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商品説明
足りない薬、不潔なベッド、聞こえてくる砲撃音。人を生かすために学んだ知恵が、戦場では何の役にも立たぬ—徴兵検査をし、解剖を行い、地下壕を掘り、空爆され、戦犯となり、ソ連軍に脅え、傷病兵に青酸カリを渡す—広島、樺太、満州、沖縄、東京、大刀洗—十五人の若き軍医が極限状況下で見た「あの戦争」の本当の姿。現役医師の著者が軍医たちに捧げる鎮魂歌。【「BOOK」データベースの商品解説】
【日本医療小説大賞(第1回)】徴兵検査をし、解剖を行い、地下壕を掘り、傷病兵に青酸カリを渡す…。「あの戦争」は普通の医者を軍医に変えた。15人の若き軍医が極限状況下で見た、戦争の本当の姿を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
空爆 | 9−34 | |
---|---|---|
蠅の街 | 35−66 | |
焼尽 | 67−83 |
著者紹介
帚木 蓬生
- 略歴
- 〈帚木蓬生〉1947年福岡県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学ぶ。精神科医。「逃亡」で柴田錬三郎賞、「水神」で新田次郎文学賞受賞。
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紙の本
私の父は軍医だったが、それにつていは何も語らずに逝った
2016/10/02 06:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オカメ八目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の父は軍医だったが、それについては何も語らずに逝った。(むしろ「語らない」と言う事が、「沈黙は金」ではないが、「語レない」と言う何か、「酷い重たさ」を、今は感ずる)ーーーこの本は、その父が語らなかった軍医たちから観た「戦争」の地獄絵図を著している。「蠅」とは、多分、当然、放り出され、放置された、傷だらけの「むくろ」に群れなしてたかる「蠅」を指す。 戦争の一断面図と言ってもいい。
ある意味「カッコイイ戦争」の「真裏の図」だ。 幾つかの話のオムニバスだから、色取りどりではある。
紙の本
語らなかった軍医たち
2011/09/12 17:47
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争中、軍医は経験豊かな医師が招集されたのだと思っていたら
本書で、医学部を卒業、あるいは繰り上げ卒業とみなされ
徴兵検査を受けて、従軍させられていたことを知りました。
一般人となんら変わらない学徒動員もあります。
ただ、階級がすぐにつき、将校となるのが違います。
しかし、戦場では学んだことと全くかけ離れた医療技術が要求されます。
足りない医薬品、医療器具で診察や手術を繰り返し、
時には未知の原爆症に当たり、時には出産にも立ち会います。
人を生かすための医療であるはずなのに
ほとんどがそのまま死なせてしまう。
あるいは死亡診断書を書くだけの毎日。
そんな過酷な、そして今までは表立って語られなかった
軍医の物語が15編。
広島、太刀洗、東京、福山といった内地から沖縄、中国、
日本占領下の樺太、満州、南太平洋の島々、シンガポールなど。
医学部を卒業したての若い軍医を主人公に
戦争下で医療行為を細やかに語ります。
それぞれの小説が濃密で、どれもが長編小説になりうる素材であり
詳細な資料に当たったことが容易に知れます。
これだけ調べて、これだけに凝縮し
1冊の短編集にしてしまった帚木蓬生のなかにある
小説材料の豊富さに驚愕します。
印象に残るのは、だれもが等しく目の前の患者を生かすことに
一生懸命であり、己の無力さを振り切り、生きていること。
そして、その教官や医学部学長などが
常に戦争が終わった後には、「国民の衛生と健康を守る」ように
諭していること。
戦後、茫然自失するなかで、おそらく軍医がいちばん早く
己のやるべき道を知り、それを歩いてきたからこそ、
今まで表に出ることはなかったのでは。
でも軍医の運命は一様ではありません。
それは15の物語にせざるを得なかったことの象徴されるでしょう。