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商品説明
大学を卒業した私は、田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ—。注目の著者が、まっすぐに生きる女の子を描く、確かな“しあわせ”の物語。【「BOOK」データベースの商品解説】
大学を卒業した私は、田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ−。まっすぐに生きる女の子を描いた、確かな“しあわせ”の物語。『asta*』連載を加筆修正して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
宮下 奈都
- 略歴
- 〈宮下奈都〉1967年福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年「静かな雨」で文學界新人賞佳作入選、デビュー。ほかの著書に「スコーレNo.4」「太陽のパスタ、豆のスープ」など。
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紙の本
女性の素晴らしさ、そして大変さを認識できる一冊。
2011/10/28 16:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初出 asta。
主人公の結乃は大学を出て田舎へUターン就職、化粧品カウンターの美容部員として働き始めるのであるが、志望していた赤や白がテーマカラーの会社や外資系の会社を落ちたあげく、ピンクがテーマカラーの会社にやっと引っかかり、なおかつデパートじゃなくって郊外のモール勤務なのです。
まあ前途多難な方が、いろんな葛藤があり作者としても書きやすいのでしょうが(笑)
そして付け加えると家族との軋轢があるのです。それは母と妹が化粧品の代名詞とでも言える口紅を嫌ってるのです。
これは読んでのお楽しみですが、結構深い話が根底にあります。
姉妹の確執とあとは、旧友のミズキとのひょんなことからの再会がこの物語の主人公再生の部分以外の太い幹となって描かれています。
というかこれをクリアして成長していくのですね。
ミズキの登場のシーンが印象的です。ちょうどタイトル名になっている懐かしい名曲『メロディ・フェア』が流れる時間に現われます。鉄仮面のような厚化粧をしてたので初めは誰かわからずに避けていたくらいです。
あと男性読者としては、化粧に寄せる想いはないのですが、普段身近でないだけに新鮮に感じたのは化粧品売り場の実態ですね(笑)
いろんなお客さんがいてます、そしてそれだけドラマがあります。
口紅一本で女性の人生が変わると言っても過言ではないですよね。
男性からしたら、すごく大変だなと思いつつも素晴らしいことだと思わざるをえません。
読まれた方の大半がそうだと思うのですが、浜崎さんの初恋と嫁との話、やっぱり印象的ですよね。
あとは馬場さんや前任者の白田さんやマネージャー、もっと掘り下げて書いてほしかったような気もします。
それぞれのサイドストーリー読んでみたいです。
そしていつも思うのですが、宮下さんのいいところは主人公が等身大なのですね。
主人公が平凡かつ普通であるがゆえに他の登場人物のキャラが立ってくるのです。
それをちょっと自分なりに解説すれば、年齢・性別を問わず凄く主人公に普遍性を感じるところが魅力的です。
誰しも多少なりとも悩みや不満を持ちながらも働いてるわけですね。
そしてどうしたらいいかもがきつつも、何となくそのまま時間が過ぎ去って行くのですね。
主人公の結乃は、少なくとも読者の大部分と違って少しずつですが立ち向かっていきます。
読者も否応なしに「今のままでいいのか」と自問し、明日から前向きにさせてくれるのです。
それは結乃の中に「人を綺麗にしたい」という気持ちがあって、それが読者に伝わるからですね。
全体的にはちょっと詰め込み過ぎた感は否めないのですが、そう思うのも作者の高い才能に対する読者の期待の表れでもあります。いつもどうやって物語を終結させてくれるのかワクワクさせてもらえる幸せな話を書く作家ですね、宮下さんは。
最後に話が完全に脱線しますが、化粧品会社サイドからしたら本作のような物語、大歓迎でしょうね。
私は男性ですので本作を読み終えて眉毛を綺麗な整えてもらったような気分に浸れました(笑)
少しは自分が変わったような気持ちにさせられます、作者に感謝です。
紙の本
主題歌を聴いてから読んでね。これ、約束。
2017/12/27 11:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
失敗した。メロディ・フェアの意味を知らなかった。
しかも十ページ目にちゃんと誘導してあるのに、先に進んでしまった。
メロディ・フェアはBEE GEESが歌う映画「小さな恋のメロディ」の
主題歌で、スーパーロングヒットしている。
You Tubeなどで聴いて欲しい。
どうでした? 知っているでしょ。もこもこの幸せに包まれるでしょ。
聴いたことのない人を探すほうが難しいと思う。
ところがわたしは、事もあろうに、洋楽だったら知らないしと
読了するまで聴かなかった。大失敗。
文中で何回も出てくるので、そのたびにもこもこの幸せに
包まれながら読んで欲しい。
ネットでは、メロディ・フェアのいろいろな翻訳が載っている。
ばらつきが多くて正解は分からないのだが、fairを美しい、
素晴らしい(my fair ladyにかけて説明している
方がいた)的な意味で取りながら、女の子に向けた歌
ということを重ねると、素敵なメロディちゃんとでも
訳せばいいのかもしれない。
出だしはこうだ。
> Who is the girl with the crying face
> 泣き顔の子はだあれ?
> Looking at millions of signs
> たくさんのお星さまを見ながらさ
この雰囲気。この優しさ。こころに刻んでおくと、
この物語がぐんと近ずいてくる。
小宮山結乃。Uターン就職で福井に帰ってきた。
幼い頃から口紅が好き。無人島に何かひとつ好きなものを
持っていっていいと言われたら、迷わず口紅を選ぶ人だ。
働くならデパートの化粧品売り場、それも華やかなブランドが
よかったのに、ぱっとしない会社に引っかかったばかりか、
売り場も郊外のショッピングモールの一角である。
そこに行ってみると、馬場さんというパートさんと二人ぼっち。
たまにヘルプが入るけれど、基本は馬場さんが早番、
途中ラップして遅番が結乃という1.5人職場みたいな
ところだ。
大好きな化粧品。それを売る仕事。
それなのに、すべてが、がらがらがらと崩れていくのが分かる。
必死で持ちこたえようとする結乃。
それにしても宮下奈都さんは女性のコンプレックスを
本当にうまく書く。化粧に縁のないわたしですら、
こんなに面白いと思うのだから、女性が読むと
すこぶる興味を惹かれるのではないだろうか。
化粧は自分を守る道具、というモチーフはさんざん
使い古されていると思うが、この人が書くと何だか許せてしまう。
どきりとする台詞は少なめだが、物語全体がオブラートで
くるまれているようだ。
一生懸命、化粧をしているメロディちゃんたちに、
ぜひ会いに行って欲しい。