電子書籍
ディストピアかユートピアか
2020/06/28 21:12
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投稿者:コハ - この投稿者のレビュー一覧を見る
十年ほど前、大学でベーシックインカムの講義を受けたときは働かずにどうやって経済が成り立つんだよ、と思ったが、それから時代は変わった。AIの急速な発展により、夢物語ではなく、リアルな選択肢の一つになったのだ。純粋機械化経済が実現するとベーシックインカムがあればいい、というよりも無ければ大変なことになる、というのがこの本を読めばわかる。文章も無駄がなく、わかりやすい。いい本でした。
紙の本
AI⇒BI
2018/05/31 19:14
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投稿者:451 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第5章には個人的には異論もあるし、導入の賛否もある。
しかし、そのシステムについての説明は大変勉強になった。
電子書籍
脱労働社会
2018/05/12 16:02
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投稿者:オビー - この投稿者のレビュー一覧を見る
生命維持(収入源)のための「労働」、永遠性を有したものを制作する「仕事」、人間同士で対話する「活動」。
労働はテクノロジーに代替される。悪く言うと奪われる。
収入源が絶たれる人が増えてくる問題に対して、BIは1つの解決策であり、基礎知識、財源、貨幣制度、政治経済思想など、これから議論するためのいろいろなパーツを提示してくれている。
特に政治経済思想では、わかりづらい右翼左翼や保守革新がうまく整理されている。
日本はリバタリアニズムを再輸入し、労働を美徳とする「儒教的エートス」から脱すべきである。つまり、すべきことではなく、したいことができる社会を目指すべき。
次の時代の価値観は芽吹いている。
頭をいっそう柔軟にしなければと思った一冊。
紙の本
これはひどい。買ってはいけない!
2018/05/31 14:33
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投稿者:天野 雅徳 - この投稿者のレビュー一覧を見る
知識の乏しい学生相手なら、この週刊誌レベルの粗雑な書きぶりでも喜ばれるかもしれないが、BIの必要性に関する冒頭の論理展開があまりにも雑過ぎて、BIに対する誤解をむしろ深めてしまいそう。真に制度導入をねらうなら、新自由主義者、社会保障制度の簡素化の観点からBIを支持する人も巻き込まないと目的は達成できない。自分の言いたいことだけ並べただけで全く戦略性を欠いている。また予算、税制に関する細かな理解も欠いており、他の人の試算を検証した様子もなく引用しており学者の書いた本とは思えない。さらに、消費税率の2%引き上げは厳しく批判し、所得税率の一律15-25%、相続税率の30%引き上げに無頓着というのは、左派にありがちな、自分が負担者になると思っていないことからくる無責任かつお気楽な提言。政府統合モデルを出して、日銀が保有している国債は気にする必要がないような書きぶりに入ったところで、読むのを放棄。岩井克人の貨幣論も読まずに貨幣論を展開するとは笑止千万。
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道徳は人が心地よく生活するために大切なものだが、道徳も行き過ぎると息苦しくなる。最近の不倫報道など、社会にそこまで大きな影響や意味はないと思うが。何事も波のように振幅を持ったものとして社会に現れるのだろう。
現代日本人の持つ道徳観の一つとして「働かざるもの食うべからず」がある。絶対的な価値観を押し付ける。本当の幸せとは人それぞれだと誰もが感じているのに。また、自分の頑張りが自分ひとりの頑張りと思い込み、単なるラッキーとは思わない。息苦しさを感じている人が多いのに。むしろ息苦しさを感じているから、さらに弱い者をたたくのか。
自身、仕組みとしてのBIをじっくりと考えきれたわけではないが、いい考えだと感じた。生き辛いことが多い社会が悪くなる仕組みではないように感じる。
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AIが浸透していく現代社会において、ベーシックインカムがいかに機能するかについて書かれた本だが、個人的にはそれに限らず現代社会をも著者独自の観点から分析しているのがとても参考になった。本書には著者の様々な分野の豊富な知識が凝縮されているだけではなく、それをわかりやすくまとめられている点もまた価値だなと感じた。著者の本は二冊目だが、この本もまた読んでよかったなと思えるものだった。知り合いに紹介したいなと思える本です。
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基本的な説明はすごくよくて、それでマクロ経済的に国債で国民に配っちゃえばいいじゃんって話は結構筋がいいのでは?なんとなく、モノポリーで一周回るごとにGOでお金をもらうってイメージができた。クルーグマン好きとしては、まあお金ってのはフィクションだからうまくいきゃあいいんじゃないという立場なので、全然違和感ないです。まあでも、やってみないとわからんよな。結局為替との関係がどうなるのか?みたいなところな気がする。EUでの共同通貨の失敗を見ても、なんか、通貨の未来を考えるってのが国としていちばん重要なんだろうなと感じますね。BI、たぶんそれのおまけかも。通貨よりもリンクと構造のほうに価値が移った時代において、weak linkのnodeがspecial nodeまでの距離が離れすぎないようにするのはどうするのだ?ということな気がしてきた。node全体の距離を一定内に保つ。 それで、本は、結構右翼左翼とは?みたいな終盤戦も面白かったですよ。熱い。
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地方は、VRかBIがないと生き残れない。
デメリット=働かなくなるのではないか。
インドとフィンランドで実現しそう。
AIが発展すると、BIが必要になる。富の集中で需要がなくなる。
国の経済にとってのコストは、お金を使うことではなく労力を無駄遣いすること。使ったお金は誰かの収入になる。BIは、生活保護に比べて選別の費用(無駄)がないから効率的。
負の所得税と同じ。またはインセンティブありの生活保護。
相続税を上げる、固定資産税を上げる、資源税、ロボット税など。
固定BIは税金を基にする。変動BIは通貨発行益を基にする。ただ配るだけ。
貨幣制度は変遷する。現在は銀行中心の貨幣制度。
クリーピングインフレとギャロッピングインフレ。
アメリカは、バブルリレーを行ってきた。日本はバブルに警戒的だったため、不況が長引いた。
富の偏在が資本蓄積を可能にした(ケインズ平和の経済的帰結)
貨幣制度改革の提案者ジョセフフーバーとジェイムスロバートソンは、貨幣発行益を隠れた補助金と呼んでいる。
民間銀行の信用創造を廃止し、貨幣発行益を国民に配る=変動BIの原資。預金口座は単なる金庫。準備率を100%にする。
技術進歩が失業率を上昇させる可能性は「労働塊の誤謬」として否定されている。
事務労働が減ると、高度労働か、肉体労働に移行する。銀行業が大失業時代を迎える。
タクシー運転手や警備員は2030年あたりから減る。
それでも残る仕事は、クリエイティブな仕事、マネジメント系(経営)、ホスピタリティ系。
汎用AIが登場すると、2060年には、脱労働社会になる。=BIが不可欠になる。選別費用のために生活保護が成り立たなくなる。失業と格差はまずます広がるので、再分配政策としてのBIが必要。
第二の大分岐=AI時代に、AIとロボットが労働する時代。成長率が再び級数的に伸びる。
BIがないと需要が追い付かない。ヘリコプターマネーでお金を配る必要がある。
働くもの食うべからず、という儒教的考え方との折り合いがつくか。
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『AI時代の新・ベーシックインカム論』(著:井上智洋)
付箋部分を抜粋します
・そう考えると、今、私がニートやホームレスではなく大学教員でいられるのは、究極的なところ偶然に過ぎない。
そして、私だけでなく、今順調な人生を歩んでいるという人は、等し並みに運が良いのではないだろうか(p4)
・「ベーシックインカム」は、収入の水準に拠らずに全ての人々に無条件に、最低限の生活を送るのに必要なお金を
一律に給付する制度だ(p22)
・それでも残る仕事
クリエイティブ系
マネージメント系
ホスピタリティ系
こういった仕事では、自分の感性や感覚、欲望に基づいた判断を必要とする(p160)
・儒教的エートスのうち、恐らく最も問題なのは「義」であり、日本人は「したいことをする」のではなく
「すべきことをする」ことで人生の長い時間を過ごしている。コミュニティ内の明文化されている規則や
明文化されていない慣習を含む数限りない義務にがんじがらめになって生きているのである(p227)
・勉強したいからではなく、すべきだからする。会社に行きたくはないが、行かねばならないので行く。会社の飲み会に
行きたくないが、行かねばならないので行く。そうやって人生の大半を過ごし、リタイヤして義務から解放されたら
何もしたいことがなくて虚無感に襲われる、なんてことになりかねない(p234)
・そもそも労働意欲がないこと、怠惰であることはそんなに罪深いことであろうか?(p257)
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AIに雇用が奪われる時代に向けて注目されるベーシックインカムを解説した一冊。概要は知っていたけれど日本には財源が無いと漠然と思っていたので第2章の「負の所得税」の考え方は勉強になった。生活保護の拡大版ぐらいに思っている人にこそ読んでほしい。果たして労働の在り方は変わるのだろうか?
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説明はわかりやすいんですが結論が受け入れられないんですよねσ^_^;
なんでかなあと読み進めてたんですが終章に近づく毎に結果の平等志向なんやなあと気づきました。
障がい者もアンラッキー
ギャンブル依存性もアンラッキー
怠け者もアンラッキー
努力している人間に勤労意欲や能力が発揮できたラッキーで考えろと言われてもσ^_^;
それなら努力しないことを選択してアンラッキーやって言いますよね。普通。
他罰的なアンラッキーで片付けられるとBIを支える産業の根本が成り立たないと思うんですよね。
生活できる最低限のBIを支給してシェアハウスで暮らしたり物価の低いところへ移住を促すのは治安を考えても両面あるなと。
個人としての犯罪率は下がるのでしょうがゲットーができたり貧民街ができると治安は果たして良くなるのか。疑問ではあります。
ただ市中銀行をなくして中央銀行一本化することでBIの原資を確保するという意見にとても賛同しました。
マイナンバーを活用したら今の市中銀行を使わずとも金融機関業は一本化できます。
また信用創造という意味で貸出準備率を超える価値を生み出す能力は政府に返上するか吸い上げるシステムが必要やと思います。
まあ今の銀行は投信売ったり証券会社さんと変わらないですから。
まあどちらにしても原資の問題かなと思いました。
AIに税金かけるって言った途端に企業はAI入ってないとか言いだすんやろなσ^_^;
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儒教的エートスが日本人の不幸の源泉とする見方には共感できる。BIの導入に抵抗があるとするとここだろう。
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タイトルに「AI時代」とありますが、AIとは関係なく、ベーシックインカムの本として読めます。
現時点におけるベーシックインカムの意義や考え方やその可能性について述べた本であり、今押さえておくべきベーシックインカムの全体像をつかむにはよい本だと思います。
その一方で、ベーシックインカムの考え方が生まれた経緯や、これまでに行われた社会実験の説明はほとんどないので、それらを知りたい場合には、別の本をあたる必要があります。
なお、この本では、日銀や銀行の役割についても詳しく説明がなされていて、それらもなかなか勉強になり、自分にとっては、学びの多い本でした。
ただ、終盤の政治思想についての説明は、若干クドイ印象(その結果、わかりにくい印象)を受けました。
ここがすっきりしていたら、★★★★★としたと思います。
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AIの進化により市場の生産能力が大きく向上して、供給能力が上がったとしても、仕事のない人たちからは需要が生まれなくなる、という理屈を知れたのが良かった。右翼や左翼などイデオロギーの違いをかなりのページを使って書かれてるが、AI/BIから遠く離れたことのような話と感じてしまって疲れてしまった。5章は読まずに済ませばよかった。
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井上氏の著書「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 」をきっかけにベーシックインカムという制度を知り、この本でさらに現実的な将来像が見えてきました。
日々、時間に追われる労働がどれだけ現在の価値観を歪めてしまっているか・・・考える機会を得たように思います。