紙の本
対極の2人
2021/02/03 13:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの通り、100%ポジティブなゲーテと、100%ネガティブなカフカと言いたくなるほど、同じものを見てここまで違った見方ができるのかという「名言」の数々。この両極の間を凡人たる私は、時にゲーテに近い見方になったり、またあるときには滅入った気分でカフカ的になったりしているのでしょう。
ただ、希望名人のゲーテも様々な経験で鍛えられてのポジティブ思考の境地へ。カフカもただ根暗で孤独なわけではなく、よき友人がいて、恋に胸を焦がした人。とても人間くさいお二人なのだと、本書の名言を読みながら感じたのでした。
紙の本
名言の宝庫
2022/09/27 21:57
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投稿者:ももじろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゲーテとカフカ。
本当に対照的な2人です。
が、それ故に2人が並ぶと本当に面白いという事を、痛感しております。
頭木さんの言う通り、
「私たちは日々、希望と絶望の間で揺れ動いているのですから、その両方の言葉を読むのがいちばんいいのではないか」
私も同感です。
著者頭木さんの本を読むのは2冊目です。
「絶望名人カフカの人生論」を先に読みました。
これが私的にとても印象深くて、機会があったらまた頭木さんの本を読みたいと思っていました。
ゲーテとカフカ。
最後の最後まで感動しながら読み終えました。
(最後の、「主な引用・参考文献」もとても詳しくて、勉強になりました。)
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明るすぎる言葉を見ても穿ってしまう、しかし立ち直りたい。読了後、そんな時期に読むのにぴったりの本だと思いました。 筆者も前書きで書いてますが、希望と絶望の中間の本です。 最初はゲーテ眩しすぎるな、と感じていたんですがカフカの絶望が本当に極端で、またゲーテとカフカの温度差が凄くて、ちょっとクスッとしてしまうほど。落ち込んでいた気持ちが少し軽くなりました。
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希望と絶望の端にいるゲーテとカフカ
ふたりの名言がエピソードと共に綴られています。
元気で明るい言葉は涙が出ます。前向きな言葉は勇気をくれます。
繊細でもろい言葉は背中を押してくれます。後ろ向きな言葉は不安を煽ります。
私達の感情は厄介で、常に揺れ動いています。
いつ?どこで?どんな気持ちで?
ゲーテとカフカの言葉をそっと思い出し、心の拠り所にするのも良しです。
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希望と絶望の間の本、ということだけれど、この極端さは、間というにはあまりにも…と思いながら読み進めた。
わたしはカフカが好きだ。
作品は「変身」しか読んだことがないけれど、「絶望名人カフカの人生論」に描かれている日記や手紙に、心底共感した。
ゲーテは本書で初めて触れる程度の知識しかなく、カフカの抱えている生きづらさ、苦しみを理解できる人なのかどうかが分からず、途中でゲーテの言葉が全く入ってこなくなることがあった。
最後まで読んで、わたし個人が感じたこと。
ゲーテが共鳴するもの、それは「(深い)悲しみ」、
一方、カフカが抱えているものは、「(底知れぬ)寂しさ」。
あくまで個人的な感覚だけれど、悲しみは、カフカの抱える寂しさに比べ、美化・超越しやすい。ゲーテがしていたように。
でも、カフカが抱える葛藤を含んだ寂しさは、苦しいばかりで、希望を抱きづらい。(もう一度言います、あくまで個人的な感覚です。)
最後の章で、カフカは希望を語る。けれど、その希望は常に苦しみと結びついていて、ずっと横たわっているものは絶望なのだ。
カフカと同じように親との葛藤を持ち、常に絶望することで世渡りをしてきたわたしにとって、彼が発する一言一言には重みがある。これほどまでに、人付き合いを困難にさせ、ただただ普通に生きるということを、しんどくさせる。
読了後、「絶望名人カフカの人生論」に立ち返った。そこで思ったのは、本書を最後まで読めたのは、きっと、カフカと交互に訪れるゲーテが、本書を支えてくれてたんだな、ということ。つまり「絶望名人カフカの人生論」はやはり、カフカ独特の絶望が敷き詰められていて、読み手の時期を選ぶ。
そういった意味では、本書はまさに、希望と絶望の間の本、といえるのかもしれない。
人間が生きていく上で、環境は大きい。二人とも、環境が違えば全く違う人生を歩んだかもしれない。
けれど、ゲーテもカフカも、持って生まれた人間性が、彼らをこういう人生にしたんだろう。環境が違っても、ゲーテは希望を見出し、カフカは絶望する。そんな気がした。
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絶望名人カフカと希望名人ゲーテの夢の対決。
ふだんは名言集みたいなものはほとんど買わないが、本書はネット上でけっこう評判が良く、気になったので買って読んでみた。
本書はカフカとゲーテの放つ明暗を1ページごとに対比する構成で、お互いの持ち味を生かしきった好試合が続く。
自分の欠点を「あらゆることに失敗する。いや失敗することすらできない」と、まるでブラックホールのような暗闇に吸い込まれていくカフカと比較して、ゲーテは「欠点のなかには、その人にとってなくてはならないものもある」と少しでも前に進もうと努力する。
この対比のなかでカフカの魅力はより一層の「輝き」を見せる。
本書でのカフカは、まるで昔のレディオヘッドのようにすべての対象を暗闇につつむ。が、その暗闇が本書の中で輝きを放つのはなぜか、といえば、ゲーテの「輝き」もまた、たんなるオプティミズムな能天気さによる明るさではないからであり、カフカとゲーテの対比による明暗を際立たせているうちに、カフカの暗闇がゲーテの暗闇に重なり、ゲーテの明るさに物悲しさを感じさせている気もしないでもない。
思うことはいろいろあるが、カフカの生きる後ろめたさから放たれる「輝き」の魅力を感じられる一冊でたのしめました。
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タイトルに惹かれて、図書館に予約し借りて読んだ。
「希望名人」と「絶望名人」の名言対決的な期待で読み始めた。ゲーテもカフカも世に名の知れた大文豪であるし、ゲーテが楽観主義の希望の人であることはなんとなく感じていたけれども、カフカがそんな「絶望名人」と言われるほどのマイナス思考の人だとは思っていなかったので、未知のカフカを知ることもできるんじゃないかというような期待ももって読み始めた。
各章ごとに、例えば「前向き/後ろ向き」というような大きなテーマがあり、その章の中に「希望が助けてくれる/希望は埋葬された」というような小見出しがついたセクションがあり、両者の見出しにあった「名言」が対比された形で見開きで紹介され、その次の見開きでその言葉の背景などが紹介されている。
「恋」に関するテーマのあたりまでは、最初に抱いた期待とか、好奇心を満たそうという意識で読み進めてきた。
確かに、ゲーテは天才だし、楽天家で明るいし、行動的だし、ゲーテのページを読んでいると楽しくなったり、励まされてたりする。言葉にもプラスの力がある。
それに対するカフカのページはとても繊細で、常にマイナス思考だ。この本は、カフカを引き立て役として、ゲーテの凄さを表現したかったのだろうか?
そうでないことが、後半からわかる。対話11「親を超える/親に圧迫される」という章あたりから、読みの比重が逆転する。右側のゲーテのページはさらっと読み流し、早く左のカフカのページが読みたくなる。
ゲーテがオプティミストであり、カフカがペシミストであったのは、それぞれの家庭の環境に大きく起因していると思われる。その実態がこのあたりから明かされてくる。このページあたりからは、心理療法的での臨床事例的な内容となっていく。
カフカは作家である前に、人として自分の人生を戦って生きた人であることを知った。彼が自分の心を自由に開放することができていたなら、ゲーテに匹敵するか、ゲーテを超える才能を発揮していたかもしれないとも思える。
本書の著者(ご自身は翻訳したと言われているが、翻訳は名言部分で、解説部分はご本人が書かれたものだろう)は、あとがき部で自身がこの翻訳をはじめたきっかけが、自分の突然の病と13年間にわたる「ひきこもり生活」に近い闘病期があったことであると明かされている。
本書は、カフカの気持ちを理解でき、またカフカの絶望の名言で本当に救われた期間のあった著者が編集したという点が重要であると思う。
そしてカフカも著者もゲーテの言葉に励まされたという事実も述べられている。
だからこの名人対決は、単に名言対決に終わらない、人を救う力のある本であろうと思う。
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ゲーテとカフカは境遇が似ているのに残された言葉の方向性は真逆なのは面白いと思う、この面白さ皆に伝われー って感じの内容w
お題に対してあった名言を対比させて、作者の解説を付け加えている形式の本。
光が強いと闇もまた深まるしその逆も然り って趣旨はその通りだと思うが、系統立てたり整理したりはなくつまみ食い形式なので深みは無い。
この言葉が面白いと思ったらこれを調べるの良いよ みたいな誘導があればよかったなと思う。
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息子がおもしろい本を見つけたと中学の図書館で借りてきてくれて、これが確かにおもしろい!
「希望は生きるのを助けてくれます」というどこまでもポジティブなゲーテと、「朝の希望は、午後には埋葬されている」というどこまでもネガティブなカフカ。しかし、2人は境遇がとても似ている。違う時代を生きた2人の言葉が対談のように交互に書かれていてリズミカルに読み進められます。最初は後ろ向きなカフカにイライラするほどでしたが、自分の考え方は実はカフカに似ているかもと気づく。最後が意外でまたびっくりの1冊。
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カフカに対する印象が変わった。勿論良い方向に!
ゲーテはファウストが強烈なため可憐な人物像と混ざらず敬遠しがちだったが
年老いてもなお恋をしていたその精神は何を置いてもの拠り所だったように思います。
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表題通りカフカとゲーテ両者の名言を対になるように集められた1冊。同一のテーマについて(例えば希望についてだったり失恋についてだったり)の名言が1つずつ並べられ、その発言にまつわるエピソードなどがまとめられている。編訳者である頭木弘樹氏のカフカとゲーテをおちょくるような解説が2人を身近な存在に感じさせてくれた。両者の著作を読んだことがあればより楽しめるが、未読であっても楽しんで読めそう。2人の軌跡を辿る伝記や単なる名言集ではなく、娯楽として非常におもしろかった。あと読みやすい。
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メモ→ https://twitter.com/nobushiromasaki/status/1424636499639771137?s=21
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ゲーテ、若きウェルテルの悩みは40年くらい前に読んだ気もするが覚えていない。でも人物に興味がわいたので池内紀のゲーテものでも読んでみようかという気になった。
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これほどまでに、ポジティブとネガティヴな天才を私は知らないです。ゲーテとカフカこの二人の性格は真反対です。だけども共通する部分もたくさんあります。天才が故に、一般人に理解されない部分もあるのかと私は思ったのですが、この作品を読んで意外に一般人に共感するところもあるんだなと感じました。是非ポジティブ、ネガティヴの人両方に読んで欲しいです。
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カフカ作品が好きなので。
大体どの作品もそうだけど、考え方とか人生観、経験がダイレクトに物語に反映されているなぁと実感します。
自分はまさにカフカ寄りの人間で、なかなか希望名人のようには考えられないのですが。それでも、2人には共通点があることを示して下さっていて、どちらが良いとか悪いとかそういう問題ではないんだなぁと思わせてくれます。
作品から一歩踏み込んで、作者の生き様を見つめることの大切さを感じる。