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商品説明
派遣社員の長瀬正志は会社の倒産により失業。そして全財産も失い自殺しかけたところをオカマの桂木泉に助けられ、東京の下町・新小岩のゲストハウス「枝豆ハウス」で生活し始める。第3回「角川春樹小説賞」受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【角川春樹小説賞(第3回)】長瀬正志は、25歳のフリーター。突然失業し、全財産を博打で失った正志は、自殺しようとしていたところをオカマの桂木泉に助けられた。泉は、正志を新小岩のゲストハウスに連れて行き…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
又井 健太
- 略歴
- 〈又井健太〉1979年北海道生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。大手映像関連企業を退社後、テレビドラマのAD、バーテンダー等20種近くの職業を経験。「新小岩パラダイス」で第3回角川春樹小説賞受賞。
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紙の本
幸せの意味を問う、そこそこ下品でとても素敵な物語
2011/11/26 19:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
混沌としてごった煮のような物語でありながら、がっちりと一本の筋が通っている、素晴らしい物語だった。その筋とは、「人生において、お金こそが幸せなのか」という事。これは誰もが考え、でも答えの出にくい一つの真理なんじゃないかと思う。
主人公の正志は産み落とされてすぐに捨てられ、孤児院で育った25歳。生きがいなぞついぞ見つけられない毎日で、それでも勤めていた派遣業からもクビを言い渡され、その翌日には同棲していた恋人に有り金を全て奪われて逃げられた。無一文になった正志が死を覚悟した時、差し伸べられた太い腕は「えだ豆ハウス」に暮らすゲイの桂木泉だった。月3万円のその安アパートには、DJを目指すゲイから外国語教師の外人さん、トサカ頭のミュージシャン志望の男や緑に頭を染めた元お嬢の美容師を目指す女など個性的な人々が暮らしていた。お金はないけど、夢がある。そんな暮らしと人々に正志が慣れ始めた、そんな時。同じ孤児院出身の士郎に街で声をかけられた。苦労を重ねたであろう士郎は、今では詐欺まがいの仕事をし、フェラーリを乗り回すような高額の報酬を得ていた。誘われるままに正志も詐欺の片棒を担ぐようになる。すぐに巨額のお金が正志の元に入って来るようになると、やはり世の中金だ!と痛感する正志。しかしえだ豆ハウスの面々との毎日に、心揺れ動き・・・。
たまに、こういったカオスだけれどどこか青臭い物語りに、がっつりと浸りたくなる時がある。今回も気持ちよいほど、どっぷりと浸からせてもらった。決して上品ではない、どちらかと言えば下品。んじゃ辟易とするかというと、そういう事は全くない。むしろ爽やかで、ある種の美しささえ感じる。こういう物語はある種麻薬だ、クセになる。また、どっぷりと浸かりたくなってしまう。それくらい魅力的な物語だった。
借金大国日本、だけど世界に冠たる金持ち国家日本。今この現代の日本に生きて、一体何が大事な事なのか。とても興味深く面白く読ませて頂いた。「新小岩パラダイス」、うらぶれた街「新小岩」にだって、パラダイスはある。幸せが見えなくなってしまったアナタに、ぜひオススメの一冊です。
紙の本
新宿から新小岩へ
2020/01/23 22:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
総武線沿線ののどかな街並みと、都心との微妙な距離感が心地よいです。モラトリアム気味な正志が、つかの間の休息を経て旅立っていく姿にも勇気を貰えます。