電子書籍
ストンと落ちる爽快なラスト
2020/07/26 20:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まみこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に読んでしまいました。
50人の人々をめぐる、お隣の国、韓国の掌編集。
それぞれの生活に息づいた、世界の矛盾と先への希望。あたたかく、心に染み渡ります。
読み終えて、1冊の中のすべてが繋がる爽快感と満足感をぜひ味わっていただきたい!
著者の知性を感じる良作でした。
紙の本
通り過ぎてゆく人々の心象風景を描く
2020/11/02 09:48
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投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
隣人の物語とでもいうのか、郊外都市に暮らす様々な人々の人間模様が淡々と書かれている。病院を介していろんな人が行き交う様子が、病や争いなどによって傷を負った人々の経由地を中継しているようにも感じられる。読むほどに、すれ違っている人々の相関関係が浮かび上がる。巻末には人名検索表がある。相関図とまちの地図を想像しながら読んだ。
海を隔てたすぐお隣の国。知っているようで、知らない隣人たちの日常は、ニュースにはならない真実である。
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すばらしかった!最終章、涙目で、手を震わせて、願いをこめて、ページをすすめた。
いつもながら、訳者あとがきが、少ないページ数でとても充実。各小説のあとがきをベースに、韓国事情のルポ、エッセイが読みたいなぁ。
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2019/04/15 読み終わった。
82年生まれキムジヨンと一緒に買った。キムジヨンの方が面白かった。こちらは途中でだれた。けれど最後まで読むと50人の人が登場した意味が強くなる。読むなら最後まで読みたい。
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いま現在、ちょっともう、この本にとろけている。
なんて愛おしい物語たちなんだ。
とてつもなく大人数の登場人物が入れ替わり立ち替わり、主人公として出てくる。1つの物語はほんの数ページ。しかしいくつか読んでいくうちに、さっきのあの人がここで出てきて、そしたらこの人は実はあそこにいた人で、そしてこの人はあの人の恋人で、と、どんどん、どんどん、繋がっていく。重なっていく。さっきはたったの1行で描かれたシーンが、こちらの人には重大なことだったとわかったり、あっちもこっちも軽くふっとすぎていく時間だったり。
人生も、町も、近所の人たちも、親戚も、こうやってみんなで折り重なり触れ合って、そうやって生きているんだなあと。
韓国の話なので、名前はほとんどが韓国名、ギョンとかスンとか、見分けがつかず全く覚えられない。が、それでいいんだ、覚えなくてもいいんだ。人生、すれ違う人、みんなの名前を覚えるわけではないものね。昔のクラスメイト、時々会う近所のおばさん、みんなそれぞれ、暮らしがあるのだ。疲れている時にこそおすすめ。これは必読。
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『主人公のいない小説を書きたい』全員が主人公で主人公が50人くらいいる話
と思って書き始めたとのこと。
1人が5ページ〜10ページ(500文字〜)で紹介される。
1人目は癌で死期が迫ったお母さんが、猪突猛進的に進める娘の結婚式。当日はお母さんの友達もたくさん美しく着飾って集まり、結婚する本人たちは素敵なお葬式だとそれを眺める。
最後の方で出てきた65歳の男性の話も良かった。病院に寝泊りして働いている遺体搬送人。長期間休みが取れなかったのを、若いバイトの子や絵本に感化されて友人に会いに行くまでの話。
ここに出てくるトカゲの主人公の絵本が気になり韓国語に訳して探してみたけど見つからず。
大学生の女の子2人の話も良かったし、ルールブックを読むのが大好きで真面目なキャディーが、ある顧客と親しくなりうまく行く話
などなどいろいろ印象に残った話があります。
道路が陥没するとか、残虐に(誰でもいい相手として)女性が殺される話など、実際にあった事件を下敷きにしていたりするのですが、どれも公平で正義感あって全てが終わる頃は気持ちいい読後感でした。
全て人の名前がタイトルになっていますが、
ラストの1話は『そして、みんなが』というタイトルで沢山の人が事件に巻き込まれ、それぞれの役割を果たします。
それ以外にも50人(実は51人らしい)はいろんな話に入ってきて、誰が誰と知り合いで、どこで繋がるとかも読んでいて楽しいです。
最後にあとがきで知ったのは、所々に出てくるトカゲの話は実在しないということ。読みたかったんだけど。
そして最後のページに誰がどこに出てくるかメモできる索引がついていたこと。
もう一度メモしながら読みたい本です。
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210611*読了
あまりにもよくて、何度も読み返したいと思えた小説。
図書館で借りたのだけれど、これは買って手元に置いておきたいと思います。
50人(51人)が主人公の短編がつまった本。
ソウル中心部から離れた町の大学病院とその周辺で起こる出来事が書かれています。
少しずつ物語が繋がっていて、誰もが主人公であり、誰もが登場人物(脇役)になるところがとてもいい。
これだけたくさんの人のストーリーがあるので、誰かしらには共感できる部分や自分と重なる部分があると思います。
悩みや生きづらさ、しんどさを誰もが少しは抱えていて、それを抱えながら他者と接し、心を癒したり、前を向いたりできているのだなぁ。
外国の氏名は得てして覚えにくいので、名前は忘れてしまったのだけれど、私は司書さんから治験の管理の仕事に転職した女性や、文芸学科で教えていて、事故にあってしまった女性に共感を覚えました。
韓国ならではの文化や、韓国ならではの社会問題を織り込んだお話も多く、知っているようで知らないお隣の国についての知識が増えました。
最近、韓国のエッセイや小説が書店に並ぶことが増えてきているのもあって、韓国の作家さんの本を読む機会が多くなって嬉しいです。
新たな出会いを楽しんでいます。
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読売新聞20181125掲載 評者:朝井リョウ
産経新聞20181216掲載 評者:石井千湖(書評家)
東京新聞2019113掲載 評者:白石秀太(書評家)
読売新聞2019120掲載
読売新聞2020329掲載 評者:中島京子(作家)
朝日新聞202066掲載 評者:星野智幸(作家)
読売新聞2021822掲載 評者:尾崎真理子(早稲田大学教授)
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一人一人の物語をじっくり想像して、咀嚼しながら読んでたら、読み終わるまでに1ヶ月かかりました。
近年の韓国の社会や文化を垣間見れるのも面白い。
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韓国の大病院で働く人や、その関係者50人の物語の短編集。悲しい話やほっこりする話など、色々なエピソードで韓国の文化や風習なども少しわかる。50人がそれぞれどこかで関わったりすれ違ったりするのが面白い。最後は絶対にみんな出てくるような話があると思っていたらその通りであったが、大事故にならなくてよかった。
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ホロコーストや戦争、大きな災害について語られる時に、「◯万人が亡くなった」のではなく、「一人の死が◯万回あった」のだと表現されることがある。この話ではそんな深刻な事態には(幸いにも)ならないけれど、最後の章を終えて振り返ると、確かに一人ひとりのささやかな毎日が愛しく思えてくる。著者が向ける登場人物たちへのまなざしがとても好きです。
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ソウル近郊都市らしい地にあるけっこう大きな病院を軸に、そこに何らかの縁のある51人のささやかな話が49編+1編に収まっている。喜怒哀楽……といっても大変なこと、うまくいかないことに巻き込まれている人たちが、それでも一筋の希望を見つけたり、世のなかも捨てたもんじゃないと思いながら生きているさまが描かれているのが今の韓国らしい。きょうどこかで見かけた文句で「日本は正論に照れてしまう」というようなものがあったけど、そこがちゃんと正論がまかりとおる韓国らしいすがすがしさを感じるストーリーたちで、一編ずつ読んでいくのが楽しみなようなもったいないような一冊だった。手元に置いておきたい一冊。
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ひとつひとつのストーリーも短いながら味わいがあって良いし、それぞれがかすかに絡み合うのが統一世界観のクロスオーバーぽくて楽しかった。喋ったこともないあの人が家でどんな思いをしているか知る由はなく、人生みな尊いという気持ちになる。
一方で、さりげなくたくさん埋め込まれている社会問題はさすが日本にも通じるものばかりで、やるせない気持ちにも。それだけに、最後の研修医君と老先生のやりとりは心に残った。老人の語る言葉をちゃんと聴きたいと思えたのは実は初めてかもしれない。
早速ざっと二周目にはいってみたら確かに拾える手掛かりが多くてやっぱり楽しい。私は素敵なおばさんがキャディさんをスカウトする話が好き…
ボリューム多くて時間かかるけど、一話ずつのんびり読んでたのしい作品だと思う。全員の顔イラストも可愛いし覚えやすい。とても良かった
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副題があるなら奈良美智さんの展覧会「君や僕にちょっと似ている」が良いなと思いました。読みながら50人を超える登場人物に寄り添う過程を表わして。訳者あとがきによると東京を旅したとき、渋谷のスクランブル交差点を上から眺めて構想を得たというのも面白く、大勢の人々が一斉に行き交う様子を描きたかったとのこと。ばらばらに動いているようで、どこかで居合わせていたり、その場に起こる課題を前に連携したり。離散集合が読みどころでしょうか。
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50+αのジグソーパズルとなった物語を、一片(一篇)づつ読んでいくのだが、しばらくすると、その一片の物語の隣にもう一片の物語が繋がっていき、やがて色々なカップルや家族、友人たちの姿かたちが浮かび上がってくる。
その仕掛けもとても面白いが、短い一篇の中に印象深い登場人物の行動や言葉があり、心に沁みる。
背景には、現在の韓国社会がはらむ問題や矛盾も描かれており、印象深い。
ラジオで紹介されたので読んでみたが、巡り合えて良かったと思わせる作品。