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神の見えざる手は人口面にも働く
2021/08/01 11:23
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
200年ほど前からの世界各地域の人口に関する考察を詳細に記した大部の書物である。大部詳細に及ぶため読み通すのにかなり時間はかかったが、感銘を受けた点が数多くあった。
・神の見えざる手は人口面にも働く。
社会が発展し女性の識字率が上がり、産む産まないの自由が与えられると、どの国でも出生率が下がる。ヒトの女性の出産の負担の大きさを物語っている。神の見えざる手は社会が発展し人類の地球環境に対する負荷が増大すると、人口を抑制するように働いているのだろうか?
・年齢層が若い国 地域が紛争が多い。
世界が高齢化してゆくと、より安定して平和だけれど活力ない世界になる。
・温暖化防止対策の決め手は人口抑制。
紙の本
古今東西人口を切り口に分析し変革期の今を語る
2020/01/15 15:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
国際的にも国内的にも「人口数とその構成」による社会への影響は看過できない。なぜ歴史的な為政者は皆人口問題にチャレンジしてきたのか、そしてこれからは何がイシューになるのか。人口のファクターとなるのは、死亡率、出生率、移民である。そして人口が増えれば経済規模も大きくなる。大英帝国の出現は産業革命と農業革命による人口爆発ありきだった。一方、ナチは優生学ゆえ人口増に失敗した…。気鋭の人口学者が「人口の大変革期」に当たる直近200年を読み解いた、歴史教養書です。今後の社会を考えるうえでも、一読をお勧めしたい。
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【国家の命運を握るのは、人口だった】大英帝国の出現は産業革命と農業革命による人口爆発ありきだった。一方、優生学ゆえ人口増に失敗したナチ。画期的な歴史教養書。
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1.「○○の世界史」シリーズは自分が好きなシリーズの一つなので必ず読むようにしている。
2.人口統計学の視点から歴史を紐といていきます。人口統計学では、出生率、死亡率、移民の3つの要素を基本として考えていきます。この本では、国にとって人口は要であり、軍事力や経済力を表す指標にもなると述べています。基本原則として、人口が多い国ほど良いとされる傾向があります。しかし、現代ではどうか?南アや中国での人口制限政策をするくらいに人口を抱えてしまっている国もあります。つまり、人口増加が一概にいいとは言えない上挙になっています。
この本では、タイトルの通り、人口は各国にとって何を表しているのか、データを活用しながら、現代での悩みにまで触れています。
3.かなり難しい内容なので全ては理解できませんでした。ただ、この本では、人口が国の要になっているという考えは自分も一致します。例えば、日本で起こっている年金問題はどうだろうか。賦課式を採用している日本では、支払う側の人間が少なくなる一方になってる。これにより、将来の年金受取額が少なくなる、あるいは年齢が引き上げになるという問題があります。つまりは、死亡率と出生率が減少した結果といえる。
しかし、人口予測というのは基本的に当たらないし、誰にもわからないので、政策を取るにも難しいです。
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毎日新聞2019929掲載
東京新聞2019929掲載
ダイヤモンド20191019掲載
日経新聞2019119掲載
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人口という視点で過去200年程度の世界史を振り返る、これまでにない視点での歴史書。
人口データは昔ほど実態と違っている可能性がありますが、徴税や徴兵のため、国家は以前より人口の把握を行っていたという話があり、確かに納得させられます。
大英帝国の帝国主義時代から、対抗するドイツやロシア、その後のアメリカの反映、日本や中国の現状、今後発展するだろうアフリカ諸国と全世界に目を向けながら、非常におもしろい視点で考察されています。本書で述べられているとおり、歴史の背景に人口の影響は大きく、新たな視点で歴史を眺めることの楽しみを改めて感じました。著者は日本はもちろん、世界の実情に詳しく、その地域だけを読んでも十分楽しめます。
個人的には、最後に書かれていた訳者のあとがきが気になったので、こちらも記録したいと思います。
「他の国に先駆けて少子高齢化が進む日本としては、なぜそれが問題なのか、そこから考えていく必要があるのかもしれない。労働力不足が問題なのか、市場の縮小が問題なのか、豊かな生活ができなくなることが問題なのか、あるいはそもそも日本人のアイデンティティの問題なのかどのような答えを出すかによって、目指す解決策も変わってくるだろう。」
■19世紀の初めから世界中のほとんどの地域で、物質的状況、栄養、住居、健康、教育レベルが大きく向上したのは、経済に関わることだったのは間違いないが、同時に人口に関わることでもあった。
つまり、人間の生産や消費のしかただけでなく、生まれてくる人間の数、大人になるまでの生存率、成長した人間が生む子の数、人が死ぬ年齢、地域や国や大陸館を移動する可能性などに関わっているということだ。生活上の進歩は人口のデータ、特に誕生と死に反映される。
■近代化とは、出生率低下と平均寿命の延びという人口転換を経験する、あるいは通過するための十分条件である。近代化するだけで人口転換を経験する。
■人口学の基本は、出生数、死亡数、移民
■ケインズ(1919)「歴史上の大きな事件は、人口増加とその他の根本的原因が、時間がたつにつれて変化することで起こる。その時代の観察者たちは、それらの要因に気づくことなく、愚かな政治家たちのせいにする」
■女性が教育を受けなくても出生率は下がることがあるが、教育を受ければその結果としてほぼ確実に出生率は下がる。
■20世紀末から一部の先進国の出生率がやや上昇している要因の1つは、人口統計学ではテンポ効果と呼ばれているものだ。これは社会の意識が変わり、女性が教育を受けて仕事を持つようになり、出産の時期を遅らせることだ。
■特に出生率が低い社会は、近代化、個人主義、女性解放が進み、晩婚化が進む一方で、婚外子を伝統的に好まない社会。職場が女性の受け入れに前向きで、男女問わず仕事と子育てが両立できる対策がとられている国の方が出生率ははるかに高い。
■何人の子を持つかの決定は、社会、文化、経済、宗教などの因子に左右されるので一定しない。しかしどんな社会でも、人はたいてい長生きを望む。そのため寿命を延ばすことを目標にする個人や政府、社会はほぼどこにでも存在する。
■��る“文明“によってひとまとめにできる国家や民族は、人口も他のことも似たような動きをする傾向にあるという有力な証拠がある。そしてそれこそが文明と定義できることなのだ。
■日露戦争(1904〜05年)での華々しい勝利によって証明された日本の近代化と変革は、アングロ・サクソンひいてはヨーロッパ人が生来的に持っている強みと誤解されていたものが、本当は民族的な強みではなく、人口規模と経済力や産業力の組み合わせにすぎないことを実証した。
■低出生率は一般的に、収入の増加、都市化、女性の教育、特に高等教育と相関関係にある。
■産業革命の流れでみたように、経済と人口のつながりは単純ではなく、だいたいは双方向に働いている。人口動向が経済発展に影響を与え、経済発展が人口動向に影響を与える。
■歴史と社会科学では因果関係がよく問われる。国家政策はどうあれ、人口動向は外的な因子として、外部から社会に持ち込まれて一方的に影響を与えるものではない。むしろ社会そのものから現れるもので、その環境に起因すると同時に、環境によって形成されるものだ。それでも因果関係は人口動向のパターンから、世界の動き方とそこで起きる出来事へとたどることができる。そして人口の潮流が歴史の流れを決めることはないが、その形をつくる。そしてたいていの場合、人口の動きが違えば異なる結果が生じる。
■専制支配と無政府状態は対極の位置にあると思うかもしれないが、前者は後者の前触れであり、そこから第三段階として安定と民主化へ向かうと考えられる。
■人口動向の変化は異なる地域を次々と襲うつむじ風のように見える。それと同時に、あるいはそれが通過したあとに、社会的、経済的発展が起きる。
■人口動向の未来
①増加するグレー(高齢化)
②増加する緑(環境に優しい世界へ)
③減っていく白(白人の減少)
■この著しい高齢化が世界にどう影響するかを予想することはできないが、年齢中央値が20歳前後の社会(1960年)と40歳を超える社会(2100年)とは根本から違う。起こると思われる政治、経済、技術的な変化だけでなく、純粋に人口の高齢化による変化があるからだ。
<楽観的見方>
・世界はもっと平和で順法精神にのっとった場所になる
・高齢社会はほぼ平和である
<悲観的見方>
・活力が失われ、革新的でリスクを恐れない行動を避ける傾向がある
■将来に何が起こるにせよ、一つだけ確かなことがある。これまでと同じように、人口動向と地球の運命はこれからも互いに関わり続ける。誕生と死、結婚と移住が私たちの生活の中で特に重要な出来事である限り、人口が歴史の方向性を左右し続けるだろう。
<目次>
第1章 人口を歴史がつくってきた
第2章 人口とは軍事力であり経済力である
第3章 英国帝国主義は人口が武器となった
第4章 猛追するドイツとロシア
第5章 ヒトラーの優生学
第6章 ベビーブーマーの誕生とアメリカの世紀
第7章 ロシアと東側諸国、冷戦の人口統計学
第8章 日本・中国・東アジア、老いゆく巨人たち
第9章 若く好戦的な中東と北アフリカ
第10章 未来の主役か、サハラ以南のアフリカ
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人口の増減を左右する要素は出生数、死亡数、移民の3つ。
その理解を正確にする用語(平均余命とか合計特殊出生率などなど)についても本書では触れてくれている。
世界の人口による歴史や軍事・経済力の遷移、またいくつかの地域に世界を分割してそれぞれにおける歴史と今後の展望を分析している。それぞれに興味ある内容だが、中東各国(イスラム教との関連含む)に於ける動向とイスラエルの状況、そしてアフリカ(特にサハラ以南の国々)の分析は興味深い。例えば、ナイジェリアがこれから人口爆発を迎え、経済力も増してゆく可能性など。
人口の将来は、かなり予測が容易であり的中する確率も高い。しかし、反面疫病、自然災害、戦争などがそれを狂わせてきた歴史もある。その予想外をもある程度考慮しながらも今後の人類の数は90億人以上まで増えてゆく。マルサスの罠は抜け出たとしてもこの人口をクリアしてゆくには、テクノロジーの活用が不可欠になる。それにより、歴史上になんども起こった戦争という不幸を人類は避け得ることができる。地球上の人間の平均年齢が今後は急速に高まってゆく。平均年齢が20才程度の社会がほんとんど無くなり、50才前後になってゆく。これは人間全体の思考の方向性が大きく変わることでもあるとの指摘は説得性がある。
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大英帝国の出現は産業革命と農業革命による人口爆発ありきだった。一方、優生学ゆえ人口増に失敗したナチ。国家の命運を握るのは、人口だった――画期的な歴史教養書。(e-honより)
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12574329848.html
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世界史というよりは、人口統計学の本と言ったほうがいいだろう。
人口が世界情勢にどのような影響与えているのか、知りたい人には面白いのではないか。
世界史とは言っているが、最近の200年間を対象としており、世界史と言うには期間が短い気がする。ただし、その間の世界の動きについてかなり細かく分析しており、近現代史としては楽しめる。
この本を読んでいてイギリスからは、アメリカに移民したのはよく知られているが、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに関してもイギリスからの移民が国を作っていると言うことを知り興味深かった。
この本の最初に語られている、人口とは軍事力であり、経済力であるというアプローチは、興味深い。そして、納得できるものでもある。
また、その人口の増減を左右する要素としては、出生数、死亡数、移民数である。
人口統計学は、社会についての意味深いなにかを伝えており、その数字を連続するものとしてとらえると、特別な変化を説明できる。また、データは何百人もの個人の物語である。
日本についても触れている。日本と西洋のはっきりした違いは移民だと言っている。移民を受け入れることによって人口減少を補うということをしていないというのだ。
また日本とロシアのはっきりとした違いは平均寿命だそうだ。ロシアの人口が減少している要因は、高いままの死亡率と低い出生率だが、日本の場合は平均寿命の伸びが出生率の低さを相殺して人口減少は遅れている。
今後も日本人の平均寿命は伸び続けなければ、人口減少は早まるだろう。つまり日本は民族的にはほとんど同質だがどんどん老いているということだ。日本の、出生率が低く高齢化する社会の姿について筆者は特に興味深いと言っている。
日本の年齢の中央値は現在46歳だそうだ、これはイタリア、ドイツとともに世界で最も高い。米国より9歳も高い。
人口でいかに世界史を語るのかということを知りたかったが、たくさんの物語の蓄積で歴史を語ることができるのだということがわかった。
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人口が国の盛衰を左右する。事実を列挙し、ほぼ決定している未来を予測した教科書である。
近代以降の人口はマルサスの罠(農業生産以上に人口は増えない)を突き破って増加し、遅かれ早かれ、ほとんどの国が以下の人口推移をたどる。
産業革命→GDP増加→衛生状態良化→乳児死亡率低下・老人死亡率低下→平均寿命70代以上→死なないが子供は増え人口増加(人口ボーナス)→女性の合計特殊出産率低下(1.5人)→年齢中央値高齢化(40代以上)
高齢化は日本が最先頭、中国・韓国が追いすがり欧米がそれに続く。タイやブラジルは豊かになる前に高齢化がすすむ。インドは中国同様に強制的家族計画(パイプカットなど)による人口抑制に失敗したが、今後人口ボーナス期を迎える。アラブは人口ボーナス期に若者の教育が行われず、テロ・戦乱期に移行。アフリカ南部は今後人口ボーナス期。
メキシコは生活水準が向上し、アメリカとの国境の壁は不要になる。スリランカは人口学的な模範国で出生率が2を少し上回った数値を30年間維持している。イスラム教は避妊や産児制限を推奨していないため、今後宗教人口が増加する。白人の国といわれる国の人口は1950年代の世界全体の29%から2090年第は11%に低下する。一方サハラ以南の南アフリカの人口は10%から25%に増加する見込み。
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人口という観点から18世紀以降の世界を見る、今までにない歴史書。人口が戦争等の社会的出来事に及ぼした影響力は計り知れないものがあるとよく分かる。むしろ、なぜ今までこの観点が見過ごされて(少なくとも、大きな話題になることはなかっただろう)いたのか不思議になる。本書の発行年は2018年だが、これを読めば、最近のアメリカでの社会的分断をもより理解できるだろう。また、本書には日本についての記述も散見されるが、客観的に見た日本の姿がまざまざと感じられて恐ろしい。日本は紛れもなく、いま世界で最も老いた国なのだ。
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本書は、ロンドン大学の人類学の教授である著者が、きちんとした学術的な考察を踏まえて上で、一般読者向けに書きおろしたものだそうだ。
1800年代以降の世界の人口変動から世界史を語る。
なぜこの200年なのか?
「その答えは、18世紀末から19世紀初めに、人口学的に歴史の大きな断絶、根本的な変化があったということだ。これ以前にも、人類が人口学的に劇的な変化を経験していたのは間違いない。ただそのほとんどは伝染病や大虐殺など、死に関わるものだった。そのような出来事は散発的で、長期にわたって影響が続くものではなかった。」
産業革命以降、資本主義の発展の歴史を語ったピケティも、この200年を俯瞰していたが、学際的にも、1800年以降の世界は、歴史的に貴重な一時代なのかもしれない。
本書を読むと、人口問題は、経済、政治のみならず、文化やイデオロギーなど、あらゆる領域で、民族、国家の方向性を左右する大きな要素であることがよくわかる。
「マルサスの罠」(ある地域の人口は、その土地で生産される農作物で養える以上に増えない)から解き明かし、産業革命以降、農業生産性向上や輸送手段の発達、公共衛生環境の整備により、マルサスの罠を抜け出す国が現れ、人口転換という現象がブリテンから始まる。要は、人口爆発の端緒だ。死亡率の低下、出生率の低下、人口転換による、新たな食糧調達先を求めての移住、そして移住先での新たな人口転換・・・。人口変動の波は、時を前後して、グローバルに拡散していく。
そして、その地域、その時代における社会の変化を、「人口」という視点から詳しく解説していく内容に唸らされる。歴史にif はないが、“人口の大きな変化がなければありえなかった歴史的な出来事はたくさんある”として、様々な史実を読み解く。
「20世紀初頭にロシアの乳幼児死亡率が劇的に低下していなければ、波のように押し寄せるロシア兵に立ち向かうことなく、1941年にヒトラーがモスクワを占領していたかもしれない。」
「アメリカ合衆国が毎年のように何百万人もの移民を受け入れ、1950年代から人口が二倍になるという事実がなければ、経済は中国に凌駕されていたかもしれない。」
「半世紀にわたる日本の出生率の低下がどこかで止まっていれば、四半世紀にも及ぶ経済停滞を経験せずに済んだかもしれない。」
「シリアの平均年齢がイエメンよりスイスに近ければ、内戦に突入しなかったかもしれないし、過去40年でレバノンの高齢化が急激に進まなければ、再び内戦になだれ込んでいたかもしれない。」
こんな例を、次から次へと見せられ「人口」という新たな視点に瞠目させられると同時に、次々と世界の詳細な些事にまで及ぶ話っぷりの著者、その博識ぶりにも驚かされる。
日本についても、比較的詳細な分析が披露されている。
我が国日本が他国と違うところは、移民が少なかったことだと、著者は指摘する。
「外国から入ってくる人だけでなく、外国へ出ていく人も少なかった」と。
そして、他国に先駆けて少子高齢化のトップランナーをひた走る日本は、今後の人口動向を見据えて、いかなる���来像を描くのか。現状のどこが問題なのか、労働力不足なのか、市場の拡大が見込まれないことか、それとも若年層の負担増、やる気の減退なのか。
日本人としてのアイデンティティを維持するか否かも、我が国の場合は大きいのではないかと思われる。目指すゴールによって採るべき選択肢は変わってくるのだろう。
「乳幼児死亡率が下がると、あるいは乳児死亡率が下がったあと、出生率も下がる。」
この人口の潮流の基本的なパターンを第1章から3章くらいまで読んで理解し、あとは、「猛追するドイツとロシア」(第4章)、「ベビーブーマーの誕生とアメリカの世紀」(第6章)、「日本・中国・東アジア、老いゆく巨人たち」(第8章)、中東、北アフリカ、サハラ以南と、地域を分けて解説している各章は、どこから読んでも、どこを拾い読みしてもいいような内容になっている。
巻末の、平均余命、合成特殊出生率の考え方の解説も分かりやすかった。
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人口からの切り口でみるのがユニークだと感じて手に取った。イギリスの興隆をああいう風に分析したのは初めて知ったので気づきも多い。アメリカ、さらにドイツや日本の分析も納得感があった。同時に、中国に関する分析がもっと深掘りしてもらってもよかったと感じた。
世界人口は今世紀中にはピークアウトするという予測もある。この前提が続くのか、崩れるのか、そういう思考ゲームをしてみるのも刺激的だと感じた。カナダ人ジャーナリストが書いた以下のほんと併読すると違った見方ができるかもしれない。「2050年 世界人口大減少」
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人口はまず最初に出産時、幼児の死亡率低下がドライバーとなる、その後、出産数の減少が続くが、前者のインパクトが大きく時平均寿命および人口がドライブされる。また、産業革命でマルサスのいう制約を乗り越えイギリスをはじめに西洋が人口成長をドライバーとした経済成長をスタートする、余剰な人口はアメリカや各地に渡る。過去の覇権国も自己奥の余剰人口を植民地に送った、日本やオランダは多くは送らず、覇権も地理的に広がらなかった。
現在では先進国の出生率は低下し、イスラム、アフリカが伸びており、白人、キリスト教国のプレゼンスは下がり、老人の比率は上がる。