紙の本
重いテーマだけど傑作だと思います
2015/12/28 09:17
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投稿者:ゆうじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
貫井氏の作品はいくつか読みましたが、「慟哭」と並んで、「灰色の虹」はその中でも傑作だと思います。冤罪という重いテーマを扱っていますが、主人公に感情移入しつつ読み進めることができました。
紙の本
復讐は・・・
2017/05/09 12:59
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投稿者:ライディーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
とてもいい内容です。
各人物像を掘り下げすぎかなぁとも思いましたが、読んでみればこれくらいじゃないと、人物像が入って来ない感じでした。
各章内容は濃いですが、やはりPAST2が読んでいても印象深い。
何を言っても信じてもらえない、聞いてもらえない事は耐えられない。
現代ではこんな司法はさすがに無いだろうが、冤罪が生まれるシステムが分かった気がする。
復讐は絶対にダメだが、わが子が同じ状況かなら一瞬でも考えてしまう。
母親の気持ちにも共感した。
紙の本
重く暗い話
2016/03/31 21:57
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投稿者:ヨブくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
貫井さんらしい重くて暗い話でした。
主人公が追い詰められていく様子がリアルで自分の事のように思える程、
夢中になって読んでしまいました。
物語の主人公は決して許されない行為をしていますが、
そういう状況に追い込んだのは誰なのか等を考えると、
決して主人公だけを責められませんでした。
ただ、ミステリー好きな人からすると、途中から大体の展開は読めてしまうと思います。
そして全ての謎が解ける訳ではありませんでした。
「え、あれは結局どうなったの?」という点がいくつかありました。
すっきりしない所もありますが、物語に引き込む力は凄いと思いました。
純粋に復讐や冤罪の物語としてなら面白いと思いますが、
ミステリーという点ではスッキリしない所があったのが勿体ないと思いました。
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投稿者:坦々麺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冤罪によって起きた悲劇だと思う。警察の検挙率至上主義でおきる冤罪は、その事件に関わる人々全てを不幸にしてしまうのではないかと思う。最近警察の取り調べの全可視化のニュースがあったが、可視化より大切なものがある気がする。第一章に登場する伊佐山刑事の様な刑事が実在するなら、冤罪は無くならないし、警察の信頼は崩壊するだろう。
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冤罪ってこうやって起こるんだ。犯人逮捕/判決を急ぐあまり、強制的に無実の罪を認めさせる刑事、検察官、裁判官。
復讐することは冤罪を阻止することにはならない。結局どうしたらいいのか。。。こんな結果で終わってしまったのがとても悲しい。
映画「それでもボクはやってない」を思い出す。あれは痴漢の冤罪だったが、確か、はっきりした「無罪」の証拠がないから有罪判決が下された気がする。あれも観終わったあと愕然とした。これが日本の法律なのか。「在る」ことより「無い」ことを証明する方がずっと難しいのも分かる。だからと言って有罪になるのはおかしくない?
とても厚い本だけど、登場人物それぞれの視点で描かれていて、読む手が止まらなかった。とても重大な社会問題を取り上げるのはさすがって感じ。考えさせられる。
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冤罪をテーマにしたミステリー。テレビ朝日でドラマ化もされたそうだ。
時系列順ではなく、それぞれの視点からストーリーが語られ、最後にそれがひとつの大きな絵になる構成で、読者を引っ張って行く。テーマは重たいが、登場人物、特に被害者となる人物の言動にリアリティがあって面白く読めた。
犯人の行動については、まぁ、予想の範囲内といったところか。
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ものすごく読み応えがありました。
重い内容ですが、読む手が止まりません。
冤罪の恐ろしさがひしひしと感じられました。
あってはならない事だけど、こうやって冤罪って生まれるんだって
いうリアリティを感じてしまいます。
江木の悔しさ・虚しさ・絶望が胸に迫ります。
検事・弁護士・裁判官。
皆悪意がある訳ではなく、淡々と仕事をこなしている。
でも冤罪には気付けない。
誰も江木の言葉に真剣に耳を傾けようとはしない。
同じ貫井さんの著書「乱反射」と似た構成に感じました。
悪意があった訳じゃない、でも少しの怠慢や少しの思い違い、
そういったものが重なり合って最悪の結果が生まれる。
その過程がとても丁寧に描かれていますので、とてものめり込めます。
江木の担当刑事が伊佐山ではなく山名だったら。
検事や弁護士、裁判官が別の人だったら。
もしかしたら違う結果になっていたかもしれない。
そう思うと本当にやるせない。
ただ地味に生きていただけの、殺人なんて犯すような人物じゃない江木が、殺人の冤罪をきせられた事で実際に殺人を犯してしまうこの皮肉。
それほどの事をしてしまうまでの絶望。
ほんとやるせない・・・・・・
なんだか遠い世界の事じゃなく、明日にでも我が身に降りかかるかもしれないと思わせる、それぐらい「ありそう」な風に書かれています。
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途中で真相は分かったけどページをめくる手が止まらなかった。
「冤罪」というのは本当にあってはならない、この世から無くしてほしいと心から思った作品でした。
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久々に、いっきに読みたくなる、面白い本に出会った。どうなるの?って続きがものすごく気になって、ガツガツ進む。帯の「復讐のための殺人は罪か。」っていう言葉に惹かれた。冤罪って、なんとなく聞いたりするけど、それって、なんて言うのかな、すごくいろいろな人の人生が絡み合う。このお話がまさにそうでした。ふとしたきっかけで。ちょっとしたタイミングのズレで。誰かの勘違いや思い込みで。そんないろいろな要素が合わさって、たまたま好条件の人がいて、そんな江木は本当に可哀相…の一言なんかじゃ言い表せないほど。読み進めるうちに、江木のことを応援してた。山名刑事の言葉、復讐の果てには何も得られないっていうのはすごく分かるし正しい。復讐したって、不幸の連鎖。復讐のために人を殺すなんて、正しくない。でも、正しいことと江木の気持ちは何も交わらない。なんとも、難しい、重い、お話でした。最後のエピローグはもうなんて言ったらいいのか…悲しくて切なくてやりきれない、救いのないお話でした。
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骨太。
ああ、早く読みすすめたいっ!
と、思った久しぶりの一冊。
いやあ、貫井徳郎ここにありって感じ。
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冤罪って本当に怖いな、と思わされるお話。
最大の罪はもちろん 『無実の人を罪人と断定してしまい、その人の人生を根こそぎ変えてしまう上に、当人だけでなく周囲や身内までもを不幸のどん底へと叩き込むこと』 だが、それだけでなく、 『真犯人が野放しにされたまま、誰もそれに気づかない』 ということも大きい。だからこそ、冤罪を生んでしまうシステムと、それに深く関わった者たちの罪はとてつもなく大きい!と思える。
普通に生きているだけなのに、それでもこういう冤罪事件に巻き込まれてしまう可能性は誰にでもあるんだ、という点を、被害者側よりもむしろ加害者側(冤罪を生み出した張本人たち)に重点を置いて描いているのは興味深かったです。
ただ、難点を言えば、全体が冗長で、読んでいて苦痛に感じる長い表現や小難しい言葉の羅列などもあり、もっとコンパクトにして欲しいなと思ったw
それがなければ星が1コ追加されていたかとw
も1つ不満点を言うなら、こういう作品ではけっこうよくあることかもしれないんですが、この点は重要ではないと作者は言いたいのかも知れませんが、
真犯人、誰やったん??
これがまったく触れられないまま終わってしまっているのは、読了後むず痒くなってしまった一因です。
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いつも思うけど、とにかくキャラクターの書き分けが細かくて素晴らしい。100%共感できるとはいかないまでも、それぞれの正義や利害のもとに行動していることが納得できてしまうので、最終的に誰が悪かったのか、という結論が出しづらいというか。ドラマはうっかり見逃してしまったんだけど、確かにものすごくドラマ向きだな、という展開。とくにラストの真相が明かされるあたりなど、動きに緊迫感があり画が浮かぶようだった。結局そもそもの事件の犯人がはっきりしないあたり、余計に虚しさが残る。
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殺人の冤罪で服役後、取り調べをした警察官、検察官、弁護士、裁判官、目撃者と関係者に復讐する話。前半のストーリは時間順ではないので、興味を惹かれる場面を先に魅せられて、あとからつなぎ合わせるような感覚になる。
関わる人、皆が自分の仕事に正直に忠実にやっていけばこのような事件は防げるのだろうが、そんなのは幻想だと教えてくれる。それだけに結末あまりにも切ない話でした。
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殺人の冤罪判決をされてしまった主人公が、関わった人達に復讐を続ける話。警察官、検察官、裁判官と一人称を変えながら、どのように冤罪に関わったかが描かれる構成。
心が弱っている時に読んだせいか、辛いストーリーを読むたびに心が痛くしんどくなる。悪いことに悪いことが重なり、冤罪になり、判決後も暗い人生になってしまうのだなぁ。
冤罪の怖さを知る話でもある。
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誰も悪くない、ちょっといいかげんだったり怠けてたり、間が悪かったり、自意識過剰だったり、流されやすかったり、気が弱かったりしただけなのに
冤罪、あまりにも不毛な事がおきた結果、
誰も幸せになれなかった
あくまでミステリーだけど、人間である以上、多かれ少なかれ誰にでもある
なんかうすら寒くなるような話でした