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商品説明
自称・防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)榎本と、美人弁護士(実は天然!?)純子のコンビが、超絶トリックに挑む!貴志祐介にしか考えつけない、驚天動地の密室トリック4連発!密室ミステリの金字塔、ついに登場。【「BOOK」データベースの商品解説】
元・空き巣狙いの会田は、甥が練炭自殺をとげた瞬間に偶然居合わせる。現場は完全な密室状態だったが、防犯探偵・榎本は計画的な殺人ではないかと疑い…。『野性時代』『小説野性時代』に掲載した全4編をまとめて単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
佇む男 | 5−94 | |
---|---|---|
鍵のかかった部屋 | 95−198 | |
歪んだ箱 | 199−270 |
著者紹介
貴志 祐介
- 略歴
- 〈貴志祐介〉1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。生命保険会社に勤務後、作家に。「硝子のハンマー」で日本推理作家協会賞、「新世界より」で日本SF大賞、「悪の教典」で山田風太郎賞受賞。
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紙の本
☆防犯探偵榎本の推理☆
2024/05/03 17:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
【佇む男】
山荘で、葬儀会社の社長が亡くなっていた。この葬儀会社の顧問を務める司法書士は、社長が自殺したという考えには納得がいかず、社長の遠縁である専務の犯行ではないかと疑念を抱く。
調査を進めていくうちに、榎本達も専務犯行説に行き着くが、白幕を含む密室の謎が解けない。
そんな中、近くの子供の目撃証言があがったが、専務ではなく、亡くなったはずの社長が部屋の中で佇んでいたという驚くべき内容だった。
死んだ人が立っていたなどあり得るのだろうか!?
事件のカギは、死後硬直!?
【鍵のかかった部屋】
長年窃盗に手を染め、5年前に逮捕された会田愛一郎。刑期中に姉が事故で亡くなったこともあり、会田は残された大樹と美樹のことが気になっていた。
出所後、姉の再婚相手である高澤の許可を得て5年ぶりに高澤家を訪れる。しかし、そこで悲劇が。大樹だけが部屋から出てこないことを不審に思った美樹が様子を見に行くと、返事はなく、その日に取り付けられた鍵によってドアが開かない状態だった。会田は、封印したはずの手口でドアを開けると、そこには練炭による一酸化炭素中毒で亡くなった大樹がいた。
大樹の様子や遺産相続といった事情から、人が亡くなって得をするであろう高澤に疑念を抱く。会田は確信するが、密室の謎が解けず、榎本に密室崩しを依頼する。
【歪んだ箱】
杉崎は、同僚の女性教師との結婚を機に、伯母が副社長を務める工務店に新居の施行を依頼した。だが、完成すると、その家は床が傾き、雨漏りがする明らかな欠陥住宅となってしまった。
杉崎は伯母の夫である竹本を問い詰めるが、竹本はミスを認めず、杉崎は計画していた殺人を実行する。密室状態であることを第三者に認めさせることで、罪から逃れようと考えたのだ。
そして、杉崎は青砥に弁護を依頼し、自分の無実を証明してもらうはずだった。
ところが・・・ 青砥から協力を要請された榎本が同行したことで、杉崎の計画は狂い始めるのだった。
【密室劇場】
今回の舞台は、劇団《土性骨》。
榎本と青砥は、舞台を観賞しますが、舞台終了後に、演劇中に劇団員の1人が殺害されていたことが判明したのだ。容疑者は3人にまで絞られるが、そこから捜査は難航する。
しかし、今回は榎本は自分が犯人を特定すると意気込み、かなりのハイペースで特殊な密室の謎を解決してしまうのだ!
紙の本
密室、っていうともうそれだけでゲンナリしてしまうんです。現代における密室っていうのは、もうパロディ以外にありえないんじゃないか、なんて私は思って、そうなるとユーモアは不可欠なんですが、どうも貴志は真面目なんですね、笑えない。それに榎本の登場の仕方がなんとも不愉快なんです・・・
2012/05/01 19:03
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本のデザインをみていて思うんですが、出版社によって傾向っていうのがあると思います。無論、デザイナーが絡むことも多いので一概に言い切ることはできませんが、それでも角川書店と新潮社、或いは講談社や集英社とでは明らかに違う。で、この本なんかは完全に角川してるな、って思うわけです。新しい感じはありませんが、古くもない。なんていうかポップアート的? そんな装画は池田孝友、装丁は角川出身の高柳雅人。
で、です。それはこの小説の内容についてもいうことができます。四つの密室、これ自体が古くて新しい。シリーズ前作『狐火の家』が出たのが2008年ですから、4年ぶりの出版。で、『狐火』にしても、その前『硝子のハンマー』(日本推理作家協会賞)から4年して出ているのですから律儀です。で、当然ながら登場するのも前二作とおなじ弁護士・純子&防犯探偵・榎本ということになります。
ちなみにこの二人について、出版社の特設ページで
*
榎本径、青砥純子という「カギ」 今回も名探偵ぶりを発揮するふたりの人物像をレビュー
榎本径:冷静にして明晰な頭脳を駆使し、純子から持ち込まれる密室の謎を次々に解き明かしていく榎本。その経歴には一抹の胡散臭さを漂わせつつも、防犯コンサルタントとして見事に事件の真相を手繰り寄せる手腕は、やっぱり名探偵そのものだ。
防犯コンサルという職務上、あらゆるセキュリティ事情に通じているのが榎本の最大の武器。密室破りの様々な可能性を吟味し、純子の珍回答を含めた別解を片っ端から潰した末にたどり着く真相は、いつでもサプライズに満ちている!
青砥純子:弁護士として、様々な事件に立ち会うことになる純子。端麗な容姿に豊富な法知識を携えているが、密室を解く才能には恵まれなかったのが玉に瑕!? 毎回、事件の謎を解こうと躍起になるも、的はずれな解を掲げては榎本の失笑を買う。「なるほど。……今度こそ、わかりました!」「はいはい。言ってみてください」。こんなやりとりも今ではお馴染み。ただし、微笑ましいこの掛け合いが、しっかり別解潰しに一役買っている点は見逃せない。二人はやっぱりいいコンビなのだ。
*
とあります。各話についても同様の内容紹介がついていますので、覗いてみてください。私は簡単にタイトルと初出、そしてHPの決め言葉を引用しておきましょう。
佇む男(「野生時代」2008年5月号):ドアの前に佇んでいた男の不審な死の真相は?
鍵のかかった部屋(「野生時代」2008年12月号):辣腕の侵入盗が対峙した、完全なる密室の死
歪んだ箱(「野生時代」2010年5月号):地震によって作り出された理不尽な密室
密室劇場(「野生時代」2011年7月号):バカバカしくも謎が極まる舞台上の殺人劇
となります。意外と印象が薄いです。よくやるな、と思ったのが「佇む男」でしょうか。サラリと読んであまり理解できず、もう一度確認して「アリエネー」って思いました。でも、面白い。なんていうか、ここまで無理してしまうと、ウソだろ、っていうよりは笑えるわけです。それが行きついたのが、「密室劇場」でしょう。
でも、読みながらどうも不快感がある。それは密室の論理的な部分ではなく、榎本と純子の人柄のところ。特に榎本の出て来かたが嫌味です。こんな上司がいたら私は絶対にその会社を辞める、そういう感じ。『硝子のハンマー』では、ごく普通の人たちだったような気がしますが、『狐火の家』で脱線し始め、歯止めが利かなくなったような気がします。そしてミステリの切れも、その順で落ちている。
基本的に、貴志はユーモアを解さない人間ではないか、って私などは思ってしまいます。前田敦子ではありませんが〈不器用〉。そういえば、文章も内容を的確に伝えはするものの、読んでいて味わい深いとか、楽しいっていうようなものではありません。ともかく、真面目だなとは思うのですが、えてして真面目な人が笑いを取りに行こうとすると・・・
でも、その不器用さが魅力でもありんです、いえ、アッちゃんのことですが・・・