい。
エンディングがまた印象的だ。かつて泣くなと叱られ、それで身を支えてきた主人公が、以来数十年して初めて、叱った相手のために泣く、という構図がすばらしい。