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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻からマドレーヌの復讐が始まりますが、母親としての強さが凄まじいものがあり読み応えがありました。ナチスも絡んできたり、時代の雰囲気も感じられます。けっこうえげつない描写もありながら本編の最後の行、エピローグの最後の行が妙にしみじみとした余韻がありました。
紙の本
凝り過ぎていて不自然
2022/05/03 19:21
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 )デュプレ氏は 「 何でも屋 」 ですね。
身ぐるみ剥がされたマドレーヌの復讐成ったのも、彼がいたからこそ。
でも、余りにも失敗することなくあらゆることを彼がやり遂げてしまうのは、出来過ぎでおもしろ味に欠ける。
小説だからね、実世界では有り得ない、と感じさせてしまうデュプレ氏の巧みな行動でした。
2 )マドレーヌの息子と彼の看護師の関係が絶妙で楽しい。そして、オペラ歌手とのやり取りも不思議でした。
電子書籍
なるほど、ルメトール
2019/10/03 05:35
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投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生のどん底に落とされた主人公の女性。そこからが凄い。自分をどん底に落とした者たちを罠に陥れ復讐していく。ルメトール作品。
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前作の続きと思っていたので、期待しすぎてしまった。
これは、フランスの歴史を知っていたら、とても楽しめるのでは?
過去の重大な事件も書かれているし、そういうのを知っていたらワクワクして読めたんだろうなぁ。そこがもどかしかった。
でも次の作品も、楽しみにしています。
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1933年(承前)
邸宅も資産も無くしたマドレーヌの復讐。おっとりとしたお嬢様だった彼女にこれだけの緻密な計画力と行動力があったとはと驚く。逆境に負けない心や目的を達成しようとする気持ちが人を強くする見本かもしれない。
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父が残した資産、邸宅を失ったマドレーヌが、彼女を裏切った人たちに復讐することを決意する。隣国ドイツでは、ヒトラーが首相となりファシズムが台頭する時代ならではの展開に、手に汗握る。当時のフランス史を知っていれば、より楽しめる作品。
ポール・ペリクールとオペラ歌手ソランジュ・ガリナートとの交流が印象に残る。
本書で初めて知った日本語がある。「身罷る(みまかる)」という言葉。久しぶりに国語辞典を手にした。
三部作の第二部が本書、第三部『われらが痛みの鏡』を早速読み始めよう。
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実業家の父が亡くなり、その葬儀で息子が転落し寝たきりに。そこからマドレーヌの生活が大きく変わっていく。莫大な財産を狙う人たち。人の嫌な部分、よく深いところが大っぴらに見え始めてさらに面白くなる。信じられる人がほとんどいなくなったマドレーヌの復讐が始まる。緻密な計画のなかに感じるマドレーヌの強い怒りと憎しみ。そして込み上げてくる感情。そういう細部がとてもよくて描かれていないところまで広がっていく。復讐譚であり一人の女性の人生が描かれている。
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カミーユ・ヴェルーヴェン警部のシリーズ)で一気に燃え上がった感のある作者ピエール・ルメートル。あちらは文春文庫。第一次大戦に纏わる物語を描いた『天国でまた会おう』は早川書房でハードカバーと文庫版の同時刊行。この作者特有の、とても奇妙な主人公の人生を描き、ゴンクール賞(フランスの芥川賞)・英国推理作家協会賞を受賞し、国内でも話題を読んだ(ルメートルはどの作品でも話題を呼んでしまうのだが)。本書は『天国でまた会おう』の続編ではあるが、一部登場人物が重なることと、時制が前作を引き継いでいることの二点だけであり、前作が未読であっても全く独立した小説として十分に楽しめる。単独でも、相応の推進力を蓄えた大変な力作である。
本書はヴェルーヴェン警部シリーズを思わせるクライム小説ではない。あくまで前作同様、歴史的事実を脚色して描いた1927年パリに始まる一族の壮大な物語であり、ドイツに台頭するナチズムの風に曝される時代でもある。壮大な一族の物語というだけで、退屈という不安に身を引きたくなるかもしれないが、全く心配には及ばない。作者のストーリーテリングの力が、最初のページから読者を物語の渦中にぐいぐいと引っぱり込んでくれるからだ。
スタートから騒動は始まる。一大企業帝国を築いた企業主の盛大な葬儀のなか、7歳の孫ポールが三階の窓から転落するという事故が大衆の面前で発生。落ちたポールは幌に跳ね返って、馬車に積まれた棺桶に頭部をぶつけて生死を彷徨う。この物語の主人公は、ポールの母マドレーヌ。眠り続ける状態から徐々に少しずつ機能を回復してゆく息子への介護。しかし彼は、いつしかオペラへの天才的理解力を見せ、世界や時代への感受性をも研ぎすましてゆく。オペラ歌手ソランジュ・ガリアートとの間に始まった二人の奇妙な親交は、ナチス・ドイツからの彼女への講演要請を巡って決裂してゆく。ポールの登場シーンは、ことごとく小説全体を照射する神の声のように、作品世界に超然たる異質な曲面を滑り込ませる。
さて物語の主人公は、最初から明確なのではなく、俯瞰的に進む。多くの人物のそれぞれが回してゆく物語の中で、ある人物による壮大な仕掛けが進み、唐突に巨大で恐ろしい罠が瞬時にして閉じられる。祖父の築いた一大帝国の事業の中で準備されてきた罠の壮大さに呆れ返る。しかし、これらは実際にあった歴史上のできごとをモデルにしている。金融と報道。見えざる力を使った巨大スケールの逆転劇が、実に周到に語られてきた前半部からの折り返し点なのである。
そしてマドレーヌの巻き返しは、そこからスタートする。全体を見ると、敗退と逆襲。二部構成と言ってよい物語で、その折り目ははっきりしており、ここを通過する頃には、読者の大半は本作の魅力にすっかり身を任せ、魔法のような展開に目くるめく状態となっているはずである。経済やマスコミや政治を材に取り、のっぴきならぬ闘いに巻き込まれてゆくマドレーヌ。その背景に迫るファシズムの嵐。動乱の時代に震えるポールの愛すべき感受性。二つの大戦に挟まれたこの時代、有象無象の人間たちの悲喜劇を見事なまでに描き、全体が大仕掛けのコンゲ���ム小説としても楽しめる本作。
ルメートルという作家が並でないのは、最初の話題作『この女アレックス』で十分おわかりのこととは思うが、ここまでスケールの大きな物語作家であるとは予想もしていなかったのではないだろうか。ルメートルは奇術師的な小手先のトリッキー作家などではなく、小説の王道をゆく正真正銘の天才的語り部なのである。
スケール感のあるこのシリーズは、三部構成だそうである。二部を終えた時点で、次作への期待感がさらに膨らんでゆくのを感じる。
本シリーズ第一作の『天国でまた会おう』は、その映画化作品がセザール賞(フランスのアカデミー賞)5部門受賞、本年3月1日より、3/15現在公開中である。
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説明過剰な感もありましたが、周到にやりきったな、という感じです。雰囲気としては、やっぱり「アレックス:が好きです、
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『天国でまた会おう』の続編。前作に登場する若い復員兵、その姉が本作品の主人公となる。ストーリーは完全に独立しているので前作が未読でも全く問題なし。ミステリよりも文芸作品になるので、謎解き度はほぼ皆無。
上巻では、ヒロインが息子の介護に追われてるうちに財産を盗まれてしまう苦難を描き、下巻ではヒロインが立ち上がり復讐劇を繰り広げる。新たな戦火の脅威が刻々と迫る不安な時代を舞台にして、人間の欲、愛と憎しみが絡み合って展開する壮大な群像劇なのだが、どうにもこうにも軽すぎる。ヒロインには共感できないし、敵キャラもなにげにポンコツ。でもって肝心の復讐劇にスリルや緊迫感が全くない。この背景と舞台設定ならいくらでも面白くできただろうに、どうしてこんなにストレートで平坦なお話になったのだろう。
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「天国でまた会おう」がまさかの3部作の1作目だったと知ったときの驚きたるや、筆舌に尽くしがたい。あれはあれで、とてつもなく完璧に完成された一作だとおもっていたから。ただ続篇が出たとなれば、近いうちに買ってしまうだろう気はしていた。「天国~」が一時も目を離せない作品だったのに対し、本作はどちらかといえばじっくり読むのが合っている。単に恨みを晴らしたいだけではないマドレーヌの、失敗できない復讐劇。腹を決めた人間の逞しさは、倫理を度外視させる威力をもつ。そして、注目の第3作ときたら……あの人物が主人公だという!
(“道徳”と書こうとして、いやいやもっとクソみたいなやつがいたではないか、とおもいなおし“倫理”とした。道徳も倫理もさほど違いはない気がするし、その使い方は間違ってますよと言われるかもしれないが、それでもマドレーヌに道徳を説けるか? とおもう。
しょうじき前作のおもしろさでハードルが上がってしまったのか。作品に求めるものを間違えてしまったかもしれない。ただ、第3作目の主人公が誰だかを知り、ぜったいに読む! とは決めた。)
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『天国でまた会おう』の続編と思って読むと、何か違う感じ。。。
三部作だそうで次も手に取ると思うけど、同じ設定上にある別の物語ぐらいに思ってた方がイイかな?
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さすがルメトール、ストーリーテリングは秀逸。ヒトラーが台頭する混乱のフランスを舞台にした没落貴族女性の復讐劇。ルメトールは、前半はこれでもかこれでもかという悲劇(わが子が車椅子になってしまったり、周囲に騙され資産を失ったり)を描き、後半はこれら騙された相手を秀逸に復讐する物語を描く。これだけの登場人物を魅了あるキャラクターに仕立て上げ、それぞれを絡ませながら、なおかつ面白く描くルメトールに脱帽の一冊。
ただ今までの作品に比べて鈍った印象。登場人物たちが多くてそれぞれの人物の描きわけが短かったり、はじめから全て関係した一つのストーリーだったからだと思う。今までの作品は、章によって登場人物が書き分けられ、まったく関係のない話が進行していく。読者はその二つのストーリーを楽しみつつ、どう絡み合っていくのかと期待する。今作はそのような点があまり見受けられなかったのでそのように感じた。決してつまらなくはなく、新規性に欠いた故の星一つマイナス。
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3部作の2作目とのこと。今作も前作同様、実際にフランスで起きた事件を題材にしているらしいが、元ネタを知らなくても十分楽しめる。というかこのドタバタ劇に元ネタ(そのままでないにしても)があること自体がちょっとした驚き。前作今作ともに身体的ハンディキャップがある人が主要人物なのは何かしら作者の思いがあるんだろうか。
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奸計により、亡父が遺した資産も邸宅も失ったマドレーヌは、小さいアパルトマンで細々と暮らしていた。一方、彼女を裏切った者たちは、それぞれ成功への道を歩んでいた。そして、マドレーヌは復讐することを決意する―。ヨーロッパでファシズムが台頭しつつある1930年代、新たな戦争の影がしのびよるパリでくりひろげられる、息もつかせぬ復讐譚。『その女アレックス』著者による、『天国でまた会おう』三部作の第二巻。