紙の本
考え方のお手本
2016/01/17 23:25
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投稿者:たろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
これからの百年の歴史を予想するが感覚で想像するわけではもちろんなく、筋道立って論を進めていく
この本はその予想が当たっているかどうかではなく、もちろんそれは興味深いが、その予想にいたるまでの論理に焦点がある
その論理というのが地勢学。人間の価値観、政治家の気まぐれでなく、国家の置かれた地勢的環境、そこから導かれる戦略こそが百年変わらない、動かしようのない事実、世界観である
アメリカが弱体化していると言われて久しいけれど、それは非常に表面的なことだとこの本を読むと考えるようになる
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大変面白かった
2014/08/29 14:01
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投稿者:k - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウクライナ情勢、中近東情勢を見るとあたっている。東アジア情勢もあたるかもしれない。
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ここに書かれていることを覚えるのではなく、この本から学ぶことが大事
2017/05/09 21:37
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
一部の著名人が述べるように、インターネットの普及により国民国家という意識は薄れ、国民国家間の戦争というよりは、国家対テロというような構図にシフトしてきていると思います。
そのため、この先100年の国家間のパワーバランスを地政学的に分析することが、果たして役に立つのかは正直疑問に感じています。
しかし、依然として国民国家というものが世界を動かしている事は事実であるので、少なくとも近い将来については、地政学的に物事を考える必要があると思います。
本書に書かれていることが必ず当たるとは思っていませんが、この先、世界がどのように動くのかを考える方法を学ぶことはできると思います。
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発想力を学ぶ
2016/07/15 10:38
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投稿者:papajunny - この投稿者のレビュー一覧を見る
100年先のことなどわからない。著者もそれを百も承知で書いています。
この本は100年先までの見通しを学ぶためのものではないと思うのです。地政的な知見に現世界の動きを加味して将来を構想するという新しい手法を展開しています。そして描かれた将来の世界の在りようは他では見られない斬新な視点を提供していると思います。50年後に日本がアメリカを相手に再度戦争を仕掛けるなどと考えている日本人は今はいませんが、それを可能性としてまじめに論じています。考えたことがないことを考えさせられる、それがこの本が提示するダイナミズムです。
終盤で、100年後、アメリカはメキシコとの戦争を行うがその戦いには勝てないという部分など、誠に納得させられる話も多く、固定観念に凝り固まってしまっていた私にはとても刺激となる本でした。
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未来予測の例として
2019/02/06 01:13
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカで有名なシンクタンクの代表が地政学に依拠して今後起こりそうな未来を予想していく。それによると、アメリカの時代は実はまだ始まったばかりで、21世紀こそアメリカ時代が続く。中国は張子の虎でいずれ地方の軍閥に分裂し、ロシアも一旦は復活しヨーロッパに挑戦はするが結局は没落する。台頭するのは日本、トルコ、ポーランド。日本とトルコは同盟を結んで宣戦するが、結局は宇宙を制したアメリカにはかなわず、地域大国に甘んじることになる。勝者のポーランドもアメリカのパワーバランス政策によって勢をそがれる。次の世紀にアメリカを脅かす存在になるのはメキシコである。後半は未来予測というよりSF小説のようだ。予測する著者の方法論そのものが非常に刺激的でおもしろく、予測の当否などそんなに気にならない。
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2009年に出版された2100年くらいまでの世界を予測した「未来の歴史預言書」と言える本。「影のCIA」と呼ばれる情報機関の分析だけあって、ロシアのクリミア併合などをピタリと当てる。予測は必ずほとんど当たらないだろうが、そのアプローチの仕方は知っておけば世界の動きが良くわかります。
内容もほどよくストーリー仕立てになっており、地政学的な推測の流れがウンチク臭くないのて読みやすく、そのストーリー描写もリアル(ありえそう)なのでまるで映画を見てるように未来が想像できます。
その100年はなかなか衝撃的で、以下はネタバレなので、ストーリーを楽しみにしている人は読まない方がいいかもしれません。
問題は、ここの事象より、どういう原則があって歴史が作られてきたか、とそれを踏まえてどう考えるかです。
この本の存在によって、2050年の日米開戦や諸々の戦争が避けられことを願うばかりです。
そのストーリーとは、ざっくりとは以下の通りです。
2020年代に資源紛争に介入してきたアメリカと冷戦を交えたロシアは軍事支出耐えきれず空中分解。中国も権力闘争で分裂。
ロシア、中国の二超大国が分裂してポッカリ空いた力の穴をポーランド、トルコ、日本の周辺国か勢力圏に収めようとする。アメリカはその取り組みを温かく見守る。
そして大国にのし上がり東欧の盟主になるポーランド、オスマン帝国の再来とも言えるヨーロッパ、中東、北アフリカ、中央アジアに領土と勢力圏を持つ世界帝国のトルコ、分裂した中国に次々に出現した親日的国家に数多くの企業が進出しまたその中国の親日的国家からの移民により人工問題を解決し経済的繁栄をきわめる日本という3つの国が台頭する。
それに並行して様々な技術革新か行われ、とくにアメリカと日本は宇宙開発で世界をリードする。アメリカあらたな宇宙軍事システムを構築し、日本も様々な観測衛星を打ち上げる。
しばらくして、日本はアメリカの宇宙軍事システムに監視されているのを快く思わないようになり、アメリカは日本の打ち上げる民間の衛星がアメリカ宇宙軍の通信の傍受してるのではないかと疑い始める。
また地上では気がつけば、トルコと日本がアジアを束ねる超大国になろうとしており、アメリカは不安を隠せなくなる。
この雰囲気を察知した日本とトルコでは反米感情が高まり、ついには日本とトルコは同盟する。この動きはアメリカを刺激し、アメリカは日本、トルコにより圧力をかける。
一方ヨーロッパはドイツとフランスは大国だが社会が衰退期に入り元気がない。そんな中で隣で成長著しいポーランドにドイツは危機感を募らすが行動を起こす元気はない。
アメリカはヨーロッパに自分を脅かす大国が出ないようにドイツとポーランドを刺激しないように同盟関係を維持するがどちらにも関わりすぎないようにする。が、トルコに圧力をかけたいアメリカは次第にポーランドに肩入れする。
2040年代後半には東欧やギリシャなどのバルカン半島を勢力圏に収めているポーランドがアメリカの支援を受けていることを、勢力圏が隣り合わせるトルコはより一層に危機感募らせ、バルカン半島はふたたび火薬庫になる。
宇宙は2020年代の中国、ロシア崩壊の混乱の収束後、イノベーションと宇宙開発を進めた結果、2040年頃には日米で分け合っている状態となる。アメリカは軍事衛星システムを完成させることで日本に圧力をかけ、日本とトルコは宇宙の利用(宇宙での権益?)や、軍事的な安全が脅かされていると感じる。
そして、日本はアメリカの宇宙軍事システムを停止させ、安全に宇宙を利用できるようにするため、日米開戦の世論がたかまる。
2050年夏、緊張が最高潮に達したバルカン半島でトルコとポーランド陣営で小規模な紛争が勃発。アメリカは紛争解決に奔走し、秋にはとりあえず収束する。日本は紛争に関与せず、とりあえずは平和が保たれる。
引き続きアメリカがヨーロッパに目を向けている2050年11月24日午後5時(アメリカ時間)に突如としてアメリカの宇宙軍事システムは日本の攻撃により破壊される。
多くのアメリカ人がフットボールを見ながらうたた寝している感謝祭の夕方を狙ったことと、またそのミサイルは月面に建設された民間施設に偽装された基地から静かに発射されたこと、アメリカの宇宙軍事システムが想定していない方法で行ったことで完全に奇襲となる。
こうやって、日本・トルコ同盟とアメリカ・ポーランド陣営同盟で宇宙軍事システムと地上の軍事システムをターゲットにした第三次世界大戦が始まる。
トルコは機甲歩兵でポーランド勢力圏をぐいぐいと攻め上がり、日本とアメリカは軍事ITシステムの拠点を超音速爆撃機とミサイル攻撃し合う。
ヨーロッパでは屈強な機甲歩兵に苦戦するポーランドを支援するだけの地上部隊をもはやアメリカは持っておらず、ポーランド陣営は機甲歩兵に必要な発電所や送電システムを破壊しながら撤退を繰り返す。
ポーランドが押され気味になっている中、ドイツにはトルコから参戦の誘いがある。トルコは戦後ポーランドから勢力圏を勝ち取ったとしても維持しきる体力が無いので、ギリシャより北の旧ポーランド陣営の領土をドイツに譲るという条件を付けた。この破格の手土産は、ポーランドの脅威から国を守りたいドイツに渡りに船でアメリカとの若干の関係悪化を承知で受諾。ドイツは日本・トルコ連合側に参戦し、ポーランドに進攻する。
2052年ついにアメリカの反撃が始まる。破壊されたアメリカの宇宙軍事システムから集めたデータや予備の設備をかき集めてあらたな情報システムを構築したアメリカはポーランドで戦闘中のトルコ・ドイツ連合軍と中国大陸で戦闘中の日本に大規模な反撃を行い地上軍と発電システムを壊滅させる。
戦場に近いドイツは壊滅し、日ト独連合は地上戦を続けられなくなる。ここでアメリカは窮鼠猫を噛むごとく、日ト独連合が核兵器を使用することを恐れて、講和会議を開催。
アジアでの日本、韓国、中国のバランスをとり、ポーランドとトルコの勢力均衡を維持したいアメリカは曖昧な講和条件で戦争を収束させる。
日本とトルコの勢力圏は若干縮小し、空いたスペースにはアメリカの勢力圏下になり技術支援を受けた中国が駐留。ポーランドは勢力圏を大幅に拡大したが、トルコとの地上戦で多くの死者を出し、あらたな勢力圏も荒廃していたため、後味の悪い勝利に。日本は戦争による被害は宇宙の施設や破壊された施設の職員や防衛関係者に止められまた民間の都市も打撃を受けないが、人口問題が解決しないという代償を負う。
その戦後2080年ごろになるとメキシコがアメリカを越え、いよいよアメリカはメキシコに取って代わられようとしていることに気づき、関係が悪くなる。
そのころのアメリカ南部ではメキシコ系の住民が多数を占めるようになりもはやアメリカかメキシコか分からなくなる。
人口が過剰になって移民を締め出したくなったアメリカはメキシコと対立。対米感情が高まり、経済的、軍事的にもアメリカを上回るほどに成長したメキシコは、2100年、ついに世界頂上決戦を挑み、開戦する。
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地政学的な切り口だけをもって未来を予測することをナンセンスと決め付けるのは簡単。でも、現実って、かなりそういう部分に占められている。遠くの親戚より近くの他人が気になるのも地政学的。TVのニュースで近所・国内の事が多いのも地政学的。ああいう具体的なストーリーがあってのリスク管理なのかな。日本にもああした予測を考えている組織があるんだろうか。考え始めたらたらキリがないけど。世界地図片手にもう一度読みたいと思いました。
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地政学としてどうなるかを予測した本。
アメリカ人が書いているからか、基本的にはアメリカに都合のいい予測になっている。
でも、20年先の予測も難しいわけだから、どれくらいあたるかは、よく分からないところ。
この本にある変化がありうるならアメリカが分裂してどこかの州が独立ってこともあっても、全然不思議ではない感じだ。
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地政学。
こういう大きい視点で見ると小さい争いにあくせくするのがバカバカしくなる。カウフマンが言っていたような歴史上の出来事に関する法則を探す学問、プリゴジンの言っていた意思決定の理論化の話、コンフリクトの原因が時間の感覚の違いであることなどを思い出す..
アメリカが地政学的有利にも関わらず憂鬱な心理状況である理由。
1 この乖離がアメリカの力がまだ発達しきっていないことを示している。
2 これがアメリカの途轍もない強さを露わにする。アメリカは不安を感じていたからこそ冷戦に途轍もない労力とエネルギーを傾けた。
政治指導者から技術者、軍人、インテリジェンスの幹部に至るまでアメリカ人の冷戦との戦い方は決して気軽でもなければ自信にも満ちていない。だからこそ冷戦に勝って驚いた。(恐るべき謙虚w)
アメリカは心理的に自信過剰と不安が奇妙に入り混じった状態、青年期の虚勢と絶望。アメリカはまだ16世紀ヨーロッパのような未開状態にある。文化はまだ形を形成しておらず意志力は強い。そして感情によって相矛盾する方向に突き動かされがち。
文化の三つの状態
未開:未開人は自分の村の慣行が自然法であり、異なる生活習慣を持つ人たちは取るに足らない状態で、救済するか破壊するかしかないと思っている。
退廃:この世に絶対的なものはないと皮肉っぽく考える。彼らが蔑むのは何かを信じる人。彼らには戦う価値のあるものなどない。
文明は文化の最も稀な状態。
文明人は頭の中で矛盾する二つの思想のバランスをとることができる。真実は確かに存在し、自分たちの文化がその真実に近いと信じている。だが同時に自分たちが誤っている可能性を留保している。確信と懐疑の組み合わせは本質的に不安定である。
文化は未開状態から文明状態を経たのち懐疑によって自己革新が揺らぐと退廃状態に陥る。文明人は相手を選ぶが効果的に戦う。
ヨーロッパはすでに退廃に入っておりアメリカは未だ未開。あらゆる未開文化がそうであるようにアメリカ人は自分たちだけに通用する道理のために戦う。
(発展経路は果たして一つだろうか)
アメリカの戦略目標および基本戦略は恐怖心。ローマ帝国も世界制覇を目指していたわけではなく、国の防衛を目指してその目標に取り組むうちに帝国になった。
恐怖心は和らぐたびに別の弱さと別の恐怖を生み出す。国家は持っているものを失う恐怖によって突き動かされる。恐怖という観点。
現在の国際システムはひどくバランスを崩した状態...アメリカが元来強力になりすぎたため、それ以外の諸国がアメリカの行動を制することができなくなった。国際システムは自ずと均衡に向かう傾向にある。バランスが失われた世界では絶対的な力を持つ大国の脅威にさらされた弱小国が、大国の力に対抗するため同盟を形成することが多い。アメリカがベトナムで敗北後に中国と手を組んだのも当時強力になりすぎていたソ連を制御するため。
だが現在は強力になりすぎたアメリカに対して反米同盟を組織することは難しい。アメリカと折り合いをつける方がずっと楽���。(巨大アトラクタ的だ!)反米同盟は失敗すればアメリカの容赦ない行動にさらされるだろう。
矛盾:アメリカは一方で深い恨みを買い、恐れられてもいる。しかしその一方でここの国はアメリカとうまく付き合っていく方法を模索している。
この不均衡とアメリカを封じ込めようとする取り組みとが21世紀の世界のトレンド。アメリカ以外の国にとって危険な世紀。
地政学、誤りの許容範囲と呼ばれる重要指標。それぞれの国に誤りを犯す余地がどれほどあるか占う指標。国が直面する危機の種類、国がもつ近いの大きさ。
誤りの許容範囲が非常に小さい国-些細な失策が命取りになるという認識から外交政策の事細かな点までこだわる傾向にある。(イスラエル、パレスチナ)これに対して小国だが周りを敵に囲まれていないアイスランドには誤りを犯す余地がかなりある。アメリカも。
アメリカは世界に対して不用意に力を行使することが多い。愚かだからではなく、注意を払う必要がないから。注意を払っていると効率を落とす。無謀が許されるアメリカはときに他国に苦痛や破壊的被害をもたらす。それでも前進し、繁栄を続ける。
アメリカは常に過剰反応する。ある瞬間とてつもなく壊滅的に思われたことをバネに、果敢に問題を解決する。一般に新興国は過剰反応する。成熟した大国はうまくバランスをとることができる。衰退に向かう大国は一度失ったバランスを回復できない。
アメリカにとってはどの一つの関与も決定的に重要ではないが過剰反応する。だが相手国にとっては国を一変させるほどの力をもつ一大事。相手国はアメリカの行動の前に無気力を感じ、その無気力はどんな状況にあっても怒りをもたらす。怒りの矛先が向かう国、つまりアメリカが無敵でありしかも無関心であることがなおさら怒りを駆り立てる。
21世紀は自らの行動が招く結果に無頓着なアメリカと、そのアメリカに抵抗して怒りを向けるその諸国という構図。
アメリカの対テロ対策が終局に向かうにつれて、イスラム国家そのものがイスラム過激派に対する防御の最前線に。イスラム国家はアルカイダの究極のターゲット。アルカイダがイスラム教や西洋に対してどのような考え方を持っていようともイスラム国家はアルカイダに政治権力を引き渡すつもりは毛頭ない。むしろ国をあげて、つまり諜報、安全保障、軍事面での能力を結集して、アルカイダを潰しにかかるだろう。
アルカイダが破れさえすればアメリカは勝つ。イスラム世界が混迷して結束できなくなればアメリカは戦略目標を達成したことになる。
イスラム世界はかつてないほど分裂しておりそのことがこの時代に終止符をうつ。
トルコはイスラム世界における大国、再び対等しつつある。トルコの台頭はソ連崩壊による混乱ではなく、新しい力学の所産。怒りは歴史をつくらない。歴史を作るのは力。力は怒りによって強められることはあるが、地理、人口動態、科学技術、文化といったより根本に関わる現実的条件を拠り所とする。こうした条件の一つがアメリカの力を規定すると同時にアメリカの力が21世紀を規定する。
まとめ:20年前のソ連崩壊で冷戦時代は動きを抑えられていたイスラム地域が急��に不安定になった。アメリカの基本戦略(イスラム世界を混乱に陥れ、アメリカへの敵意を生み出す)
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表題の通り、今後100年の世界史を予測している。
本作の冒頭でも著者が記載している通り、Detailの部分は正確ではないかもしれないが、大筋では悪くない予測を与えると考えているという。
未来に発生する事象が何の制約条件もないのであれば、科学的な予測は不可能に思えるが、未来は過去という極めて強い拘束を受けるため、注意深く考察することにより、大筋は予測できるのであろう。
ちょうど、チェスの名手同士が対戦した時に、コマが盤上全て動くことはできても、最善手という意味では実はありうる手数はそれほど多くは無いという比喩が成り立つように。
ただし、どんな科学でも100年後は眉唾ものであると思われる。
例えば、日本のエネルギー予測を良く見受けられる(特に原子力!)。が、100年後となると誤差の影響が強く伝搬するためもはや何でもありになってしまう。
とすると、重要なのは直近の数十年(~50年)の挙動予測であると思う。
筆者は、ずば地政学的な意味では、アメリカが相変らずヘゲモニー的な地位を維持すると予測している。
ただし、対抗馬がありそれは(ロシアや中国ではなく)トルコと日本、時点でメキシコであると予想する。
なぜの核心部分は本書を読んでもらうとして、トルコはわかるとして、日本が出てくるのは日本人として誇らしいようで、ホントか。と自虐的になってしまう。
長期的な不況、歪んだエネルギー構造による国際的な競争力のなさ、人口減少、年齢構造による労働力の減少等、マイナス要素を挙げればキリがないが、プラス要素はパッと思いつかないし。
筆者のロジックは、アメリカは南米、ヨーロッパを軍事的に制圧できるがアジアまでは手をのばすことができない。かつ、中国、ロシアは歪んだ資本主義により自然と解体するので、そのスキに日本とトルコが台頭するしかないじゃん、というもの。
その後は、日本がアメリカに戦争をしかけるというシナリオを紹介しているが、なかなかあり得なさそうなシナリオだと思う。
日本の安全保障はどこの国にしてもらっているのだろうか。それを振りきって、自国で軍事力を持つ勇気がこの国にあるのだろうか。。集団的自衛権の憲法解釈でこんなに騒がれているのに。
いずれにせよ、将来の予測をするのは大変な努力をしなければならないし、将来、本書の正解がはっきりとわかるという点で著者のリスクは大きい。
それを承知で、このような大胆な本書を書き上げたのはやはり作者の力量があってこそなのだろう。
50年後にまた本書を読むとしよう。
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「ジャンルはウソくさい予言書」だろうなと思いながら古本で購読。
国際関係に始まり、人口増減や地政学的観点からの大胆な予想があり、一読する価値はある本。
日本とトルコVSアメリカの宇宙戦争となった時点で、SFか?と困惑させる。
多いに納得させる点や、新しい視点を持つ材料になる点もあるが、しかし、経済学的観点が足りない気がする。
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日本で軍国主義を復活するとは考えにくいけれど、そうさせようと戦争屋さんとその手先が頑張ってますね。それに反して国民の呑気なこと。
トルコとの関係がキーになると言うのは面白い。今後注目しよう。
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アメリカは若い国で繁栄はこれから。筆者はこの本を臆面もなく書けることで、はからずも母国が若い国であることを実証している。また若さ故に大胆な予測も。この単純さにこそ学ぶべきか。
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おもろい。ぶっとんでるけど、ありえなくない範囲と思ってしまった。
主題は未来予測だけど、やはり過去の分析から立ててるだけあって、いちアメリカ人から見た●●人観みたいなものもうかがい知れてすごく良かった。
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このような本があることを知ってはいたのですが、ある本を読んでいて初めて題名を知りました。あの有名なフリードマン氏が書かれた本の訳本が、2009年に単行本で発行されたものが文庫化されたものです。
私が興味を持っている「地政学」を駆使して、全世界の今後100年間にわたる予測を行っています。気になった所に付箋を貼りながら読むのですが、本が付箋で一杯になりました。凄い本でした。
21世紀もアメリカが世界一であり続けるのが結論ですが、それに挑戦する国として、日本がトルコと同盟を組んで挑み敗北するというストーリーが印象的でした。
つい数年前までは大国化すると騒がれていた、中国、インド、ブラジル、ロシアは難しいようですね。ロシアの衰退に代わって欧州で成長するのは、現時点で一人勝ちしているドイツではなく、ポーランドというのが驚きでした。
また、メキシコが経済大国化して、アメリカとの事実上の国境が北上して、かつてのメキシコ領土に迫る、という考え方も面白かったです。この本は、すでに続編が二冊も出されているようです。これからそれらを読むのが楽しみです。
以下は気になったポイントです。
・アメリカへの次なる挑戦者は中国とは言い難い、理由として、1)孤立した国であり領土を拡大できない、2)海軍国ではない、3)本質的に不安定、内陸部の国民は貧困のまま(p21)
・世紀半ばに他の強国が台頭する、日本、トルコ、ポーランドである(p22)
・宇宙で発電した電力をマイクロ波に変換して地上に送信するという、戦争前に開発された構想が、来たる世界大戦中に試作から実用化へ移行する(p23)
・統一ヨーロッパが実現しなかった理由は、英仏海峡である。最初はスペイン、続いてフランス、最後にドイツが大陸の支配に成功したが、統一できなかった。(p43)
・イスラム教徒が多数派を占める旧ソ連共和国(アゼルバイジャン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン、カザフスタン)は、ソ連が崩壊するといきなり独立した。(p63)
・出生率の低下と平均余命の延びの鈍化により、人口増加は終わらざるとえない(p93)
・ロシアにとって冷戦後の世界が本当の意味で終焉を迎えたのは、2004年12-1月にかけて、ウクライナでオレンジ革命が起きた時)p115)
・インドネシアとパキスタン以外に、主要イスラム系国民国家は3つある、人口8000万人のエジプト、7100万のトルコ、6500万人のエジプト(p126)
・過去50年で約4倍に増えたメキシコの人口は、今後50年間で安定する、人口減少に悩まされることなく労働力が確保できるのが強味(p132)
・中国を地政学的に見た場合、島国である、他の地域から事実上隔離されている(p141)
・中国政府が拠り所にしているのは、1)国家を運営する巨大な官僚機構、2)共産党の意思を執行する軍事安全保障機構(p152)
・ロシアは2000年ころに戦略を転換した、1世紀に渡って取り組んできた工業開��に見切りをつけて、エネルギー資源を中心とする資源輸出国となった(p163)
・アメリカで220周年前から続いている周期の信頼性が高いとすると、現在は1980年のレーガン選出に始まった第五期の真っただ中、このパターンは2030年頃まで存続する、2032年の選挙で決定的な転換がなされるだろう(p195)
・社会保障制度が退職年齢を65歳と設定したとき、平均余命は61歳だった。その平均年齢の延長が年金制度の収支計算を変えてしまった(p201)
・2040年代までに、アメリカは、日本・トルコ・ポーランドと同盟を組んでいるが、日米間には著しい利害の不一致が生じている、アメリカは韓国(統一朝鮮)および中国の政府と手を組んでいる(p220)
・アメリカは金のかかる非効率的な従来の戦略を放棄して、その代りに、極超音速無人機のシステムを構築する(p253)
・20世紀に戦争を戦うには、何千人もの爆撃手と何百万丁ものライフル銃が必要だった、21世紀には、この数分の1で戦えるようになり、総力戦の終わりを告げる(p268)
・21世紀の制海権は、外航艦隊よりも敵艦を識別し、狙う事のできる宇宙システムに依存するようになる(p275)
・21世紀の戦争にとっての電力は、20世紀の戦争にとっての石油に相当する(p303)
・2050年代の戦争中に、新しいシステムの本格利用が始まるだろう、2060年代の宇宙発電計画を通じて、宇宙発電は日常生活の一部分となる(p327)
・貧しい国から富める方への人口移動は起こるが逆は無い。メキシコとの政治的境界は変化していないが、文化的境界は北方に移動している(p336)
・社会的、政治的危機が起きる2030年ころまでにロボット技術の実用化に向けた試験が行われて商業化の準備が整うだろう、2030年のロボットは、1975年ころのコンピュータだろう(p338)
2016年2月20日作成