紙の本
幸せの意味を問う、そこそこ下品でとても素敵な物語
2011/11/26 19:33
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
混沌としてごった煮のような物語でありながら、がっちりと一本の筋が通っている、素晴らしい物語だった。その筋とは、「人生において、お金こそが幸せなのか」という事。これは誰もが考え、でも答えの出にくい一つの真理なんじゃないかと思う。
主人公の正志は産み落とされてすぐに捨てられ、孤児院で育った25歳。生きがいなぞついぞ見つけられない毎日で、それでも勤めていた派遣業からもクビを言い渡され、その翌日には同棲していた恋人に有り金を全て奪われて逃げられた。無一文になった正志が死を覚悟した時、差し伸べられた太い腕は「えだ豆ハウス」に暮らすゲイの桂木泉だった。月3万円のその安アパートには、DJを目指すゲイから外国語教師の外人さん、トサカ頭のミュージシャン志望の男や緑に頭を染めた元お嬢の美容師を目指す女など個性的な人々が暮らしていた。お金はないけど、夢がある。そんな暮らしと人々に正志が慣れ始めた、そんな時。同じ孤児院出身の士郎に街で声をかけられた。苦労を重ねたであろう士郎は、今では詐欺まがいの仕事をし、フェラーリを乗り回すような高額の報酬を得ていた。誘われるままに正志も詐欺の片棒を担ぐようになる。すぐに巨額のお金が正志の元に入って来るようになると、やはり世の中金だ!と痛感する正志。しかしえだ豆ハウスの面々との毎日に、心揺れ動き・・・。
たまに、こういったカオスだけれどどこか青臭い物語りに、がっつりと浸りたくなる時がある。今回も気持ちよいほど、どっぷりと浸からせてもらった。決して上品ではない、どちらかと言えば下品。んじゃ辟易とするかというと、そういう事は全くない。むしろ爽やかで、ある種の美しささえ感じる。こういう物語はある種麻薬だ、クセになる。また、どっぷりと浸かりたくなってしまう。それくらい魅力的な物語だった。
借金大国日本、だけど世界に冠たる金持ち国家日本。今この現代の日本に生きて、一体何が大事な事なのか。とても興味深く面白く読ませて頂いた。「新小岩パラダイス」、うらぶれた街「新小岩」にだって、パラダイスはある。幸せが見えなくなってしまったアナタに、ぜひオススメの一冊です。
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又井健太(@takasakiken)先生に感謝。
私が本当に気に入ったのはP278~P279の見開き(文芸書でそう言うのか?)の辺りなんだけど、著作権的に許される長さなのか!? と言うより、コピーするとあまりにも長いので挫折(^_^;) でも大好きなのであとで近所の5円コピー機に走ってるかも(笑)
他に私が感動したポイントは引用にて。
欲を言うなら三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)さんの「タニハピ」みたいな相関図が欲しいぞ~ていうかお前が自分で作れ!
あと、幾分長っ尻の気はするのだけど、すごく楽しく読めました。
ありがとうございました。
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人の心の裏と表、本音と建前、あって当たり前だよって
夢を持っても、希望を持っても、それだけじゃ生きていけない
欲があったって、悪っことじゃない
自分は自分、人は人、幸せの形も感覚も人それぞれ
若さゆえ、ハラハラするけれど、考え方はとても納得
「枝豆ハウス」の住民も、正志の幼なじみも、恋人も、仕事仲間も
少しずつ気持ちも分かるし、憎めないじゃないか
新小岩に「枝豆ハウス」を探しに行きたい
とても面白かったです
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内容(「BOOK」データベースより)
派遣社員の長瀬正志は会社の倒産により失業。そして全財産も失い自殺しかけたところをオカマの桂木泉に助けられ、東京の下町・新小岩のゲストハウス「枝豆ハウス」で生活し始める。第3回「角川春樹小説賞」受賞作。
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まぁまぁかな~なんか今一つ暗い。でもラストは良かったかも…
2011.11.9
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新小岩、よく知ってる場所だ!という理由だけで買ったが、おもしろかった。
特にラストが好き。
全体としては、普段は見えないが確実に存在する社会がとてもリアルだった。
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僕の中では「青春」小説。
ちょっと荒削りな印象。補って余るスピード感。
なんとなく、話が見えてたけど、バットマンは予想外、
ってか、なぜ???
同居人たちが多すぎて、
個性的すぎるキャラだけで良いような気もする
「開かない扉」を開けちゃうクダリは
文章だけではちょっとわかりにくいかな、と。
ともあれ、正志くんが、香織にこれ以上だまされなくて
良かったね。
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面白かった。こういうの好きだ。文章の疾走感が気持ちいい。
たぶん、今の自分の心境にぴったりくるんだと思う。
お金は大事だ。でもお金だけじゃないよね、という価値観を持っていたいと思う。
たまたま新聞で読んだんだけど、今の20代の価値観がこんな感じらしい。もう右肩上がりの時代は来ない。イケイケドンドンもない。
欲望を持ってアツく生きろ、という人もいるけど、その欲望は自分が楽しんで生きていけるものに向けたほうが、幸せだと思えるんじゃないかなあ。
開かない扉はない。大切な事は目に見えない。
なんか励まされる言葉だ。
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泉=マツコデラックス?
苦手なタイプの書きぶりですが、
脳内のマツコさんのおかげでかろうじて読めました。
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新聞に紹介されてたか、広告だったか……そこからすごく期待してたので、少し外れたかな。おもしろかったけど! あのアパート?と住人がユニークだから映画にでもなりそうな感じ。★3.5という感じです。
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ちょうど就活中で、軽く人生に迷ってたんだけど、これ読んで少しやりたいこと見えてきたかも。
話は後半からおもしろくなってきました、よかった。
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「枝豆ハウス」の住人のキャラが濃くて楽しめた。
「金」か「夢」か...P278~の泉の言葉が残るね◎
読後なんだか元気が出る感じ。
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価値観は人それぞれだと思う。僕の価値観も正志や枝豆ハウスの住人に近いと思う。だけど、やっぱり、枝豆ハウスはそんな場所は無いって意味で天国なんだと思う。だから、新小岩パラダイスなんだ。
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少しストーリーがだらだらして、しかも主人公もぐだぐだして、イライラしながら読みましたが、最後は良かった。バットマンだもんねぇ!
あと、枝豆が食べたくなりました。
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慶応大出の元ホスト、20種以上の職を転々とし、渡航国は47カ国という著者の長編小説。人生に絶望した主人公がオカマに助けられゲストハウスで自分を取り戻すストーリー。パワーがあって面白かったです。人生のヒントがいろいろ見つかります。高崎ケンという名前でも本を出しておられるのでこちらも読んでみようと思います。