紙の本
アメリカ、日本、北朝鮮
2018/10/31 23:58
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投稿者:wordandheart - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者がハーバード大学で教えるためにアメリカはマサチューセッツ州ケンブリッジに滞在した、2017年9月から2018年7月までの間の滞在記である。時はトランプ大統領の就任1年目から2年目にあたる。当初の滞在目的は「あくまでハーバードの教育システムを内部に入り、それがどのように廻っているかを体験」することであったが、トランプ政権誕生で事情が変わった。この書もハーバードの教育システムにも触れるが、アメリカで次々と発生した「ポスト真実」「ラストベルト」「人種差別」「セクハラ」「銃乱射」といった問題に向き合い、アメリカの今を映し出すルポとなっている。
興味深かったのは、ハーバード大学を扱った第3章、ラストベルトを扱った第5章、北朝鮮問題を扱った第6章。
まずはハーバード大学の事情を知り、大学制度が日米でここまで違うのかと思い知らされた。大学システムが根本的に異なる。日本の大学はやはり肩書き重視で、有名大学に入学し、無事に単位を取り終えることが肝要となっている。片やアメリカでは何をどのように学ぶのかが追求されている。日本のように満遍なく学ぶことより、選考した授業をどこまでも深く学ぶことが求められている。
大学の優れたシステムとは対照的に白人労働者階級の生活は荒廃している。著者自身が日本の郵便局から船便で送った書物が見るも無惨な形で手もとに届く(実際には半分以上行方不明)。アメリカの公共システムが崩壊していることを如実に示している。90年代の人気テレビ番組「ロザンヌ」が復活して大人気である(その後あっけなく放送打ち切りとなるのだが)。主人公ロザンヌはトランプ支持を公言して憚らない。その姿に視聴者は何を見ているのだろうか。白人労働者階級が不動産で巨大の富を積み上げたトランプを支持する捻れの謎を問いかけている。
第6章では、ヘレン・ミアーズの「アメリカの鏡・日本」を引用しつつ太平洋戦争前の日本とアメリカがともに相手への憎悪を掻き立て、相手を「世界の脅威」とみなしていく姿を見て、両者が合わせ鏡のようであったことを見る。そして戦後日本は高度経済成長の中でずっとアメリカの背中を追ってきた。それに対して北朝鮮といえば、休戦協定は結ばれても未だ平和条約が結ばれていない状態が続いていて、「核攻撃を含むあらゆる事態を想定し」て核開発を進めている。しかしその一方で金正恩はNBAの大ファンであり、その父金正日はハリウッド映画がお気に入りであった。「核」と「ソフトアワー」は現代世界におけるアメリカの力の二つの源泉である。その二つの源泉を追いかける北朝鮮にはアメリカと敵対し憎悪しながらも、アメリカに憧憬を抱く姿がある。北東アジアの国々とアメリカの関係はこの後どのように変遷していくのだろうか。
紙の本
最新のアメリカ情勢を知る
2018/09/24 10:02
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、最新のアメリカ情勢を知るのにうってつけである。民主主義の国アメリカの最大の欠点は、愚か者がいい加減な投票をすれば、愚かで危険な大統領が誕生すると言うことである。しかし、愚か者の国民の責任は、自己責任と言うよりアメリカ社会あるいはアメリカのエリートにもあるのだろう。
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著者がハーバード大学で教えるためにアメリカはマサチューセッツ州ケンブリッジに滞在した、2017年9月から2018年7月までの間の滞在記である。時はトランプ大統領の就任1年目から2年目にあたる。当初の滞在目的は「あくまでハーバードの教育システムを内部に入り、それがどのように廻っているかを体験」することであったが、トランプ政権誕生で事情が変わった。この書もハーバードの教育システムにも触れるが、アメリカで次々と発生した「ポスト真実」「ラストベルト」「人種差別」「セクハラ」「銃乱射」といった問題に向き合い、アメリカの今を映し出すルポとなっている。
興味深かったのは、ハーバード大学を扱った第3章、ラストベルトを扱った第5章、北朝鮮問題を扱った第6章。
まずはハーバード大学の事情を知り、大学制度が日米でここまで違うのかと思い知らされた。大学システムが根本的に異なる。日本の大学はやはり肩書き重視で、有名大学に入学し、無事に単位を取り終えることが肝要となっている。片やアメリカでは何をどのように学ぶのかが追求されている。日本のように満遍なく学ぶことより、選考した授業をどこまでも深く学ぶことが求められている。
大学の優れたシステムとは対照的に白人労働者階級の生活は荒廃している。著者自身が日本の郵便局から船便で送った書物が見るも無惨な形で手もとに届く(実際には半分以上行方不明)。アメリカの公共システムが崩壊していることを如実に示している。90年代の人気テレビ番組「ロザンヌ」が復活して大人気である(その後あっけなく放送打ち切りとなるのだが)。主人公ロザンヌはトランプ支持を公言して憚らない。その姿に視聴者は何を見ているのだろうか。白人労働者階級が不動産で巨大の富を積み上げたトランプを支持する捻れの謎を問いかけている。
第6章では、ヘレン・ミアーズの「アメリカの鏡・日本」を引用しつつ太平洋戦争前の日本とアメリカがともに相手への憎悪を掻き立て、相手を「世界の脅威」とみなしていく姿を見て、両者が合わせ鏡のようであったことを見る。そして戦後日本は高度経済成長の中でずっとアメリカの背中を追ってきた。それに対して北朝鮮といえば、休戦協定は結ばれても未だ平和条約が結ばれていない状態が続いていて、「核攻撃を含むあらゆる事態を想定し」て核開発を進めている。しかしその一方で金正恩はNBAの大ファンであり、その父金正日はハリウッド映画がお気に入りであった。「核」と「ソフトアワー」は現代世界におけるアメリカの力の二つの源泉である。その二つの源泉を追いかける北朝鮮にはアメリカと敵対し憎悪しながらも、アメリカに憧憬を抱く姿がある。北東アジアの国々とアメリカの関係はこの後どのように変遷していくのだろうか。
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アメリカをめぐるさまざまな視点の中で、アメリカが壊れてきていることを論じている。ロシア疑惑、ワインスタイン、ロザンヌ、メキシコ、など切り口は多岐にわたるが、トランプの存在がその象徴として中央に存在することは間違いない。東アジアにおける日本も同様のアプローチが可能と思われるが、日本に出口はあるのでしょうか?
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著者は社会学者。ハーバード大学客員教授として2017年9月から10か月間、マサチューセッツ州ケンブリッジに住んだ。
赴任が決まったのは前年の夏で、当初の予定としては、ハーバードの教育システムを内部から体験してくることを大きな目標としていた。だが、16年11月の大統領選挙で、ドナルド・J・トランプが大統領となる。図らずも、当選前からさまざまな発言で物議を醸していた大統領の政権を、間近で観察することになったわけである。
本書は、トランプ政権に関する考察というよりも、「トランプのアメリカ」の中心近くで、社会学者たる著者が抱いた雑感に近い印象である。
その時、その場所の「空気」はどのようなものであったのか。
読み進めていくうちにそれがじわじわと伝わるような論考集である。
雑誌「世界」に連載された原稿が元だが、各章は加筆訂正され、その後の経緯なども付け加えられている。終章に25年前のメキシコ滞在記も加えられ、複眼的な視点が追加される形となっている。
全6章のテーマは、大統領選に絡むロシア疑惑、NHL選手の国歌演奏中の抗議問題、ハーバードの教育システム、MeToo運動の広がり、労働者階級の凋落、北朝鮮との関係である。
星条旗や国歌がどのような成り立ちを持つのか、日本の大学とハーバードのシステム上の根本的な相違といったあたりもおもしろいのだが、やはり労働者階級に触れた章が格段におもしろい。トランプ大統領誕生を生んだ原動力のかなりの部分は、この層にあるのだろうから。
アメリカンドリームといえば、一文無しが億万長者になることのように思うが、大衆にとってのアメリカンドリームは、どんな階級であっても、家電製品や豊かな食卓、自家用車を備えた「ほどほどの幸せ」を手に入れることだった。1950年から60年、つまり今の若者の親世代にはそれが大多数にとって可能であったのだ。だが、1980年代あたりを境に反転していく。親世代が実現できたことが子世代には手の届かないことになる。上昇から下降に転じた不安が世の中を覆う。
それを象徴するような話として、著者はシチュエーションコメディ(シットコム)「ロザンヌ」を挙げる。元々は80年代から90年代に掛けてヒットした、同名のコメディエンヌが主役である番組で、労働者寄りでフェミニスト的でもあることが話題を呼んでいた。それが2017年に復活したのだが、そこで描かれる主人公のロザンヌはトランプ支持者であった。これに対してロザンヌの妹がヒラリー支持の立場で、両者がそれぞれの立場でコミカルにやり取りをする。演じるロザンヌ・バー自身、中産階級の出身であり、また、実際にトランプ支持者だったのだが、かなりきわどい笑いを展開し、これが受けた。
その後、彼女は番組人気の絶頂期、ツイッターで極端な人種差別的発言をし、これに素早く反応したテレビ局が番組の打ち切りを決定する。人気番組の唐突な打ち切りは異例のことではあるが、SNSの広がりの怖ろしさを警戒した、まずは賢明な判断だっただろう。
こうしたロザンヌの過激発言は、どこか、SNSで過激な発言をしては騒ぎを起こすトランプ大統領と重ならないでもな��。
ドナルド・トランプという「型破り」で「特異」な大統領が生まれたことに、「まさか」と思った人は多かっただろう。しかし、それ以上に、「彼」を選んだ人は多かったわけで、だからこそ彼がその座にいるわけである。
ある種、「異常」な状態にも見えるのだが、しかしアメリカがそこに至ったのは歴史の経緯の「必然」だったようにも見えてくる。
世界全体の情勢にも大きく影響するアメリカの舵取りは、この後、どうなっていくのだろうか。
それを考える一助ともなるタイムリーな1冊である。
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近現代史をきちんと学習しなかった身にとっては、驚きの連続である。一部素人には難しい言葉が出てくるが、流して読んでも概ね理解出来る。
自分が教えられてきた事と違う事実やそれぞれの国の政治的事情を知ることは、混沌とした世界の中で、ますます必要になってくるだろう。2019.4.2
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20190420 中央図書館
トランプの無軌道無節操ぶりをルポ風に批判するところから、現在のアメリカの雰囲気を社会学のプロとしてわかりやすく伝える、という意味合いの本だと思う。全体には誠実でフラットな目線だと感じたが、刮目するようなところはなく、日本の岩波読者層が予定調和で受け取るような内容だと思う。
50年前であれば、アメリカ社会に対して日本人は興味津々だったかもしれないが、今は興味のある人は少数派だろう。現代の若い人がこの本を読んでも、ちっとも面白くないと思う。
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トランプ政権についてよりも、東京大学とアメリカの有名大学の違いについて述べている個所の方が興味深かった。もちろん私は日本のエリート大学については全く知らないけれど、やっぱり日本と欧米では根本的な学びへの情熱というか学び方の姿勢が違うように感じられる。
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ハーバードの「各専門職員は、自分の職掌の事項では直接、最終決定権を持っている(P114)」ため、その分野の専門家とはいえないケースであっても教授陣の委員会で決定を待たないと、次に進めない日本の大学職員との違いを大きく感じました。アメリカの大学専門職員は、その専門分野を活かし小規模大学から大規模大学に渡り歩くため、大学教員同様、流動的でもあるようです。
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アメリカの現状を細かに解説した読み応えのある好著だ.ライシャワー パラダイムの論考、非軍事的ナショナリズム/デモクラシー/日米安保体制を軸に戦後の日米関係の基礎を築いた由.「ハミルトン」が大好評なのは聞いていたが、就任前のペンス副大統領へのブーイングは面白い.菅総理へのブーイングはあるかな.TVドラマで復活版「ロザンヌ」でロザンヌ・バーが不適切なtweetで一夜にして首になった話も楽しめた.大学教育でハーバード大学のシラバスの素晴らしさとTA(Teaching Assistant)との連携が、密度の高い講義を創り出しているとの考察は多くの大学人に知らせるべきだと感じた.「日本のなかのアメリカ」と題した春学期のシラバスに記載された項目を列挙する.1 日本のなかのアメリカ、その150年 2 黒船と宣教師 3 モダンガールとアメリカン・ライフ 4 東京空襲 5 マッカーサーと天皇 6 米軍基地と若者文化 7 ゴジラと力道山 8 皇太子成婚と東京オリンピック 9 メイド・イン・ジャパン 10 沖縄返還 11 東京ディズニーランド 12 3・11以後 13 日本のなかのアメリカ、いつまで続くか 凄い内容だがこれを英語で講義するだ!
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トランプというある意味で異常な人物が大統領になったということが、著者によればレーガン時代(1980年代)から始まっていた米国の分断化、そしてネットを通してのフェイクニュースが影響を持ち始めていたことの流れの延長線上にある。そのことを理解できた気がする。まともな報道が信じられなくなり、世界に繋がっているはずのネットが実は自分と同様の考え方をする人たちだけに囲まれた「フィルターバブル」に閉ざされた世界であり、その中のニュースが真実であると思い込んでしまう。トランプ自身がそのような中で生きてきたのだと痛感する。ロシアが米大統領選挙に介入したという疑惑に間違いはないことを確信した。これからますますこのようなことが強まっていく中で、第2、第3のトランプが出てくること、また日本もその傾向が強まっていくことは必然だろう。ツイッターに溢れるヘイト・スピーチはそれの予兆だと思われる。かくいう私自身も自分に関心が合う、方向性が合うニュースだけに接していることに気づかされる。
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変わらない高い識見だが、世界連載「体験記」を本にしたので、主題は?
§3ハーバード大学での体験記が秀逸 日米大学の圧倒的な差
「エリート教育」を総合的システムとして運営=経営力の差
「学生を尊重」
①シラバスは学生との契約書
②授業の目的は学生の成長・満足→授業評価
③TAの活用
④履修科目数の少なさ 米国5科目/半年 日本12科目
⑤組織分担=専門家に任せる なんでも教授会
⑥学生による評価 評価項目の細かさ 計数評価
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雑誌、世界に掲載されたエッセイを集めたものである。読み易い。学生にとってはハーバードの教育が参考になるが、その通りを望まないであろうことは明白である。
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トランプの切り口と、ハーバードの教育制度との2つの切り口でちょっと、観点がぶれているようにもおもえますが、いろいろな発見がありました。
東大教授が、トランプ統治下のアメリカで、ハーバードで1年間授業をもったものを扱っています。
気になったのは以下です。
■過去数十年で、日米の教育格差は縮まるどころか広がってきた。アジア、中国の台頭により、日本の役割は大幅に後退している。
■トランプのアメリカを理解する上での4つの視点
①ポスト真実化 フェーク
②階級の次元化 ラストベルトの白人層の支持、
③ナショナリズムと人種主義
④性差別と暴力の次元
■浮上するロシア疑惑
・トランプ政権とロシア諜報工作
・ソーシャルメディアの利用
・トランプが約束した悪魔祓い ①外国勢力、②ワシントンの指導者たち、③黒人、イスラム教徒に潜む悪い人たち
・テレビに加えて、インターネットの利用、粗製乱造でも、情報量を爆発的に増やした方が有利になる
・4つの視点
①ニュースは、62%の成人が、マスメディアでなく、ソーシャルメディアから得ている
②フェイスブックではニュースよりも、偽ニュースがより広く共有されていた
③偽ニュースに接した人は、偽ニュースのことを信じた人が多かった
④最も人気のあった偽ニュースは、トランプに有利となる方向で、選挙に影響を与えた
・いまや、既存のジャーナリスムに対する信頼は低下している
・ロシアの介入は、想定よりもはるかに大規模で深刻なものだった。
■アメリカの国旗・国歌
・国旗・国歌の変遷
①成立期の18世紀末から19世紀初頭にかけて
②南北戦争前後
③19世紀末から、20世紀初めにかけて
・国歌
星条旗「The Star-Spangled Banner」
マイ・カントリー・ティズ・オブ・ジー 「My Country, Tis of Thee」 旧国歌
スーザ 星条旗よ永遠なれ 「Stars nad Stripcs Forever」
キング牧師公民権運動
■ハーバードで教える
・シラバス(授業計画)の作成、シラバスは学生との契約書
・ハーバードには、TA(ティーチ・アシスタント)がいる
・学生相互が問題関心を共有し、教師がいないかのように自分たちで議論を続けるのが理想
・課題テキストを事前に読んできて、授業のために、問題意識を共有
・日本はとにかく単位が多い、だから、1つの授業に集中する時間がとれない
・一方的に教えるのではなく、学生自身、学生と教師とで創造的な対話を行う
・自明であることを疑え、常識に従うのではなく、学問的な論理に従って考え、その常識の前提を問い返そう
・ハーバードでは、授業が、日本でいう入試に相当している、だから、だれもが真剣になる、教師も勝手に休講にできない
・授業について、学生による評価がある、アンケートではない。教師の評価と、授業改善のため。
■性と銃
・ハリウッドでセクハラ騒動 最先端のアメリカで起こったショックのできごと。多くの大物が職を追われた
���黒人奴隷への性暴力の歴史、それも公然とおこなわれていた
・自由と民主主義を掲げる裏で、暴力が行われている。銃乱射事件
・野放しにされる銃、銃規制をすることは法律で封じられている。
■核と、北朝鮮、そして日本
・アメリカが求めるのは、完全で検証可能、不可逆な方法での非核化
・北朝鮮が求めるのは、体制保証、米朝国交正常化、経済制裁解除 北朝鮮からみれば、韓国内にアメリカの核がある
・北朝鮮は、身内を次々に殺害してきた暴君
・日本の空爆、朝鮮戦争、ベトナム戦争はアメリカの攻撃の原型
・朝鮮戦争は、停戦中であり、終戦したわけではない。
・核 日本 広島・長崎 徹底的に忌避される存在へ ⇒ 核を一切もたない
北朝鮮 朝鮮戦争のときでさえ、使用されることはなかった、おどしの切り札として装備 ⇒ 強大な核をもつ
・アメリカは、戦後、占領政策こそが、日本人を圧政から解放し民主化に導いたと考えていた ⇒ ライシャワーは一貫して批判
日本には、そもそも江戸時代から十分に近代化社会であって、明治大正のエリートが欧米に負けない近代国家に育てたとみる。
目次
はじめに トランプのアメリカに住む
第1章 ポスト真実の地政学
第2章 星条旗とスポーツの間
第3章 ハーバードで教える
第4章 性と銃のトライアングル
第5章 反転したアメリカンドリーム
第6章 アメリカの鏡・北朝鮮
終章 NAFTAのメキシコに住む
あとがき
主な引用・参考文献
ISBN:9784004317364
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:840円(本体)
発売日:2018年09月20日第1刷
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なんだか、またトランプの時代がやってきそうな気配を感じ、読んでみた。
第1章の「ポスト真実」のところは、あ〜、こんな世界だったなとある種の吐き気を感じつつ、またこうなるのかと嫌な気分にある。が、その背景にある力についてもわかってくる感じ。
だが、2章以降は必ずしもトランプと直結するわけでもなく、ハーバードの教育システムの話しやなぜか1990年代にメキシコに住んだ時の体験記などがあって、ややバラバラ感は感じる。
でも、ここのトピックの切り込みは面白いし、全体としての読後感としては、トランプというより、今のアメリカで進んでいる分断、そしてそれを進めている力が、なんとなく浮かび上がるような感じかな?
そして、それはアメリカだけの問題ではなく、その核の傘の中にある日本と必然的に関係している。
著者の個人的なエピソードも多く、わりと読み安いものであった。