「人間は何のために生まれてきたのか。自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ」。 生きる力を与えてくれる宮本輝の世界。
2023/10/04 09:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人間は何のために生まれてきたのか。自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ」。
主人公の八木沢省三郎が単身赴任で大阪・十三の骸骨ビルにやってくる。
様々な背景のあるビルやその関係者の住人たちとの対話の日々。
ここまで相手に胸襟を開かせるヤギショウさんに共感。
決してヒーローでもなんでもない、ただのオッサンなんだけど。
生きる力を与えてくれる宮本輝の世界。
生きる力を与えてくれる宮本輝の世界。
2023/09/26 09:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人間は何のために生まれてきたのか。自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ」。
主人公の八木沢省三郎が単身赴任で大阪・十三の骸骨ビルにやってくる。
様々な背景のあるビルやその関係者の住人たちとの対話の日々。
ここまで相手に胸襟を開かせるヤギショウさんに共感。決してヒーローでもなんでもない、ただのオッサンなんだけど。
生きる力を与えてくれる宮本輝の世界。
ぼろぼろのビルに深い思い出
2020/04/23 17:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後まもない混乱の中で、家族を失った年端もいかない少年少女たちには胸が痛みます。血の繋がらない子供たちを育て上げた、阿部のパパと茂木のおじちゃんの優しさに心を揺さぶられました。
投稿元:
レビューを見る
やっぱり旅には宮本輝と決まっている。
文章がうまいので、心乱されずすっと本の中に入っていける。
本作はすっと読める。三時間かからず上巻は読了。
そこまで盛り上がるものはないが、じわじわくるのが宮本輝だから、下巻が楽しみだ。
ボディーブローのように、じわじわと、読み終わってから考えたり、何か胸に残ってしまって人生に問いを投げかけてきたりするのが、宮本輝のいいところ。
投稿元:
レビューを見る
心に響くお話でした。
すべての登場人物に奥行があって、引き込まれました。
戦争によって、孤児とならざるを得なかった子供たち、
戦地での体験に、心縛られる大人たち、
誰もが必死で生きねばならなかった終戦直後の暮らし。
ただ生きるのではなく、人として崇高に生きる事の大切さ。
魂魄…魂は心だけではなく体にも宿るもの。
自分を変えようと思ったら、何度も何度も挫折を繰り返しながら、それでもなりたい自分を目指して、続けて行く事。
色んな事を考えさせられました。
投稿元:
レビューを見る
うむ。
じわじわくるな。
なんだろう、特にうわぁとかおおっとか激しく気持ちが動く訳じゃないんだけど、じわじわっときいてくるんだよね…
下巻まで読んでしまった後なので、内容がかぶってるかもだけど、主人公がキャベツ刻むのプロ並みで免許皆伝レベルだったり、オムレツのトロトロ加減が絶妙だったり、ひろこさんの教えてくれる料理をカンペキにマスターしたりってのが、村上さんの登場人物的でなんだかなーって思った(苦笑)
要は私が、お料理上手な男性がムリなのかもしれん…
(自分が料理苦手だからって)
投稿元:
レビューを見る
戦後の日本に溢れた孤児たちと、その孤児たちの、それぞれ「父親」と「母親」の担ってくれた二人の男の物語を主人公の目を通して辿っていく物語。大人になった孤児たちの個性が強くてすごく面白く、また心温まります。
投稿元:
レビューを見る
立ち退きを完了させるために、戦争孤児たちが集まるビルにやってきた男が、住人たちとの交流の中で主の慈愛を再確認して行く話
投稿元:
レビューを見る
通称「骸骨ビル」戦後の混乱期に住み着いてオーナーの阿部轍正と茂木泰三に育てられた戦争孤児たちを立ち退かせるために担当者として八木沢省三は送り込まれる。
阿部轍正の汚名をはらすまではでていかない。という茂木と子供たち。
終戦後、大人一人でも生きていくのが大変な時代に血のつながらない子供、それも一人や二人ではない子たちを育てる決意。
自分の人生より子供たちを育てることがなぜできたのか。
阿部と茂木、そして子供たちの絆が読んでいて胸にぐっとくる。
投稿元:
レビューを見る
母からの課題図書。
私にとっては、初「宮本輝」である。文章や組み立て、とてもうまくて引き込まれ読んだ。
舞台は阪急十三界隈で、たぶん今は無き北予備の付近と、阪急沿線出身者にとっては馴染みのある雰囲気が懐かしい。北予備には夏期講習とかでお世話になったなぁ…
話は、骸骨ビルを買った会社からそこに住み着く住人/孤児たちを退去させる役目をおった主人公がなぜ彼らがそこにいつづけるのかを調べる過程で、戦争で孤児となった子供を引き取り育てたパパちゃんこと阿部と茂木と孤児達の関わりを知っていくことになり…
パパちゃんの戦場での不思議な体験と「光」には、宗教的なというより、すべての人の心の奥底にある「善なるもの」というような、もっと単純ででも暖かいもののように感じる。不思議と唐突な感じを受けないのも話に引き込まれているからだろう。
損得ではなく、しなくてはいけないと思ってしまったこと、をやり抜く、それを達成した時のある種の高揚感が胸に残った。やらないとダメなんだなぁ、と思いつつ。
投稿元:
レビューを見る
余計な言葉はひとつもない うつくしくないものはたくさんある それでもうつくしい それから ごはんがとてもおいしそう
投稿元:
レビューを見る
宮本輝さんの小説。輝さんの小説は古めかしいが、安心して読める。『骸骨ビルの庭』も上下だが、けっこう読みやすく、それほど長く感じない。
これは十三が舞台。輝さんは阪神電車や阪急電車の沿線あたりを舞台にするイメージがある。スポーツ新聞を読むおっちゃんがいつもでてきそうである。競馬場や競艇場の雰囲気もいつも思い出される。『幻の光』で阪神の杭瀬や大物のあたりが描かれていたのを過去に読んで、そのイメージがいつもかぶるようである。
この小説の語り手であるヤギショウさんは名作を読みつつ、人生を考えている。例えば『史記』とか。こういうところもいい。
古いビルが醸し出す雰囲気がなぜか昔から好きで、「骸骨ビル」もいいなと思ったのでした。
投稿元:
レビューを見る
日曜朝のFM、小川洋子さんのメロディアスライブラリーでこの本を取り上げていた。表紙のバロック風というか不気味なイメージにも惹かれ手に取った。
表紙のイメージとは違って、大阪十三のゴテゴテしたような、侘しいようなビル。かつての孤児達の職業は猥雑さが満載だが、スッキリ書かれているので、いやらしさが無い。そのシーンを想像すると、かなり珍妙な風景も多く、笑ってしまう。女性にはこの本お勧めし辛いな。
戦後捨てられた子供達と子供達を育てた2人の男の物語。主人公はビルの明け渡しのために乗り込んだ中年。肝が据わっているのか、いないのか、良く判らない。彼ら一人ひとりが語りだす話を聴きことが小説の眼目になっている。だから、物語は全然動かない。にもかかわらずジワジワ沁みてくる。
料理を作ったり、庭仕事をすることが、如何にも地に着いた仕事のようで、物語に深みを与えている。
この物語はどう収斂するのかと思いながら読み進める。何か起こったようでもあり、何もなかったような気もする。それでも深い満足を感じながら本を閉じた。
何が言いたいのか判らないレビューになったが、今年一番良かった本になると思う。
これから、茂木が何を求めていたのか、ゆっくり考えてみようと思う。
投稿元:
レビューを見る
教訓的であり、人が誰かのために生きることの尊厳を改めて考えさせられた作品だった。2度読んで2回ともおもしろかった
投稿元:
レビューを見る
宮本輝は私が初めて好きになった作家なので、思い入れが強い。でも20年は彼の作品を読んでいない。本当に久しぶりに戻ってきた感じで、とても懐かしい。穏やかで美しい日本語を感じることができる数少ない作家だ。
終戦後に戦災孤児や親に捨てられた子供が集まって育ってきた大阪は十三にある杉山ビルディング。そこで育った人々や育ての親であるビルの所有者の秘められた過去や思い。立ち退きを求めるためにこのビルにやってきた管理人の目から彼らの美しいだけではない、裏の顔が漂ってくる。
人情味豊かに、なおかつミステリアスに進む物語にページをめくる手が止まらない。