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紙の本
日本型組織の病を考える (角川新書)
著者 村木厚子 (著)
公文書改竄、セクハラ、日大アメフト事件…。なぜ不祥事が繰り返されるのか? 冤罪のち厚生労働事務次官を務めた著者が、日本型組織の病の本質、硬直化を打破する「静かなる改革」ま...
日本型組織の病を考える (角川新書)
日本型組織の病を考える
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商品説明
公文書改竄、セクハラ、日大アメフト事件…。なぜ不祥事が繰り返されるのか? 冤罪のち厚生労働事務次官を務めた著者が、日本型組織の病の本質、硬直化を打破する「静かなる改革」までを語る。『読売新聞』連載を再構成。【「TRC MARC」の商品解説】
なぜ日本型組織では、同じような不祥事が何度も繰り返されるのか? 2009年に自身も「郵便不正事件」で検察による冤罪に巻き込まれた村木氏が、この病理に対して初めて口を開いた。
どうして、当時の検察は証拠を改竄しなければならなかったか? あの経験を踏まえ、頻発する公文書改竄やセクハラ、パワハラなど日本型組織の不祥事を「建前と本音」というキーワードで読み解いた時、何が見えてくるのか?
さらには、冤罪のち厚生労働事務次官まで務めたからこそ知ることのできた、硬直化した日本型組織を動かす「静かな改革」とは? 退官後も「若草プロジェクト」などで世直しを続ける村木氏が、諦めずにこの国を変えるために世に問うた渾身の書。
解説:猪熊律子氏(読売新聞東京本社編集委員)
〈内容例〉
2009年6月14日、まさかの「たいほ」/話をつまみ食いして作られる供述調書/フロッピーの記録から崩れた検察のストーリー/証人喚問で次々と明らかにされたでたらめ/まさか検事が証拠を改竄していたとは/勾留期間中、読み通した一五〇冊の本/あどけない少女たちが薬物に染まる悲劇/決裁文書の改竄は前代未聞の出来事/軌道修正できない組織の「共通点」/官僚は本当に「劣化」してしまったか/糾弾するだけでは問題は解決しない/「『連立方程式』を解く」のが公務員の仕事/「同質性」の弊害を打破する「他流試合」/公務員を「褒めて」伸ばせば市民も得をする/日本初の「セクハラ研究会」を作った理由/事務次官の仕事の要諦は人事と危機管理/「若草プロジェクト」が誕生したきっかけ/「公的支援はJKビジネスに負けている」/地域の中で更生する仕組みをどう作るか/「諦めない」ことが、日本を変える力になる……ほか【商品解説】
目次
- 第1章 国家の暴走に巻き込まれた日
- 第2章 拘置所で目にした日本社会の陰
- 第3章 日本型組織で不祥事がやまない理由
- 第4章 公務員はこれからどう生きるか
- 第5章 村木流「静かな改革」の極意
- 第6章 退官後も「世直し」を続ける
- 終章 闘いを支え続けてくれた家族へ
著者紹介
村木厚子
- 略歴
- 〈村木厚子〉1955年高知県生まれ。高知大学卒業。厚生労働省入省。郵便不正事件で逮捕されるが、無罪が確定し復職。退職後は「共生社会を創る愛の基金」顧問、津田塾大学客員教授などを務める。
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紙の本
国家権力
2023/06/28 16:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、村木厚子さんの生い立ちの部分と郵便不正事件のことが書かれています。
郵便不正事件で村木さんは大阪地検特捜部に逮捕・勾留されました。
大阪地検特捜部に逮捕されると勝手にストーリーをでっち上げられ
執拗かつ高圧的に尋問され、最終的に「お前がやったんだ」と冤罪であろうが
とにかく被疑者にされてしまう。
読んでいて、国家機関がここまででたらめであってよいのかと驚きます。
覇権国家ではないのだから。
同時に、いままでの被告人の中には大勢の冤罪者たちがいるように感じます。
間違った判断に気が付いても軌道修正出来ない組織には次のような共通点
があり、なんとしてでも自分たちは間違っていないとするらしいです。
「権力や権限がある」「正義のため、公のために仕事をしているとのプライドがある」
「機密情報や個人情報を扱うなど情報開示が少ないため、外からのチェックが入りにくい」、
財務省、防衛省、警察などはその典型的な組織のようです。
電子書籍
日本型組織の病を考える
2024/02/28 01:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mahiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
諦めない、よく見る聴く、考える。実践するチカラが湧いてきます。村木さんの講演が聞いてみたい。
紙の本
日本の組織体質の被害
2018/10/28 01:36
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まな - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が巻き込まれた事件については、「そういえばそんなことがあったな」という程度で、内容を知りもしなかったです。
私自身がパワハラで会社を退職したことがあり、日本型の組織のもつ危うさについて考えを巡らせていた時に本書を手に取りました。
冤罪事件が出来上がってしまう背景の検察側の組織体質と、私がパワハラ受けた会社の体質がびっくりするくらい似ていて驚きました。読み終えた時は、他人事のようにはとてもじゃないけど、思えなくなっていました。
特に「話をつまみ食いして作られる供述調書」の話や、検察側の部下は上司の思い込みに従わざるを得ない点、著者の圧倒的不利な立ち位置など。パワハラを会社に訴えた時の会社側の対応や私の状況と酷似していました。著者は、問題の組織体質の原因の一つとして、同質性の高い、偏りのある狭い仕事の人間関係が、新しい価値観を受け入れにくくし、また常識が通用しない特殊な世界を構築することになってしまうのではとも考えています。
日本の古い体質の会社も同じような状態だと、私は考えます。
1人ではなく、複数の人が集まって成り立つ組織問題なので、一人一人の日常の問題意識が現状を克服するためにやはり必要であると感じました。
電子書籍
尊敬します
2018/10/06 22:34
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心の底に大きなとても厚い篤いものをお持ちの方ですね。
ご自身の努力と素質、それに素敵な家族の存在。
それが厚い篤いものを育てたのですかね。
紙の本
えん罪「郵便事件」の顛末の詳細な記述が秀逸
2018/09/24 21:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
官僚のトップである事務次官まで上り詰めた村木さんは雇用均等児童家庭局長のときに、郵便不正事件で逮捕・起訴される。えん罪だ。本書はこのえん罪が作られる過程と事件の全容を当事者が詳らかにしている。拘留されていた状況も紹介しながら、そのときの自分の対処の仕方を客観的に著述していて、おそらく、逮捕者の状況をこうして自分のこととして、著わしたものはほかにはあまりないのではないだろう。密室で行われる取り調べの中で、検察に都合の良い調書を作成される様子は、捕まったら犯罪者に仕立て上げられるというもの。しかも、本件では、証拠の改ざんも行われる。その改ざんを冷静に見破ったところから、無実を勝ち取るのだが、普通の人だったら捕まった時点で、もうアウトだ。この事件をきっかけとして、取り調べの可視化の扉が少し開いていく。本書の前半はこうした記述が、本人が体験したことだからこそリアリティーを持って描かれていて秀逸だ。
しかし、中盤は、本書のタイトルである。検察も含み、この間の財務省や日大の不祥事に言及し、日本型組織社会の腐敗についての記述は一般論であり、何かが示唆されるものではなかった。
後半、自身の仕事について、その時々の心の動きが語られる部分については、また興味深い記述が続いていく。均等法以前に厚生労働省に入省した村木氏は、キャリアであるにもかかわらず、お茶くみ仕事が始まったことを告白するし、2人の子どもを育てながら働き続けるなか、同僚である夫が単身赴任していたときもあるし、村木氏が子どもを連れて、地方に赴任したときもある。4カ月もの海外出張もある。そうしたことを経ながら、働き続けた来し方が語られる。
村木氏は退官後、過程にも学校にも居場所を失い、「夜の町」でオトナの餌食になる少女を支援するNGOを立ち上げる。拘置所で見かけた少女がきにかかったからだ。「変わらない」「日本はこうなんだ」「組織は変わらない」と諦めないことがこの国を変える力につながるという。「市民」の力を信じて。
本書のおわりに村木氏は良い市民になることを死ぬまでの目標にすると述べている。