紙の本
そういえば、
2016/09/25 01:00
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
『赤い蝋燭と人魚』あらすじは知っていてもきちんと読んだことなかったなぁ。ギルマンの『黄色い壁紙』は今となってはフェミニズム小説としての評価が高いけれど、以前「淑やかな悪夢」で読んだときと同様に怖い。前回読んだときにちょっと検索したら、あの時代、女性の神経衰弱(と見なされたもの)に対してかなり普通に行われていた療法らしい。安静にしてどんどん太らせて、擬似的な妊娠状態に置いたり……『著者謹呈』はほぼギャグ。猫かわいい。
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怖さは絶妙な、料理に似ている。
素材を殺さない程度に主張する、上品でかすかなスパイスと、目からも我々を刺激するアレンジメント、馥郁たる香りの妙。
そうか、バランスだったのだ。
夏目漱石から始まり、小川未明で閉じるアンソロジーは、その絶妙なバランスがことさらに美しい。
(このアンソロジー特有の、おまけがあるのでここは正確には違うのだが)
ちなみに個人的には、日本の作品の馴染みのある泥臭さやじっとりとした底冷えのある恐怖のコンビネーションですこし作品集がぶれた気がして、できれば未知の海外の作品だけで構成してほしかったような気もした。
個人的大絶賛は、最後の作品。
途中まではスティーブンキングなんかにありそうな魔法使い話かと思いきや、いきなり日常を振り切ったあたりからおおいに引き込まれ、これもまたありきたりな、限定数の願いを叶えるという設定を、こう落としたかあ!って、正直、拍手。
先が見えない不安、
そこにかすかに垂らされた褐色の予兆、
散りばめられた伏線が、さいごに括られる。
オーケストラが演奏を終えて、聴衆も息を止めた会場にひろがる、最後の楽器の余韻のように、じわじわと染みる読後感。
琴線に触れる、という表現がこれほどわかりやすい物語もそうはない。
読了の刹那、心の奥の方がわさわさと、不安定な揺れに包まれる。読み終わって震えているのは、手なのか心か。
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バッドエンドばかり集めたアンソロジーの第2弾。
前作『厭な物語』は全て翻訳ものの短篇で纏められていたが、今回は日本の作品も収録されている。
驚いたのはエドワード・ケアリーの短篇が収録されていることで、この手のアンソロジーでまさか名前を見ることになるとは思わなかった。ケアリーらしい偏執的な登場人物が主人公の短篇。
『厭』度が高かったのは『皮を剥ぐ』と『恐怖の探求』の2篇だろうか。特に前者はよりダイレクトに嫌悪感を喚起する描写が良かった。
特に『厭』ではないが面白かったのが『黄色い壁紙』で、解説によるとフェミニズム的な側面もあるらしいのだが、恐怖小説として普通に面白い。
また、前作同様、解説のあとに1篇を収録している。よくこんなピッタリの短篇があったものだ……。
しかし、『夢十夜』は別に長い話でもないのだから、全部収録してくれても良かったんじゃないのかなぁ。それだけが残念だ。
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読後感最悪、なバッドエンド・ストーリーを集めたアンソロジー、第2弾。
邦訳作品のみだった前回から、今回は夏目漱石を始め日本人作家の作品が4篇採り上げられている。
詳しくはこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2014-07-19
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夏目漱石 『夢十夜』 より 第三夜」
エドワード・ケアリー 「私の仕事の邪魔をする隣人たちに関する報告書」
氷川瓏 「乳母車」
シャーロット・パーキンズ・ギルマン 「黄色い壁紙」
アルフレッド・ノイズ 「深夜急行」
スタンリイ・エリン 「ロバート」
草野唯雄 「皮を剥ぐ」
クライヴ・バーカー 「恐怖の探究」
小川未明 「赤い蝋燭と人魚」
編者解説
ルイス・バジェット 「著者謹呈」
ニューロティックな「黄色い壁紙」、幻想的な「深夜急行」、映画みたいな「恐怖の探求」もいいが、「皮を剥ぐ」が出色。本気でいやーな気分になる。
それにしてもクライヴ・バーカーの小説は初めて読んだが、結構いい。「血の本」にも手を伸ばしたい。
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前回の『厭な物語』が読後感本当に厭だったなぁと思ったのに、書店でこれが平積みされてるのを見た瞬間なんの躊躇いもなく購入。
厭だ厭だと思いつつ、こういう話が好きでしょうがないんでしょうね私は。
今回は日本人作家も何人かいて、個人的に嬉しかった。
海外ものもいいけど、やっぱり日本の独特な厭さもたまらない。
全作楽しませてもらったけど、特に好みだったのは『夢十夜より第三夜』『黄色い壁紙』『皮を剥ぐ』『恐怖の探究 』かな。
『夢十夜』はもともと好きで、一夜と三夜が特に好きだったのでこれが収録されてて嬉しかった。
『黄色い壁紙』は以前から読みたい読みたいと思いながらなかなか入手できてなかったのが収録されてると知って喜んだ。
読めてよかった。
『皮を剥ぐ』と『恐怖の探究』は、今回厭度が高いツートップかと。
『皮を剥ぐ』の犬の件ではすごい胸がムカムカしたし、『恐怖の探究』の最後も映像がまざまざと脳内に湧いてきて、読み終わったあとトイレ行く時階段の下の暗がりが直視できなかった。
そして今回も最後の 『著者謹呈』をここに持ってきたのは素晴らしい。
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あけましておめでとうございます。本年最初のレビューです。今年もよろしくお願いいたします。
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厭な気分になる短編セレクションの第二編。おそらく根性の曲がった人間しか手に取らないであろうアンソロジー。
しかし、第一編ほどのパワーはなく、なんだか小さくまとまってしまった感じがします。なんといっても、編者が「選考基準は『バッドエンド100パーセント』だぜィぐふふ」と言っているのに、わざわざそう言われなければバッドな気分になれない作品がなんと多いことか。第一編では、読んでる最中から素直にイヤァな気分になる、珠玉の厭な作品がほとんどだったのに……本書は、「バッドエンドだったでしょ、厭な気分になるでしょ?」とわざわざ言い聞かされて、「あーそうなの? そういえばバッドエンドだよね」という感じ。当然ながら、その後の感想は、「で、それが?」となる。
まぁ……、一言で言うと、第一編よりパワーダウンした残念アンソロジー。
その中でも、これは!と思った作品は、氷川瓏「乳母車」、クライヴ・バーカー「恐怖の探究」の二編くらい。でも、「乳母車」はどちらかというと純文学だから、純粋に厭な物語として語るなら、大御所クライヴ・パーカー作品だけでしょうかね……。スタンリイ・エリン「ロバート」、草野唯雄「皮を剥ぐ」もつまらなくはないのですが、今一歩足りない。残念。
読むなら、まず第一編からどうぞ。それで物足りなければ、こちらもどうぞ。でも、私には蛇足なアンソロジーでした。
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『赤い蝋燭と人魚』が収録されていて驚き。子どもの頃に読んで、“人魚は嵐で逃げて母の元に帰り、悪い人間たちにはバチがあたってめでたしめでたし”と覚えていたので。結局人によって「厭」の感じ方は違うということ。それもまた、面白いですね。
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バッドエンドな物語を集めたアンソロジーの第2弾。国内作家も入りバラエティに富んではいるが、インパクトは前作のほうが上かも。とは言え、「皮を剥ぐ」や「恐怖の探求」の生理的不快感は格別で、やっぱり“厭な”読後感。第3弾も期待。
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読後感最悪、バッドエンド全開のアンソロジー第二弾。今回もホラーっぽいものが多いです。
お気に入りはルイス・パジェット「著者謹呈」。ファンタジーめいていて、スリル満点の物語。結末の邪悪さは秀逸。そんなことじゃないかと思ったけどね~。
小川未明「赤い蝋燭と人魚」も入ってるのはいいセレクトだなあ。美しくて好きな物語なのですが。たしかに結末は……嫌。
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第1弾はシチュエーションが厭だったとしたら、こちらの第2弾は心の軋みが厭、という印象。後景でガラスを引っ掻く音がずっと響いているよう。今回は国内作品も収録、「皮を剥ぐ」の嘔吐をいざなうリアリティ。海外作品は「ロバート」が好み。それにしてもとてもひさしぶりにじっくり「赤い蠟燭と人魚」というタイトルをながめたけれど、これもう字面といいイメージ喚起力といい完璧。
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アルフレッド・ノイズ『深夜急行』、小川未明『赤い蝋燭と人魚』が特に好きだったかなあ。
前回は目に見えるグロさが生理的に厭、という印象が強かったけど、今回は厭世的な雰囲気が漂う作品が多くてじわじわくる厭さでとっても好きでした。
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読んでいる時の不穏な感じ・・・
読んだ後に残る厭な感じ・・・
ああ、たまりませんなぁ・・・
バッドエンド100%の短編ばかり集めたアンソロジーの第2弾・・・
第1弾の『厭な物語』を読んですっかりハマってしまった・・・
夏目 漱石の『夢十夜』より 第三夜、から始まる・・・
いきなり前作にはなかった和モノ・・・
いきなりたった4ページで心がザワつく・・・
気味が悪い見事なスタート・・・
次にエドワード・ケアリーの『私の仕事の邪魔をする隣人たちに関する報告書』・・・
何号室のアイツはあーでもない、何階に住んでるソイツはこーでもない・・・
隣人たちのせいで私の仕事が出来ねー!・・・
とハイボルテージで書かれている・・・
「私」が言っていることが本当なのか、そうではないのか・・・
なんかこういうのありそー、と身近な恐怖感を味合わせてくれる・・・
こんな報告書が郵便受けに投函されてたら直ぐに引越しを考えちゃうよ・・・
氷川 瓏の『乳母車』・・・
最初の漱石の話に勝るとも劣らないたった3ページでザワつかせてくれる・・・
ゴクリと喉が鳴っちゃう・・・
シャーロット・パーキンズ・ギルマンの『黄色い壁紙』では・・・
女性が・・・
ジワジワとおかしくなっていく様が生生しい・・・
読み進めていくとドンドン不穏な空気が濃くなっていく・・・
ザワつきが加速する・・・
アルフレッド・ノイズの『深夜急行』・・・
恐ろしいことから逃れられない、抜け出せない恐怖感が凄くイイ・・・
いったい、どうやったら逃れられるのか・・・
スタンリイ・エリンの『ロバート』・・・
38年教鞭をとってきたミス・ギルティー・・・
残すところあと2年で定年で、あとはゆったりと余生を送れる・・・
はずだったのに・・・
ロバートという生徒が・・・
今まで積み上げてきたものを・・・
ジワジワと崩していく様が・・・
厭すぎる・・・
そしてラストも何とも言えない・・・
草野唯雄の『皮を剥ぐ』は多分、今回一番の厭さを発揮している・・・
不快指数がかなり高めの作品・・・
特に犬を可愛がっている方は読むの注意・・・
最後まで見事な不快感・・・
クライヴ・バーカーの『恐怖の研究』も厭らしさではかなり・・・
ええ、厭な物語好きの方へ捧げられている厭な話・・・
恐怖にまさる愉しみはない・・・
それが他人の身にふりかかったものであるかぎり・・・
という言葉が腹に響く・・・
腹にズシンとくる厭らしい2作品が続いた後に続くのが小川未明の『赤い蠟燭と人魚』・・・
ズシンとはこないけど、人間の素朴な厭らしさがジワーっと影を落とす・・・
え?おじいさん、おばあさん?!ってなる・・・
やはり後味が悪い・・・
そして、編者の解説を経て、前作同様最後の作品にちょっとした仕掛けがある・・・
ルイス・パジェットの『著者謹呈』・・・
これまでの作品と空気が違う・・・
最後の一言へ辿りつくと思わずニヤっとしてしまう・・・
何とも厭らしい一言でこの本が締めくくられる・・・
感動したり、元気になったり、やる気が出たりする物語・・・
イイですよね・・・
大好きです・・・
最高です・・・
でも・・・
そういうのばかりでは・・・
何だか・・・
ちょっと・・・
物足りない時もある・・・
編者もトルストイの有名な一文を踏まえて言う・・・
『幸福な結末はどれも似通っているが、不幸な結末はそれぞれのかたちで不幸である』と・・・
ハッピーエンドだけでは味わえないものを堪能したくなる・・・
げー苦い・・・
うー臭い・・・
若い頃は避けてきた食べ物も気づけば食べれるようになり、今じゃむしろ美味しさを感じてしまう・・・
好みに幅が出て、甘いのから苦いのまで前よりもっといろんな味を楽しめるようになってきた・・・
そんな方にオススメ・・・
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【読後感もっと最悪。好評アンソロジー第二弾】読めば忽ち気持ちは真っ暗。だが、それがいい! 漱石の掌編からホラーの巨匠の鬼畜作まで、後味の悪さにこだわったよりぬき小説集。
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今回は読んだことある作品がいくつか混じっていたなぁ。それでもこういう形で再読するとまた以前とは違う気分になったりはするけど。今回初めて読んだアルフレッド・ノイズの「深夜急行」、不気味な童話のようで好み。美しい。あと氷川瓏の「乳母車」。そしてラストは前作同様とっても洒落た終わり。