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- カテゴリ:一般
- 発売日:2020/11/05
- 出版社: 早川書房
- レーベル: ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス
- サイズ:19cm/499p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-001961-7
読割 50
紙の本
ミラクル・クリーク (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS)
【アメリカ探偵作家クラブ(MWA)エドガー賞最優秀新人賞(2020年)】【国際スリラー作家協会賞最優秀新人賞】【ストランド・マガジン批評家賞最優秀新人賞】バージニア州郊外...
ミラクル・クリーク (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS)
ミラクル・クリーク
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商品説明
【アメリカ探偵作家クラブ(MWA)エドガー賞最優秀新人賞(2020年)】【国際スリラー作家協会賞最優秀新人賞】【ストランド・マガジン批評家賞最優秀新人賞】バージニア州郊外の町、ミラクル・クリーク。韓国人の移民一家が営む酸素治療施設で放火事件が発生。焼死した少年の母親が逮捕され、1年後、裁判が開かれる。心のうちに傷と秘密を抱えながら、関係者たちは法廷に臨む−。【「TRC MARC」の商品解説】
郊外の町ミラクル・クリークの治療施設で火災が発生し、二名が命を落とした。1年後、はじまった裁判は、施設の経営者一家、その患者、関係者たちの秘密を明らかにする……。エドガー賞最優秀新人賞&国際スリラー作家協会最優秀新人賞二冠、心揺さぶる傑作。【商品解説】
小さな町の治療施設で発生した火災事件。その真相とは。エドガー賞最優秀新人賞はじめミステリ新人賞三冠。心揺さぶる法廷ミステリ。【本の内容】
著者紹介
アンジー・キム
- 略歴
- 〈アンジー・キム〉韓国生まれ。11歳の時にアメリカへ移住。弁護士業を経て、作家。「ミラクル・クリーク」でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)エドガー賞最優秀新人賞等を受賞。
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紙の本
単純な善人などいない
2021/07/30 00:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えてまず思ったのは、登場人物の濃密な心理描写に圧倒されたということだ。
より良い生活を求めて移住した人たちの悲哀や疎外感、障害児をもったために、心ならずも「マザー・テレサ」と呼ばれ、そのイメージとのギャップに苦しむ母親、同じ自閉症の子を持ちながらも、仲間との比較や成果の出ない治療に心がささくれていく女性・・・と、かなり重い内容が関係者たちの口を通して語られてゆくのは、正直しんどいかと思ったが、彼らの赤裸々な心情にはどれも素直に納得させられたためだろうか、結構なページ数にも関わらず読み通すことができた。
ラストは感動的なはずなのだが、自分としてはサブマリンに通う患者たちの心の葛藤にかなり共感できたせいで、結局ひとは他者の痛みや苦しみを本質的には理解できないし分かち合うこともできない、というかなり救いのない結論にたどり着いてしまった。
同じ障害をもつ子を抱えることで表面的には一枚岩に見えるママたちも、その内奥には治療に対する不信感から、それらに積極的なママをネットで攻撃し、子供を虐待していると匿名通報し、治療施設にまで押しかけて圧力をかけてくるという闇を抱えている。無益なばかりか危険な治療を止めさせることで子供たちを守るという大義名分のもと、実際は自分の子育てが絶対だと思い込み、治療に消極的な姿勢こそが、ありのままの子供を受け入れることだと自己正当化するためなのだ。
さらには、同じ治療を受けていても、自分の子供に期待した成果が上がらないために絶望し、お受験ママが毎日ちがう習い事に通わせるように、いくつもの治療やセラピーを掛け持ちしている母親に、もっとのんびり構えるべきだ、治療の成果がある程度上がっているのになぜ執拗に治療に通わせるのか、といった押しつけがましいアドバイスをするママ友の心理には、善意の中にぽっかり空いた虫食いのような嫉妬が見え隠れする。
そしてすべてを打ち明けるよう促した真犯人の母親でさえも、事件の過程に関与した人たちが一切罪に問われないことに怒りと割り切れなさを感じている。この気持ちの揺れが読む人によっては、偽善的だと映るかもしれない。しかしこれが人間の本質であり、それを余すところなく描き出した作者の強い問題提起なのだと思う。新人とは思えないような力量に今後を期待したい。
おまけだが、作中に出てくる「高気圧酸素療法」というものに、微かな覚えがある。日本でも病院で脳梗塞の治療に利用されていたようだが、衣服の静電気が原因で大爆発を引き起こし、患者本人とそれを見守っていたご家族の方が犠牲になったと記憶している。爆発で激しく壊れた治療室の映像がかなり衝撃的だった。
紙の本
リーガル・ミステリーは外国の小説が良い
2021/04/17 20:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
法廷の描写が核心に迫って迫力がある。
当事者尋問も迫力がある。
本屋大賞の翻訳部門の大賞と聞いて読んだが、ページ数も多く読みごたえがあった。
障害を持った子供の治療に全力を傾ける母親たちの苦悩が根底にあり、そんな母親達の嘘の供述により事件は真実から遠ざけられる。
苦しむ母親達の心情が受け入れられないのが現実なのだろうが、そんな気持ちを理解できる社会を望みたい。
事件は、様々な人達の思いが嘘の供述になり迷走を極める。悲しいけれど、移民・障害児を持つ親の気持ちを訴えるストーリーに素直に感動出来る。
紙の本
パズルのようなミステリー
2021/05/15 14:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年の一月か二月ごろの朝日新聞の書評欄で宮部みゆきさんが、早くも今年の最高傑作か、とまで評していた一冊。これは読まなければと思い購入。放火殺人で息子を殺したとして裁判にかけられた母親を巡る法廷ミステリー。一章ごとに、刑事、被告、友人など、視点となる登場人物が変わり、裁判などから、次々と当事者が隠していた秘密が判明していくストーリーは、まるでパズルが解き明かされていくよう。先がすごく気になり、500ページもあっという間でした。最後は、意外な犯人とともに、罪を犯す、そして償うということの重さを考えさせられました。