紙の本
登場人物がふるまわれる日々の献立に胃袋つかまれ。
2020/05/21 19:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
国家的大事業としてスタートした東大寺の大仏さま=廬舎那仏を造営した人々の話。
為政者の側からではなく、実際にその手でもって土を捏ね、危険な大仏鋳造にかかわったひとびとの目線から描いた話が珍しい。特に、廬舎那仏造営のために働く肉体労働者=仕丁たちが日々振る舞われる「めし」にいきなり胃袋つかまれました。
紙の本
なるほど!読んで良かったです。
2023/03/02 19:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
奈良の大仏は聖武天皇が建立した。
一応学校では、このように習っています。
もちろん、聖武天皇が現場で土を掘ったのでも資材を組み立てたのでもありませんが。
学校で習う歴史の上っ面だけでは、建立に異を唱えた人たち、全国各地から集められた人たちがいたことを考えるに至りませんでした。
澤田瞳子さんが書いたお話に過ぎませんが、こういったこともあったかもしれない、あっただろうと広く捉えることができました。
紙の本
東大寺の大仏
2021/04/04 20:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
修学旅行で見たような記憶のある東大寺の大仏。建立の為に駆り出された人々の炊屋で美味しいご飯を作り続ける宮麻呂の過去が明らかになっていく場面ではページをめくる手が止まりませんでした。温かい美味しいご飯が人の心をほぐすことに心打たれ、また差別、偏見など今にも通じる問題もあり読み応えがあります。
投稿元:
レビューを見る
面白かったー。でも、陸奥での金産出の話は複雑。それで蝦夷たちがこれからどれだけ苦しめられるか、高橋先生の陸奥三部作大ファンとしては切ない。。。
投稿元:
レビューを見る
大仏建造現場の炊き出し名シェフと
その周りの人達のお話。
重労働には旨い飯、と妙な真実に気が付いてしまいました。
投稿元:
レビューを見る
国家プロジェクトの蔭に物語
東大寺造仏所炊屋私記の人物
は生き生きと描かれて物語と
して完成している
奈良時代って面白いっす!
投稿元:
レビューを見る
澤田先生得意の奈良時代。しかも設定は大仏造成所。この時代は人よりは知っているつもりだが、知らないことが多く、全てが新鮮に感じた。
解説にはホームズとワトソンとなったが、ミステリ(謎)自体はそんなに複雑なものではない。その前後に見え隠れする時代の特殊性、過酷な環境などが物語を盛り立ていると思う。蝦夷の乙虫の登場は奥州好きにとって嬉しかあったが、外つ者の宿命で悲しい話となってしまうのは何とも言えない感情である。
投稿元:
レビューを見る
奈良の大仏を作る人たちとそれを支えるご飯どころのおはなし。この時代のゴハンなんて想像もつかなかったけれど、描かれる食事はどれも美味しそうでたまらない。時代は違えど、人と人とが交わりながら働いて、労働のあとのご飯に救われて、、というのはいつになっても変わらないのだなぁとしみじみ。面白かった。
投稿元:
レビューを見る
登場人物の名前など、描かれている時代柄、読みにくさはあったが、とても引き込まれる内容だった。「大仏も誰かが作ったものなのだ」という、あたり前の事実と、無理やり動員されてきて大仏造立に携わるうちに、次第に心が変化していく人たちの姿と、働き、食べ、いずれ老いていく「生きる」ということと。余韻の残る作品だった。
投稿元:
レビューを見る
奈良時代の仏像の造営現場を通して、当時の人々の様子や食べていたものを垣間見ることが出来る。仏像の話なのに、仏教でいうところの仏ではなく、市井の人の中の「仏」を描いているのがいい。
投稿元:
レビューを見る
うおー!「この設定、誰が喜ぶ?」=「この設定、誰しもが喜ぶ、楽しい!」にする力のある作家さんだ!出会えて良かった!!
投稿元:
レビューを見る
食事とは生命維持だけでなく、人と人をつなぎ、仲間、仕事、社会を作り上げるもの。
そして、仏とはあってなく、なくてある その意味が理解できた。
物語の入りは、取っつきにくく読みきれるのか心配だったけど、15ページも進めば物語の世界にどっぷり入れる。
投稿元:
レビューを見る
202112/奈良時代の大仏建立現場が舞台、現場に集められた個性豊かな面々やとても美味しい食事を作る炊き出し担当等が登場人物達。とても面白かった!登場人物達の名前も馴染みのないものだけど、キャラがたっててわかりやすいので気になることなく読み進められた。時代的に身分による差もあり、仲間に気の毒な出来事が起きたりもするけど、設定もうまくいかされ人の世の辛さ生きていく大変さと救いが描かれていた。
投稿元:
レビューを見る
東大寺造仏所で働く人々のために飯を作る炊屋(かしきや)の炊男(かしきおとこ)、宮麻呂。
客である造仏所の働き手たちのために、自ら材料を集めに回り、少しでもうまい飯を提供する。
ぶっきらぼうだが面倒見がよい彼の周りには、多くの人々が集まってくる。
近江の国から仕丁として働きにきた真楯もその一人だ。
真楯は時々宮麻呂の仕事を手伝いながら、次第に宮麻呂の過去を知ることとなる。
その過去には、八十歳を超えた大徳、行基が関わっているらしい。
まず、大仏建立という題材の設定が面白い。
金属を鋳る作事場の熱、大勢の働き手が飯を掻き込む炊屋の賑わい、奴婢小屋のにおい―ーこうした場面に、本当に立ち会っているような気分になる。
東大寺の大仏は二回見に行った。
恥ずかしながら、ただ、でっかいなあ、と思って見ただけだ。
そこに故郷に残した家族を恋しがったり、上役とやりあったり、組織の理不尽に歯噛みをしたりした人々いたなどと想像することもなかった。
そこだけでも、作家の想像力ってすごい、と思う。
きっと今度大仏を見る機会があったら、見る目が変わっているはずだ。
人物は大勢出てくる。
その描き分けは大変なことだろうと思う。
が、この作品ではしっかりなされていて、安心して読める。
写経所のまだ若い経師である黒主は「僕は~です」といった話し方をする。
奈良時代に?と、最初違和感もあったけれど、しかしキャラには合っている。
真楯は宮麻呂に基本的には敬語で話すが、呼びかけは「宮麻呂」というのにも驚いたが、この時代はこんなものなのかもしれないと思ったりもする。
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍になってから、東大寺の大仏殿には定点カメラがおかれ24時間毎日配信されている。軽い気持ちで見始めた配信だが、朝に夕に、法要や鐘の音に祈るにつれて当時この大仏を作った人々に想いを馳せるようになった。そんな人達の苦労と、辛い日々の中での小さな幸せである三食の飯をテーマとした本。故郷から連れてこられ、暑さ寒さで辛い中に、事故と隣り合わせの肉体労働。その中で美味しいご飯を食べさせてくれることがどんなに助けになっただろう。彼らのおかげで今疫病に苦しむ私達が大仏様に救われている。