紙の本
切れ味さまざまに鋭くて。
2016/12/04 18:10
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
池上氏が編者となったエッセイ集。
「教育はきわめて社会的事象である」とはデュルケムの言葉だったか。
教える人間にならずとも、教えられる人間にならないことは難しい現代日本において、教育、もっというと学校教育とのかかわりというのは個々人のアイデンティティの大きな部分を占めているだろう。
そこをざっくりと切り取る27人の切れ味はメスやカッターだけでなくのこぎりやナタにも似ていて、どれもこれも鋭い。
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涙腺を緩ませる話がちらほらあった。
全体として心に残る「先生」の話。
うまく構成されてると思う。
池上さんがただ集めただけでないことがわかる。
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教育とは自分が自分であること、社会の中の一員であることを認識できる力を身に着けてもらうこと。自分が獲得した言葉を使って、自分を表現すること。それが現代の日本で自分の名前で書くこと。
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ジャーナリスト・池上彰が呼びかけ人となり、「先生!」のひと言で思い出すエピソードを各界の著名人27人が語ったもの。
教員だけではなく、漫画家・外科医・町工場のおやじさん・作家・モデル・アーティスト・柔道家・映画監督などなど、多様な経歴を持つ人が集まっている。
まずはこの人選がおもしろい。
多彩な人々を集めたことで、通り一遍ではない、さまざまな角度から「先生」と呼ばれる職業にライトが当たるエッセイ群になっている。
縛りは文中に「先生!」という呼びかけの言葉を入れることのみ。
1編1編は短いので、空き時間にも読める。
そして自分にとって「先生」というのはどういう存在だったかな・・・と考えるきっかけにもなる。
個人的に印象に残ったのは、町工場の岡野雅行、一水会の鈴木邦男、詩人・作家の寮美千子の三氏のエピソードだろうか。特に寮氏の『空が青いから白をえらんだのです―奈良少年刑務所詩集』(新潮文庫版もあり)はちょっと心に留めておきたいと思う。
1編は漫画、25編はエッセイだが、最後の太田光(爆笑問題)のみ池上彰がインタビューする形になっている。太田さんという人は、何を語っても太田さんだなぁ・・・。非常に好きであるとか共鳴するとかいうわけではないが、このブレない個性はなかなかすごいと思う。
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≪目次≫
はじめに
センセイの最期(しりあがり寿)
西日の渡り廊下で(天野篤)
想像力は無限だ(岡野雅行)
「歌の時間」(稲泉連)
先生がくれた 光(押切もえ)
先生は…(関口光太郎)
大切な「症状」(田中茂樹)
手紙(増田ユリヤ)
柔道とは?(山口香)
中学・高校生に願うこと(柳沢幸雄)
巨大な疑問符を与えてくれた(鈴木邦男)
実はすごい、日本の教育(パックン)
「抗う」こと(安田奈津紀)
学びの同志おっちゃん(市川力)
八十歳を超えた中学生(太田直子)
紅茶の味(李相日)
ことばの裏にある子どもの声を聞く(渡辺恵津子)
「消費者感覚」に立ち向かう(武富健治)
作る、壊す、作る(武田美穂)
人生最初の「先生!」は…(姉小路祐)
逃げろ!逃げろ!(石井志昂)
先生と子どもの関係(鈴木翔)
色えんぴつ(乙武洋匡)
詩が開いた心の扉(寮美千子)
自分の物差し(山口絵理子)
とらわれちゃだめだ(平田オリザ)
(インタビュー)学問を武器にして生徒とわかりあう(太田光)
≪内容≫
”先生”をキーワードにしたエッセイ集。教師の私が読んでいて、応援になるもの、批判になるもの、指摘、共感、感動、勉強…いろいろなことを考えさせられました。生徒・児童の「学ぶ」ことを如何に手伝うかが先生(教師)の役目だと思います。このエッセイ集は、そうしたことに日々努力している"真面目"な教師への応援メッセージだと思います。
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「先生」ということばから喚起されるエピソードを押切もえ、山口香など作家、タレントたち27人が書き綴っている。担任のことを書く人もあれば、教えた経験のことを書く人もある。まとまりはないが、読みやすい。
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確か、
「読んじゃいなよ!――明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ」
で 取り上げられていた一冊にあったので
手にしてみた。
ほーーっ なかなか 心に届いて来るね、
えーーっ こんな奴が先生かよ
うんうん なぁるほど
それは ちょっと…
と それぞれの方への
読み取り方をさせてもらった
「寮 三千子」さんの「詩が開いた心の扉」
の一編が秀逸でした
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貸出はコチラから
https://libopac.josai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000097456
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いろんな人の先生論。
先生に期待する人が多い。先生は特別な人間でないと思いつつも特別を期待する複雑な気持ちか・・・エライ人というのを身近に感じていたいという欲求があるのかも?
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先生というお題でそれぞれがそれぞれの視点で書いている。教育に対して消費者的な姿勢で向き合う感覚に浸食されている社会の話や、学びに対して主体的に臨む話などが印象的だった。
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池上彰編集の先生に関するエッセイアンソロジー。
いい先生に出会った人もいれば、そうでない人もいる。現在教育職にある人もいる。消費者感覚で、子どもをもたない人間にまでこき下ろされている「先生」の価値失墜について嘆く意見もあれば、先生のひと言で人生が変わった人もいる。
自分はどうだろう。
教師という職にならずとも、誰もが誰かにとっての光を当てられる存在ならばいいのに。
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池上彰の呼びかけに27名が『先生』について書いたエッセイ集。
本書の中で池上さんは、教育とは自分が自分であること、社会の中の一員であることを認識できる力を身につけてもらうことだと思う、と語っている。
ネルソン•マンデラは、「教育は世界を変える最強の武器です」と語ったそうだ。
27名の中で印象的だったのは、柔道の山口香さんが学んだこと。東京の有名私立•開成の校長が開成で教えている教育の根本のこと。フォトジャーナリストの安田菜津紀が語る「抗うこと」。
『鈴木先生』の武富健治さんの消費者的感覚に立ち向かう考え方。少年刑務所で詩を教えている人の話。
『先生』と名のつく職業の人はぜひ読んでみて下さい^_^
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分野も考え方も違う様々な大人たちが「先生!」の一言をかならず用いて先生について書く、という面白い内容の本です。「元生徒」として素晴らしい先生との思い出を書く人もいればそうでない人もいますし、教える側として、みずからの体験や信念を書いている人もいます。この本は、その内容自体を楽しむことはもちろん、さまざまな執筆者がいることで色々な世界への案内役も果たしてくれますし、あるいは、「これは無理やり”先生!”をぶち込んだな」などとひねくれた楽しい読み方もできます。また、ときおり教育現場の歪んだ一面(組織第一で生徒を見ていない、事なかれ主義というか)が垣間見られるというのも考えさせられるところです。
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池上彰氏が呼びかけ、多種多様な分野で活躍している著名なスペシャリストたちが「先生」をテーマに語ったエッセイ集+対談。広い視野、様々な角度から固定観念を超えて、教育を考えることができる。1つ1つは短くて読みやすいのだが、中にはもっと深く読んでみたいものもあった。
中でも印象的だったのが、山口香氏の「待つことが人を育てる、寄り添う、支える」教育論、乙武洋匡氏の「十人十色」の多様性をモットーにする教育論、 太田光氏の「教育とは答えをみつけることじゃなく、本当は問いのほうが重要」マニュアルを暗記することを教えるのではなく、問いを作る人へ。
また、安田菜津紀氏の「今の教育現場では、何かに『抗う』ことはほとんど教えてくれない」という言葉には、はっとさせられ、考える気付きとなった。
寮美千子氏の、奈良少年刑務所の少年が書いた詩の話では、心が揺さぶられた。
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みんなにとっての「先生」ってどんな存在だろう?「先生!」というキーワードを必ず盛り込んで、という条件のもとで書かれた、それぞれの先生にまつわるエピソードを纏めたのが本書。
自分は今、先生になることを目指している。思えば学生時代、誰もが必ず「先生」と関わり、しかも長い時間を共に過ごすことになるのだから、「先生」の児童生徒に対する影響はやはり図りしれないものだろう。ではそんな「先生」は児童生徒にとってどんな存在であるべきなのだろうか。それぞれのエピソードがそのヒントを教えてくれる。
それぞれのエピソードは単なる思い出話じゃない。先生を目指す身としては、自分自身が目指す「先生像」を絶えず思い描いていかなければならず、本書はそれを考えるヒントになると思う。その意味でもまた必ず読み返したい一冊だ。