紙の本
久々の周五郎作品
2017/09/30 10:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポッター - この投稿者のレビュー一覧を見る
おすすめの本にあり手に取りました。短編13編が収められていおり、表題の松風の門は、この時代の背景の中での生き様を語っています.その他の作品も、一つ一つが味わいがあり、人間を描いてるな〜と感じました。今の時代にも通じる所もあり、おすすめの本です!
紙の本
松風の音が心に響く。
2002/01/28 22:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「松風の門」「鼓くらべ」「狐」「評釈堪忍記」「湯治」「ぼろと簪」「砦山の十七日」「夜の蝶」「釣忍」「月夜の眺め」「薊」「醜聞」「失恋第五番」の13篇を収録。武家ものや岡場所もの、市井もの、現代小説など、様々な山本周五郎風味が楽しめる。
個人的には、捨て身の奉公を爽やかに描いた表題作「松風の門」、冷淡な妻女とその夫の、現在と過去が交錯し、幻想的・官能的趣のある「薊」、冷徹な青年武士が、落ちぶれたかつての妻の言葉によって温かみを得る「醜聞」、サスペンス風味のある「砦山の十七日」が面白かった。
山本周五郎の本にハズレは無い。
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投稿者:yuyo - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めは登場人物や情景が頭に浮かばないが、やがて頭に映像が浮かんでくる。一編読んだら巻末の解説を読んで理解するということをした。著者の作品は初めてであった。何故だか一編読んだら爽快な疲労感を感じた。
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"醜聞"が自分の性格にもあてはまって面白かった。「表沙汰にできたらなあ」
「---しかし瘤があるからな、侍の面目、 家名、人には見せられない瘤か、さくらにはそれがみえたんだな」。"砦山の十七日"もお気に入り。
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2007.10 幼い頃、剣術の仕合で謝って幼君の右目を失明させてしまった俊英な家臣がたどる、峻烈な生き様を見事に描いた"武道もの”の典型「松風の門」、しがない行商暮らしではあるけれども、心底から愛する女房のために、裕福な実家への帰参を拒絶する男の心意気をしみじみと描く"下町もの”の傑作「釣忍」、他13編。−短編集。この人のはいつも温かい感じで終わるものが多くて好きだけど、今回はそれだけじゃないもっと複雑な気持ちになる話が多かった。でもやっぱ武士ものだとこの人が一番いいなー
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GWの台湾旅行中に読んだ本。
海外旅行行く時には山本周五郎と決めてます。
ウソです、海外旅行初めてだったし。
まぁでも海外にかぎらず旅行のときに周五郎持ってくのは割りと習慣化しています。
周五郎の本は特に順序も決めずに、
中古屋で見つけたものを適当に買って読んでるんだけど、
外れがないですね。
期待通りの面白さ。
もう社会人3年目か、、、とか
また年取るのか、、、とか
今まで何やってて、これから何やってこうかな、、、とか
別に今に限ったことじゃなくいつも考えてはいるんだけど、
周五郎の小説を読むと
人生まだまだなげえな、と慌てる自分を諌める気持ちになったり
もっとまじめにしっかりやんなくちゃ、と日々の生活を改める気持ちになったり
とか、
人生について考えてみたり
とかね、そんなこんなを考えます。
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小学生の頃、国語の教科書か、塾の国語の教材に使われていた「鼓くらべ」
あの頃、子供なりにいい話だなー。と思っていた記憶が急に蘇り数十年たった今、購入。
当時とは違った感想を抱くも、やっぱり良かった。
他の短編も楽しみ。
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「鼓くらべ」と表題の「松風の門」の2編は、泣けてしょうがない。特に「鼓くらべ」は、最後のシーンが脳裏に鮮やかに映像となって現れ、背筋が伸びる。高校生の時から、何度読んでも同じ感動を味わっている。
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「すかっとする時代小説が読みたい」って思ってたら、すかっと...とはちょっと違うけど、気持ちのいいお話ばかりの短編集でした。
山本周五郎は「樅ノ木は残った」しか読んだことありませんでしたが、この樅ノ木は残ったがあまりにも良すぎて、ヘンに避けてたかもしれません。
これからは、何を読もうか決めかねるときに手に取る作家さんになりそうです。
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短編集。
「松風の門」
八郎兵衛はかつて神童と呼ばれていた。だが藩主の息子の遊び相手を勤めていた際に誤って片目を失明させてしまう。以来、才気も見せず忘れられた存在となっていたが、農民たちの一揆が起ころうとしている時、八郎兵衛は単独で首謀者を斬り殺すことで事態を収束し、腹を切った。主君の片目を奪ってしまった償いの機会を待ち続けていた八郎兵衛の忠義とそれを知る人々の心情が胸に迫る。
「鼓くらべ」
大店の娘お留伊は鼓の名手として知られていた。御前での鼓くらべに向けて練習に励んでいたが、ある老人と知り合うことで己の慢心や競うことの愚かさを知る。
「狐」
天守閣に妖怪が出る。乙次郎はその原因を解明することを命じられる。天守に泊り込んだ乙次郎は密かに買い入れた狐を退治して見せることで災いは去ったと周囲を安堵させ、本来の原因であった天守の修繕を勧める。いい夫婦。
「評釈堪忍記」
短気で知られた千蔵は堪忍袋の紐の締めどころを心得てからは他者と揉めることなく過ごしていた。しかしそれも限界を迎え…。コミカルな話。
「湯治」
おたふく物語三部作の三作目。おしずとおたかの姉妹には栄二というろくでなしの兄がいた。不意にやってきては世の中のためと言っては家から金を持ち出す。おたかの嫁入りのために仕立てた衣装すら質屋に持ち込まれそうになり、おしずが兄を責め立てるシーンがつらい。去って行った兄を追ってしまうおしずの姿に切ることの出来ない肉親の情が感じられた。
「ぼろと釵」
あたしつうちゃんよ。そう言った幼馴染を男は忘れられずにいた。男はかつて住んでいた辺りの酒場で女を探していると周囲の客に語る。男の語る清純そのものといった女の姿に、客達はあれは強かな女だったと異を唱える。落ちぶれて売女となっていたお鶴は、その店の小座敷で酔い潰れていたのだ。しかしかつての面影を見出した男は嫌悪することなく、垢じみた女との再会を噛み締め、肌身離さず持ち続けたお鶴の釵を見せる。男は女を連れ帰り、店の中は静けさに満ちる。情愛という言葉が浮かんだ。
「砦山の十七日」
哲太郎は藩政のために同志七人と立ち上がる。しかし事態は急変し、騒乱の主謀者として追われる立場となる。危険を知らせに来た婚約者と共に砦山に立て篭もり、使者に発った仲間の帰りを持つ。だが仲間の中に己の命を狙う者がいると知り…。
「夜の蝶」
お幸という狂女がいる。居もしない赤ん坊を抱いて近所を徘徊するが、住人達も憐れんでか皆が揃って話を合わせてやっている。酒場の客達が旅の男にお幸の事情を語る。お幸は麻問屋の娘で、婿となるはずの手代が店の金を持ち逃げしたことで狂ったという。しかし麻問屋に勤めていたという客のひとりは否定する。手代の高次はそんなことをする男ではない。主人に心からの恩を抱いていた、死に恥を晒させないためにそんな芝居を打ったのだと。それを聞いていた旅の男の正体は…。
「釣忍」
天秤棒を担ぐ定次郎は、大店の息子だった。だが腹違いの兄に跡目を継いでほしいためにわざと勘当されるほどの乱行を繰り返した。勘当後は女房の��はんと幸せに暮らしていたが、兄に見つけられてしまう。勘当後の真面目な生活振りに弟の思いを知った兄は定次郎を連れ戻そうとする。切ない終わりだが、いつか理解し合えたらいいな。
「月夜の眺め」
武者話をする伊藤欣吾とそれを肴に酒を呑む男達。嫌われ者の下っ引きを皆でやりこめる話。
「薊」
鋳太郎の妻おゆきは同性愛者だった。そのことを知らぬ鋳太郎はおゆきとの生活に苛立ちや疑問を貯めていく。そうして死を選ぶ妻を止める手立てもなく…。
「醜聞」
功刀功兵衛はかつて妻に密通の末に逃げられた。恥とならぬよう病死と届け出ていたが、ある日その元妻のさくらが乞食同然の姿で現れ、金を強請る。さくらは功兵衛を人間である前に侍であると言い、人間らしさや愛情がないと責める。厄介で醜悪な存在だったが、さくらの登場によって現在の妻ふじへの思いやりが持てるようになったのでよかった。
「失恋第五番」
千田次郎は社長の息子であり、会社に在籍してはいるもののいつも気侭に暮らしているが、かつて特攻隊を送り出す立場だった痛みを抱え続けていた。同じ傷を抱える戦友に誘われ、死んでいった若者たちのためにも、「特攻くずれ」達が起こす犯罪を阻止すべく酒神倶楽部(バッカスクラブ)に加入する。
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「鼓くらべ」を中学の宿題冊子の問題で読んで気に入ったので、買って全文読むことにしました!!
お留伊が老人に教えられたことは音楽だけに限らない芸術すべてにも言えることだとも思います。
最後に亡くなった老人の横でお留伊が鼓を打ちはじめる場面に感動しました。
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どの小品も良かったが、昭和20年代後半以降の作品は上手いと感じる。おすすめの一冊。「失恋第五番」は全く作風のことなったもので驚いた。13.6.9
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「松風の門」 山本周五郎。ところは宇和島。
当主継職の直後におきる検地にともなう一揆発生の緊迫を、幼馴染の一刃、煽動者の浪人三名を切り捨てることで終息させた。
四国・愛媛の家騒動を未然に防いだ。主人公は幼児に「利発」といわれた男。大名の世継ぎとの剣術で失明の傷をおわせてしまう。
それより「利発」が能なしに転じ、聞けば姿を消して洞窟で壁に向かって、「達磨の心境」を読みとると。
その男が、「ここぞ」で見せたのが、一揆煽動者を斬って切腹したこと。
そこに、無役ながら家臣の本懐を体現している、と。周五郎文学の「義に準ずる」のモデルをみる思い。
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研ぎ澄まされた良い本なのだと思う。1つ1つの話が短く、伝えたいこともはっきりしていて言葉が難しい割には読みやすい。でも自分には合わないかな。
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短編集。
昭和10~30年代頃に書かれた作品、単語が馴染みのないものもあり(意味の取り方が分かりにくかったり、昔の用語も多々)、良く分からない部分は推測しながら読みました(本来調べながら読むべきかf(^^;)
それでもぐいぐいっと作品に引き込まれ、おお~っと思いました。不器用で人情味のある作品多し。(現代ならもっと素直にいけそうなのに~っともどかしくもなったり)。時代とともに変わるもの変わらないものを考えさせられました。