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商品説明
【平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(第25回)】戦後を代表する憲法学者、その「人と学問」の根底に何があったのか。芦部信喜の足跡を、独自入手した資料を交え再現する本格評伝。『信濃毎日新聞』連載を単行本化。ゆかりの識者13名のインタビューも収録。【「TRC MARC」の商品解説】
「総理、芦部信喜さんという憲法学者、ご存じですか」「私は存じ上げておりません」(国会答弁より)。戦後憲法学のスタンダードをつくったのは、どんな人物だったのか。学徒出陣の戦争体験。実際の裁判にも関与し、後半生を懸け「憲法訴訟論」を開拓するまで。独自入手した資料を交え、その足跡を再現する。識者一三名のインタビューも収録。【商品解説】
目次
- まえがき
- 第1章/源流 伊那谷から
- 駒ヶ根の原風景/向山雅重の実地教育/臼井吉見との出会い/信濃宮神社造営への動員/学徒出陣で知った軍隊/実家への遺書、友の戦死/終戦後の文化運動で雑誌発行/「戦争放棄」の草案要綱/リベラリスト・宮沢俊義/ラートブルフの論文に感銘
- 第2章/憲法改正と自衛隊
- 平和主義徹底から憲法擁護へ/政府の調査会発足/両論併記の報告書/恵庭事件─裁判と学界に橋を架ける/肩透かしの判決/長沼事件─初の違憲判決/攻撃される前文/九条と現実との相克
- 第3章/人権と自由
- 公務員の政治活動問う猿払事件/統計局事件で法廷証言/最高裁の変質、公務員に厳しく/違憲性判断の「二重の基準」/教科書裁判/裁判所の使命は/東大ポポロ劇団事件/プライバシーの権利/社会保障闘争のシンボル「堀木訴訟」
著者紹介
渡辺 秀樹
- 略歴
- 〈渡辺秀樹〉長野県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。信濃毎日新聞社編集委員。
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紙の本
裁判における違憲の主張・判断の方法を論ずる憲法訴訟論の導入と発展に尽力。
2021/12/07 14:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
芦部憲法学の源流となった駒ケ根での少年期、学徒出陣の体験を紹介。芦部信喜氏の教え子で、ゼミで課された憲法第25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)についての論述試験のことを回想されています。「憲法は世界史的な広がりを持った議論が必要」とも。
紙の本
本書が世に出たことそれ自体が素晴らしいと思う
2022/04/10 10:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
一読、このような一書が出たということ自体が、評者としては星5つだと思いました。内容的にも難解さは感じられず、芦部氏の生い立ちや経歴(軍隊経験を含む)、その学説の歩みや形成過程、真摯な研究姿勢、自らの憲法学を正に実際の問題においても履践した行動者としての側面(知行合一)など、大変参考になるものでした。
ただ、二三欲を云えば、以下のような点はあるかなと個人的には感じています。
- 本書に盛り込まれた以外にも相当な量と質のインタビューなどが背景情報としてあると思いますので、そこで語られた芦部氏に関する挿話などがあると、より精彩のある記載になったのでは。
- 芦部氏の生誕と青少年期の記載はあるが、晩年の記載がない。
- 後半の各氏への「インタビュー」ですが、面子がいかにも「岩波文化人」という方々ばかりなので、アンチ芦部の方とか親交のあった外国人の方など、多面的で多様な人選だともっとよかったのに、と感じました。(佐藤幸治氏や大石眞氏が何故いないのか?)
あと、巻末の付録「閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会」(第七回)議事録ですが、これだけのフル・バージョン議事録が作成されていたということは、他の全ての回のものも同様に作成されていたことに疑いはないものと考えます。なお、靖国懇に小嶋和司氏も参加していたというのを今回久し振りに思い出したのですが(ちなみに、小嶋先生と樋口先生は評者が憲法と比較憲法をそれぞれ学ばせて頂いた先生で、どちらも試験では優を貰いました)、両先生の昔の風貌と講義を懐かしく思い出すとともに、小嶋先生と芦部先生の学風や人間性等々について、以下のウィキの記載があるのを思い出した次第です。
- 今の学年制で言えば小嶋と芦部は同学年であるが、小嶋は芦部より2年早く東京帝国大学法学部を卒業している。芦部が宮沢俊義教授を指導教官として助手になったとき、小嶋は大学院特別研究生として以前より宮沢の指導を受けていた。そうした関係から小嶋は芦部に対して憲法研究の手ほどきを施した。
- 小嶋は学問に対する生真面目さから師である宮沢に対する批判をも辞さなかったことから、次第に宮沢と小嶋の関係は悪化し、結局、小嶋は宮沢の後継者となれなかったと言われる。宮沢は、親友であった尾高朝雄の弟子である小林直樹に憲法第一講座を、芦部に憲法第二講座を継承させる。
- 小嶋と芦部には、憲法研究における微妙な棲み分けがあった。主に人権論と憲法訴訟の研究へ進んだ芦部憲法学と、主に財政・明治憲法の研究へ進んだ小嶋憲法学は、直接的には対立しなかった。小嶋と芦部の意見が真っ二つに分かれたのは、1985年の中曽根康弘総理大臣時代に藤波孝生官房長官の私的諮問懇談会のメンバーとして討議した靖国神社公式参拝問題であった。
このお二方の「相克」というのにも触れられていると、更に人間ドラマ度が増した内容になったと思いますね。(両先生が共闘していたら? 長野と山口(小嶋先生出生県)の憲法的風土の違い?)
紙の本
よく取材されている
2022/09/28 14:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本を代表する憲法学者芦部信喜初の本格的評伝、を期待すると少々肩透かしかもしれない。伝記部分は百頁弱で、後半はゆかりの人物へのインタビューと、取材過程でのスクープと資料から成っている。憲法学者芦部入門としての役割は十分果たせていると思うので関心がある人にとっては手にして損をするものではないが、本格的な伝記も期待したい。