体制維新――大阪都
「よいことも悪いことも大阪からはじまる」といわれる。長引く経済の低迷、莫大な負債など、大阪を取り巻く情勢はまさに日本の縮図だ。そんな大阪が変われば、日本全体が変わる! い...
体制維新――大阪都
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商品説明
「よいことも悪いことも大阪からはじまる」といわれる。長引く経済の低迷、莫大な負債など、大阪を取り巻く情勢はまさに日本の縮図だ。そんな大阪が変われば、日本全体が変わる! いままでの改革はなぜ全て失敗してきたのか? どうして「大阪都」でなければならないのか。いま何をすべきか。橋下徹が掲げる「大阪都構想」は、大阪、そして日本革命の切り札となるか──その全貌を橋下徹と堺屋太一が論じ尽くし、衰退から成長への具体的な「オンリープラン」を提案する。
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”大阪が変われば日本の未来が変わる”
2012/03/27 20:41
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、主として「大阪都構想」について述べられたものである。
評者は、「大阪都構想」の有意性は確かなように思う。そもそも、経済社会の大きな流れを変えるためには、担当する人を入れ替えたり(政権交代)、予算の執行を改めたり、組替えするだけでは不足であり、その基にある仕組み=体制(システム)を変えなければならない、という堺屋氏の主張(6頁)に同感である。
大阪を都と特別自治区に分けて、地元で身近なおカネを教育や医療などに活用するというのは、世界の流れに沿うものであろう。そして、都市間競争に勝つためには、まずコミュニティ行政を担う基礎自治体に力があって、その上の広域自治体が広域行政を担うという、エリアではなく行政機能による役割分担をした二段組の行政機構にならざるを得ない(堺屋;40頁、橋下;201頁)という主張には理があると思う。
現状では、大阪全体に影響し、大阪府民全体の視点で判断されるべきする広域インフラについても、大阪市内部分については大阪市長・大阪市役所が判断している。 現在の府と市の関係はエリアによる分担となっているため、大阪市長・大阪市役所・大阪市議会は与えられている住民からの信託を超えた過剰な権限を行使する結果となっている。すなわち、住民代表(政治)と役所の権限(行政)の乖離が生じている(橋下;202頁)。
都市間競争に係る行政は都が一元的に所掌して、都市が世界と勝負していくのがこれからのあり方である(橋下;60頁)。 現在の大阪は、大阪市というエリアを超えて大阪府域全体がひとまとまりの都市であって、この大阪府域全体が日本のエンジンとして発展するべきである(橋下;204頁)。大阪の広域行政の担い手を一人にすること、これが大阪都構想である。
他方では、大きすぎず、小さすぎずの基礎自治体をまずつくり、そこから住民の意志で特色ある街をつくっていく。そうすると住民も、この街はわれわれの意志で作れる、われわれが変えられる、自分の街だという意識をもつようになる。 現状では、大阪市周辺の住宅地帯に住んでいる人は市の中心部を変えられないし、中心部にいる人は住宅地帯を変えられない、その結果、大阪市政は全市域一律で結局は誰も責任を持たない状態となっている、これを変えなければならない(堺屋;43頁)。
大阪は二つの顔をもつ必要がある。一つの顔は世界の都市間競争に打ち勝つための「強い広域自治体」、そしてもう一つはよりきめ細かい住民サービスをおこなう「やさしい基礎自治体」。ある程度の規模を持った都市が、世界の都市間競争に打ち勝ちながら経済成長をはかる。そして成長によるか実は、住民サービスを担う基礎自治体がしっかり分配していく。この仕組みをつくるのが「大阪都構想」の機軸である。(163頁)
大阪全体の景気が上がれば、各市町村の税収が上がる。増税に頼らない成長戦略路線である。その結果、増えた税収で医療、福祉、教育などの住民サービスを拡充していく。どのような住民サービスを提供するかについては住民が決める。住民が選挙で選んだ特別区自治区長、市町村長や議会を通じて、保育所を増やすのか、保険料を下げるのか、具体的に決めればよい。(163頁)
ただし、最大の問題点は各特別区間の財政調整制度であろう。各区の文化的社会的独自性を発揮させると同時に福祉の平準化を図る、という理想をどのように実現していくかという難しい問題である。しかしながら、要は、大阪市役所が、明確なルールに基づかずに自由裁量で市全体に財源配分、調整している現状を廃して、新たに明確なルールの元に透明性をもちながら行うということ。もちろん、利害が対立してそれは容易でないとしても、東京都の都区財政調整制度も参考にしながら確立しなければならないと思う。
大阪出身者の一人として、橋下新市長のリーダーシップによって実行される大阪都構想については、失敗という結果には絶対にならないように支援していく必要があると評者は考えている。
本書には、大阪都構想が簡明にまとめられており、この問題に関心を持つものにとっては必読の書であろう。
共通認識
2012/05/28 00:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YUKIW - この投稿者のレビュー一覧を見る
共通認識を以って熟読しています。応援しています。
説得力のある大阪都構想,しかし定量的に書いてほしい
2011/11/25 21:50
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪市は市内の地域 (区) のきめこまかい行政のためにはおおきすぎる一方で,広域行政においては大阪府と 2 重になっている. 大阪府知事を経験するなかで著者はそれを痛感し,大阪都構想つまり大阪市の地域行政に関する権限を区にゆずり,広域行政は大阪都にまとめることを推進している.
著者の主張には説得力があるが,定量的なデータはわずかだ. 大阪の市民や府民に重要なのは現状をかえるべきだというかんがえを支持してほしいということであり,そのためには定性的な主張で十分だということかもしれない. しかし,やはりその主張をうらづけるデータがあればもっとよかったとおもう.
日本先物予測選挙
2011/11/18 22:55
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
課題先進国内の課題先進地域、大阪。最も不幸な都道府県に選ばれてしまった大阪は、失われ続ける日本の象徴のような地域で、1970年の万博以降、衰退の一途を辿っている。そんな大阪の諸悪の根源は、明治以来の旧体制を残したままの、大阪市と大阪府の二重行政にあると、橋本氏は熱く語る。統治の仕方を巡る大阪都構想の概要が本書の論点。
大阪の問題は分かりづらい。880万人の大阪府の中の大阪市の人口は260万人。この中途半端な規模のレイヤーの違いが、府立と私立の二重の大学や図書館や病院を生み、無駄な税金、行政コストを浪費し続け、結果住民が求める行政サービスを提供出来ない真の原因であると橋本氏は繰り返し説く。
明治維新も分かりにくい権力闘争だったと思うが、今現在繰り広げられている大阪ダブル選挙の争点、大阪都構想も実に複雑で、住民にとってはきっとわかりにくい。ただ、いくら首長が変わっても、政策が変わっても、一向に市井の人々の生活の質が向上しないなら、それは仕組みから見直さないといけないという橋本氏の主張はうなずけるものがある。府と市の役割分担が出来ていない大阪は、仲の悪い会長と社長の会社組織のようで、上に振り回されるばかりなのだろう。
本書を読めば、橋本氏の情熱は充分伝わる。特に、課題をあぶり出す争点を設定して、一点突破でモデルケースを創るという政治手法は、ソフトバンクの孫社長のようで、いかがわしさを漂わせつつも本気度は伝わる。また、改革の是非は組織マネジメントにあるという記述にも、昨今の政権たらい回しを見せつけられた国民からすると、説得力がある。
果たして、橋本氏に組織マネジメント力はあるのか。大阪都構想という争点で一点突破できるのか。勝負は来週明確になるが、巻頭と巻末の対談の相手である堺屋太一氏は、2年ほど前、日本の勝負は2011年と言っていた。この大阪の選挙は、東京にいると本当に分かりづらいが、もしかしたらその選挙結果はTPPよりも早く、わたしたちの日常を変えていくのかもしれず、TPPの成否は、西日本のどこかにアジアに羽ばたく世界都市が生まれるかどうかにかかっているのかもしれない。
オバマ大統領の地元シカゴは今や世界の商品相場を司るが、先物取り引きの元祖は、江戸時代の大阪堂島の米相場だったと言う。先進的な商売を営むポジションに再び大阪がなれるのかどうかは、大阪府と大阪市が、無益な対立を乗り越えて、世界を見据えたアウフヘーベンできるかどうかにかかっている。
文章に
2021/10/18 04:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
引き込まれる書き方です。読んでいくと、大阪都は、必要なんだな!こんなにいいことあるんだ、と思わせてくれます。でも、もう少し、データが、欲しいかな……