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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.6
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/247p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-10-590090-8
紙の本
週末 (CREST BOOKS)
かつて赤軍派テロを首謀した男が、恩赦を受けて20年ぶりに出所した。姉は郊外の邸宅を準備し、旧友たちを呼び寄せる。密告者は誰だったのかと訝る元テロリスト。遠い日の失恋に思い...
週末 (CREST BOOKS)
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商品説明
かつて赤軍派テロを首謀した男が、恩赦を受けて20年ぶりに出所した。姉は郊外の邸宅を準備し、旧友たちを呼び寄せる。密告者は誰だったのかと訝る元テロリスト。遠い日の失恋に思いをめぐらすジャーナリスト。9.11テロについて考え続ける英語教師。旧友たちの和解を願う女性牧師。そして、邸宅に現れた謎の若者。やがて苦い真実が明らかになり、未来への祈りが静かに湧き上がる—。『朗読者』の著者による「もう一つの戦争」の物語。【「BOOK」データベースの商品解説】
赤軍派テロの首謀者だった男が、恩赦を受けて20年ぶりに出所した。姉は郊外の邸宅を準備し、旧友たちを呼び寄せる。失われた恋、裏切り、自殺した家族の記憶。明らかになる苦い真実と、やがて湧き上がる未来への祈り−。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ベルンハルト・シュリンク
- 略歴
- 〈ベルンハルト・シュリンク〉1944年ドイツ生まれ。ハイデルベルク大学、ベルリン自由大学で法律を学ぶ。小説家、法律家。フンボルト大学などで教鞭をとる。「ゼルプの欺瞞」でドイツ・ミステリー大賞を受賞。
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紙の本
ベストセラー小説を目指す空虚な試み
2011/07/25 16:41
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
1970年代は左翼の武装闘争が全世界で荒れ狂った。日本では赤軍派などは牢屋に入れられたままだが、ドイツでは少しずつ釈放されているらしい。
本書は当時のドイツの資本主義の中枢にいた財界人などを殺した赤軍派の元リーダーが既往を悔いて出獄した直後の週末に起こったさまざまな事件と波紋を描いているが、こう要約しただけでこの小説の作者の魂胆が見え透いてくるようで私などは非常にいやな感じがする。
まず、かつて輝けるテロリストだった男が大統領の恩赦を受けて20年振りに出所してくるというので、彼の恋人兼母親のような姉が彼女の別荘に男の旧友を呼び集めて慰労会?を催す、などという設定が小説としても不自然である。
普通はどんな親友にも知らせず、1年くらいは心身の疲れを癒し、新たな社会復帰の準備をするのが世間の常識だと思うのだが、9・11について思いを巡らせる英語教師!やら、弁護士、この男に振られた過去を持つ女性ジャーナリスト、聖職者、男を闘争のシンボルに担ぎあげようともくろむ左翼の生き残り、しまいには行方不明だった男の息子まで乱入してきて、ドイツ赤軍派の思想と行動を金土日の3日間でいっきに総括しようと意気込むのだが、それって相当無理だよね。
こういうありそうで絶対にない都合のよい図式とお下劣な主題の設定そのものが、昔ながらの通俗読み切り三文赤小説であることに著者は最後まで気づかず、あたかも今世紀最大の深刻な思想小説であるかのように粋がっているから始末に負えない。
もちろんかつてのテロ行為を攻撃したり非難したり自己批判を要求したり、さらなる権力闘争への加担を呼び掛ける人物やテロリストをあの時代の「空気」では当然のことだったと擁護する人物なども続々登場して、これを映画や芝居の群像劇に仕立てたらかなり面白いとは思うが、主人公の病気で主人公への肉薄が全て放棄されるなどすべてがご都合主義のポンチ絵であり、ここに芸術的な真実が吐露されているとは到底思えない。
そもそも当時法学部の学生でたった2回だけデモに参加した男がドイツ赤軍派についてどれだけのことが書けるというのか? 君は売れそうな題材ならなんでも書くのか?
すべてはベストセラー作家の次なるベストセラー小説へのマーケティングの空虚な試みにすぎない。
紙の本
重いテーマを群像劇の中で鮮やかに浮かび上がらせる。
2015/09/07 11:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みながら、舞台にしたらおもしろそうな作品だなあと何となく思った。
恩赦で帰ってきたテロリストを、姉が招待した昔の知り合いたちが取り囲む週末。主に会話で進み、実際の場面としては激しい変化や大きな出来事があるわけではない。けれど語られる中身の、なんと濃厚で深いことか。昔は同じ志を抱いたことがあるとはいえ、今はそれぞれの立場も考えも異なる者たちが、彼を迎えるにあたっては「テロ」というテーマを避けることはできない。今でも彼をその道に歩ませたがり、実際政府に対する彼による宣言文をマスコミに流してしまうマルコ。もうそういう活動からは退いたほうがいいと考える弁護士アンドレアス。最初から彼に対して刑務所での様子や殺した時の記憶をどんどん聞いていこうとするウルリッヒ。そして、途中から出てくる、彼自身の息子であり、誰よりも激しく厳しく正論でもって彼を弾劾するフェルディナンド。それぞれを、うまい役者が演じたらさぞ見応えのある舞台ができるだろうと思う(映画では駄目だ)。
もちろんこれは小説で、小説として成功している。この重いテーマを読者に突きつけながらも軽やかに繋げていく手腕は見事。そして、まとまりようがないと思ったラストを、こうまとめるのかというのもちょっと目からうろこだった。その内容について具体的には述べないが、そこからは、人間の本質といったものについて感じさせられる。赦しは与えられないが、わずかの救いを結末ににじませる塩梅も絶妙。
紙の本
テーマを盛り込みすぎている気がします。
2017/01/11 01:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつてのテロリストの出所を祝って開かれた、ささやかな週末のパーティーを描いた長編小説です。思い悩むテロリスト、そんなテロリストに心理的に依存している姉、そしてパーティーに招かれた友人達の思いが交錯する様は見応えがあります。
しかし、赤軍派の運動だけでなく、9.11にも言及されており、やや風呂敷を広げすぎている感が否めません。より人物描写を濃くすべきだと思いますし、扱っているテーマがテーマなだけに最終章の終わり方が今一つピンときませんでした。