紙の本
殺人心理
2021/01/14 20:41
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニュースで実際に見る“動機のない殺人犯”のマスタベーション的な言い訳を代弁したような作品。分かるような分からないけどような曖昧さが逆にリアルに感じた
紙の本
犯罪者の心理が少し見えた
2016/02/26 17:04
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投稿者:shizoo - この投稿者のレビュー一覧を見る
病気ですごく苦しくて辛い思いをし、奇跡的に生き延びた少年が親友を殺害してしまいます。
普通ならば、辛い経験の後の命だから、いろいろ明るく生きようという方向に行くと思うのですが、この主人公は逆です。
悪の方へ悪の方へと気持ちが向かっていきました。
人は罪悪感を感じずに理由もなく誰かの命を殺めることができる場合もあるのだとちらっと犯罪者の心理が小説中に垣間見れた気がしました。
紙の本
自分の弱さと向き合う
2016/01/25 00:08
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投稿者:bluemonkey - この投稿者のレビュー一覧を見る
中村文則さんの作品は、自分の弱さに徹底的に向き合う勇気と言うか覚悟をもたらしてくれます。
今グダグダと思い悩んでいることを放り出すのは簡単なことだが、逃げずに向き合い、自分の弱さを認めて克服したい、そんな想いにさせてくれる話でした。
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病に侵された少年は死の淵で突然彼を襲った病を憎み、暴力的なこの世の中のすべてを否定し、死に飲み込まれようとしていた。幸いにも病は治癒するが、彼はそのすべてを否定した世の中に馴染めず、苦悩し、親友を殺めてしまう。その後とことん悪に手を染め、善悪を超越してこの世の中に対峙しようとした彼ではあったが、罪の意識から逃れることはできず、自首する。この本から読んでたら他の中村さんの作品が読みやすかったかも。
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文庫版のカバーデザインが、加藤健介さんによるものなので手に取ってしまった。
(※加藤健介さんの画は水生大海(みずき ひろみ)著「てのひらの記憶」で心に印象深く残っていた。)
この小説『悪意の手記』は、殺しをした”私”の内面を曝け出した手記の形をとっている。
自殺もままならず、とにかく墜落していくありさまが綴られている。
そして、もう一つの殺人に身と心を落としていく。
時に人間らしさを見せたかと思うと、やはりそこに罪悪を感じとってしまう。
手記の形式をとった小説に感情が移入してしまい、読了後も黒い気持ちが残ってしまった。
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内容(「BOOK」データベースより)
至に至る病に冒されたものの、奇跡的に一命を取り留めた男。生きる意味を見出せず全ての生を憎悪し、その悪意に飲み込まれ、ついに親友を殺害してしまう。だが人殺しでありながらもそれを苦悩しない人間の屑として生きることを決意する―。人はなぜ人を殺してはいけないのか。罪を犯した人間に再生は許されるのか。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家が究極のテーマに向き合った問題作。
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絶望、憎悪、悪意の関係性の一つとして興味深く読んだ。
九死に一生を得る…そのほとんどは生きていてよかったと思えるものだろう。
これが、終わらざるを得ないどうしようもない状況において、それを受け入れるために生を憎悪していたとしたらどうだろう。
狂気なまでに憎悪した生を生きなければならなくなったとしたら…。
生きる意味を見出せず、でも死ぬこともできず、人間のクズにもなりきれず…。
これは、小さくてもいたるところにある現実のような気がする。
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ストーリーが判りやすくて、一番、読みやすかったかも。
でもテーマは相変わらず暗くて、濁った水の中を読んでる気分。
好きだけど。
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人は人を殺しても平気でいられるのだろうか
ということを問いただす、重く暗い話。
中村さんの小説は暗くて読んでて楽しくないのだけれど
心の暗がりに引きずりこまれるような感覚で悪くない。
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異色の雰囲気を醸す読み物だと思った。
悪意に飲み込まれ、ときに対峙し、翻弄され、身を任せ…
そして、つまるところの悪とはなんなのかと考えさせられる。
その問題を突きつけられるというよりも、
気づいたらそのもやもやの中にいるという意識のさせられ方だった。
手記2のあたりの展開は平坦で、私もなんとなく意識が上の空な感じで読み進められなかったが、手記3のラストまで来て一気に加速する感じで読めた。
読み終わってみて手記2の部分もかなり効いていておもしろいと思った。
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「何もかも憂鬱な夜に」を読んで、その後に読んだ。
なので、作者の文章や思考はなんとなくわかってきている。
強い思いをもってこのテーマに挑んだ感じが伝わってきます。
読んでみると、芽生えた悪意とは、どこまでも悪意の底なしスパイラルに陥ってしまうようで、しかもそれはどこにでもだれにでも既にあるもので、恐怖に駆られてします。
こんな本ばっかり読んでいると、世の中が怖くなって生きていけなくなるような気がします。
だけど、中村文則はすごいし、読んでよかった。
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人はなぜ人を殺してはいけないのか。主人公が受けた哲学のゼミのテーマだが、私なら何て答えるだろう。
個人個人で物事の価値や置かれた状況は異なる。印象的なのは、作中、我が子を殺した少年に復讐を果たした母親の聡明な姿だ。その姿に答えがあるような気がする。
罪悪感を伴わない殺人・・・。ただし、それは既に人の形を借りた別の生き物かもしれない。
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罪を犯した人間に再生は許されるのか。中村氏の悪のその、その先を突き詰めていく作品がとにかく好きでたまらない。
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著者は抗えない虚無を本当に垣間見た人間なのではないか?その中に善悪を対置し、事象の意味を見出そうとするエネルギーには頭が下がります。自身は虚無の予感にただ震え無に畏れるのみです。 著者に嫉妬しながらも対峙する自分を夢想します。
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いやあ、やっぱりおもしろいね。
ときどき出てくる、のしかかってくるような言葉がいいね。ずんって。
読んでみるといいと思うよ。休日にのんびりと電車にでも乗りながら。
ふらっと知らない駅で降りて、駅前の王将で酢豚でも食べてはいかが。
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「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問に対して、小説を通じて解を出そうとした野心作。大学のゼミでこの問を議論する、というような余りにも説明的すぎる部分も多く、小説として成功していると思わないが(こうした点こそ、本来編集者が指摘して改善させるべき部分である)、こうした根源的な問に対して文学がどこまで挑戦できるのかを示したという点において、本作の価値は存在すると思う。