紙の本
ほのぼの作品
2021/03/24 03:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんの変哲もない中年夫婦のほのぼのとした日々を描いた作品だ。ドラマチックなところがまったくないほのぼの作品は,この著者にとってはじめてではないだろうか。こういうのを待っていたといっても過言ではない。なにしろ評者の一番のお気に入りの小説は,夏目漱石の「門」なのだから。著者にもミステリでない作品が書けることに安心した。できれば釧路を舞台にこういう作品を書いて欲しい。釧路や根室だって日常的に事件が起きているわけでもあるまい。それと,著者は信で始まる男性の名前が好きですね。そしてヒロインの名前はキラキラとはいわないまでも珍しいものが多い。なにかこだわりがあるのでしょうか。結論,何も事件がないのがよかった。
紙の本
夫婦について考えてみた
2023/05/11 22:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くり坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
リアリティのある夫婦の日常を切り取った連作短編で、周囲との人間関係も含め、自分に当てはめて考えさせられた。そして、登場する人達の会話が良い感じで、このままドラマにできそうであった。
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結婚生活って人それぞれドラマがあるよなぁって思う。なかなか本音が言えないけどほのぼのと繋がっているふたりやふたりを取り巻く環境と主人公の気持ちの変化や素直な表現にほのぼのする感じであり、穏やかな気持ちにさせられた一冊
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幸せになるために生涯を誓ったはずなのに、夫婦とは、結婚とは、一体何だろう。夫婦が夫婦になっていく"家族のはじまり"を夫と妻交互の視点で描く連作短編集。
人間は何故結婚という、極論的に面倒なスタイルを選択するのだろう。異性の同居生活だけではなく、互いの家系や交遊関係まで築き、また保っていかなければならない。本作では、夫婦の微妙に変化していく心情が、自分の体験と重なるので他人事でなくなる。
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元映写技師の信好と看護師の紗弓の物語。
結婚したはいいが信好に定職はなく経済的に紗弓に支えられている。
色んな出来事の中で2人が成長していく様子が窺える。
しっかりとした愛情を育てている2人にこちらも幸せになれました。
読んでいてホッとしたり共感できる場面もたくさんありました。
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初、桜木紫乃作だったが、終始暗い印象だった。
特に盛り上がる事もないが、これが普通の日常なんだと思うと、かえって辛い。
「ふたりぐらし」といっても色んな「ふたり」の暮らしがあり、紗弓が最後に振り返るそれぞれの「ふたり」の形が印象的。
ー父と母は、ひとりを持ち寄ってふたりになり、三人を経て再びふたりを歩いている。姑のテルは、ひとりになってもふたりぐらしを続けていた。岡田と百合は、つよくひとりを意識しながらふたりをいきる。
百合が認知症になってしまいそうな母から、「あなたのことを忘れたらどうしよう」と言われるシーンは、多分、自分と百合の年齢が近いからなのか、グッと来てしまった。
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一家の家計を支える看護師の紗弓と、映写技師である矜持を捨てきれず無職に近い信好。
好き合って結婚したはずが、仕事や家計の話を避けるあまりどことなくギクシャクする2人の日常を描く連作短編集。
35歳と40歳の結婚まもない夫婦だが、子どもがないままもう10年、20年過ごしたかのような静けさが漂う。それは2人の間に常に触れてはいけない諸々が横たわっているからだ。
そんな日々のなか、出会った人々や小さな出来事によって、夫婦の愛情や幸せについて考えさせられ、少しずつ気持ちや生活が変化していくさまに安堵した。
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ある夫婦の日常を描いた短編。
わくわくするような起承転結がある訳ではないが、妻の気持ち、夫の気持ちを季節を巡らせながら描いている、心にじんわり染み込む作品。
愛情をストレートに描写はしていないが、登場人物がみんな優しさを持っているということが伝わる。
とても読みやすくてストレスフリーな作品だった。札幌が舞台になっていて、大通駅や東西線、円山公園、定山渓など、細やかなワードが出てきていたのも良かった。
結婚とはこういうことなのか。
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最近、考え事をしているとどんどんネガティブになってしまっていて、たぶんこのまま1人で老後を迎えて死ぬんだなって思ってる。
自分の中でそれは怖いことなのに、誰かと一緒にいることで、その関係が壊れてしまうことも怖い。その生活が壊れてしまうことも怖い。
それでどうすることもできなくて、地団駄を踏んでいる間に、みんなとっくに先の方へ進んでしまって、わたしだけがずっと同じ場所にいる。
こんなことばっかり考えてるうちに、なんかお盆休みで太っちゃったなぁ、なんて思ってトレーニングを始めた。
きついトレーニングはしんどくて、今やっていることに集中できるからなんにも考えなくてよくなるし、身体を鍛えると心も強くなるってことらしいので続けていきたい。
この、死を考える一方で存在する、たぶん強烈に生きたい気持ちが、今のわたしの全部なんだろう。
40歳で夢追い人、元映写技師の夫・信好と、35歳で看護師、家計を支える妻・紗弓の、これといって大きな出来事があるわけではない日常、けれどだからこそより二人の関係性が際立って描かれている印象を残す本作品。二人が交互に主人公となって進む連作短編集。
信好は定職についておらず、生活費は紗弓に頼るところが大きいが、わたしはこんなにお金のことで気を遣われるくらいなら、なんも考えずにお金使ってくれた方が気分がいい。ヒモならヒモらしく、ということなんだろうけど、わたしはなんだか、こんなヒモは気詰まりだなぁ。何かにつけ、責められていると感じたり、他人からの目ばかりを気にしたり。周りはそんなふうに思ってないのに本音を隠してかっこつける。だったら働いてほしい。
わたしはもっと、「今日も家事、やったよ!キラキラ」「今日も君可愛い!キラキラ」みたいなヒモの方が好きだなぁ。「そんなこと言われるなら今日もあなたのために働きます!」とか思っちゃう。(ヤバイですか?)
でも、現実的な生活ってきっと気詰まりだ。
一方で、信好が女性だったら、こんな風に卑屈に思わないんだろうな、とか思ったり。
傍から見ると、なんで一緒にいるのかなー、と思えなくもない、のだけれど、それは信好が、「気遣いの方向を間違わない男」であることと、紗弓が「ひとりではうまく流れてゆけないから」「どうしても(信好を)好き」だからなんだろう。
かっこつけても、相手にはちゃんと伝わってる。お金の悩みも、泣くのを我慢することも、本音を言えないことも。それをお互いわかっているからこそ、大きくぶつかることなく、配慮し合えるんだろう。もう一度言う。わたしには気詰まりである。
しかし、一方でこんな言葉もあった。
P234「事情はそうでも、出来ればそこは隠しておいて欲しいかなと思ったわけだ。本音ってのは一つの暴力だしね。そこまで言わずともいいところを、言わなきゃわからない男だと思われてるのかなと」
わたしは本音を言えるって大事なことだと思うのだけれども、相手によってはそれが逆に暴力と感じられることもある。本音を出すタイミング、伝え方、本当に言うべきことなのか否か。わたしは、言うべきことと言わなくてもいいことは分かっているつもりだけれ���。でもいつかは伝えたいと思っている。それがわたしにとっての本音。
妻・紗弓の父の言葉は、バシンと言い当てるものが多く、それがこの二人の緩やかな日常の中に突然現れるのでハッとさせられる。
P63「お母さんは義理を欠いたと言うけれどね、それは彼女の価値観だから、家庭を持った娘と考え方が食い違うのは仕方ないことだと思うんだ。常識と感受性の間で悩むことも、大人として生きていく上で大切だからね。お母さんの言葉に、お前があれこれと思い煩う必要はないんだよ」「思い煩う時間があったら、もっと自分の喜べる方向へ頭を使いなさい」
P65(紗弓「わたし、お母さんのことがたぶん嫌いなの」に対して)「いいんだよ、女の子はそれで。母親が大好きだなんて、女として次の一歩を踏み出せていない証拠でしょう」
一人になる老後に脅えつつこの作品を読んで、わたしはどうなることを期待していたんだろう。「やっぱり一人は寂しいから誰かと生きたい」なのか、「やっぱり誰かと生きるって大変じゃん、一人って最高じゃん」なのか。たぶん求めていたのはその中間「それでもやっぱり、この人と一緒にいたい」的なやつ。
わたしは結局、求めていたところへは行けてなくて、「やっぱり誰かと生きるって大変じゃん、でも一人って寂しいじゃん」てとこから動けてない上に、なんならこの二人の「配慮」に気詰まりを感じてしまって、やっぱり一人って楽!っていうのをさらに実感してしまったのであるorz
方向性といえば、過去に、音楽の方向性の違いで別れたことがある。
彼はあまりにも、J-POPに心酔しすぎていたのである。
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40歳の映写技師と35歳の看護師の夫婦の話10篇。
・こおろぎ
・家族旅行
・映画のひと
・ごめん、好き
・つくろい
・男と女
・ひみつ
・休日前夜
・理想のひと
・幸福論
理想のひと、と幸福論が好きかな。
こんな感じで静かに暮らせるなら結婚してもよかったかな。
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信好と紗弓という若過ぎず、年寄りすぎない、まだ2人きりの家族が中心。
2人の生活には様々な形の夫婦(家族)が関わっていて、疎ましくも思えるけど、放ってはおけない。その中でまた自分たちを見つめ直す、という。
あまりにも淡々としてて、始めはストーリーに没頭出来ずにいたのだけど、最後には信好と紗弓がやっぱり愛おしく感じられ離れがたくなった。
(夫婦って、結局、なんだかんだで相手の事を思いやれなくなったらだめよねーー。)
解説を友近が書いてて、なんか嬉しかった。
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短編集と思いきや、登場人物、景色は同じ。ささやかな夫婦の生活の中にも、実はいろいろな事柄が繊細に動いている。
個人的に母親との関係を疎ましく思っているこの頃なのでこの言葉は響いた。あと、紗弓のお父さん好き。
家族旅行
「それは彼女の価値観だから、家庭を持った娘と考え方が食い違うのは仕方ないことだと思うんだ。常識と感受性の間で悩むことも、大人として生きていく上では大切だからね。お母さんの言葉に、お前があれこれと思い煩うことはないんだよ」
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北海道生まれとしては、馴染みの地名が出てきて懐かしかった。
紗弓が信好を好きな理由がいまいちわからず。
自分はわりとあけすけに話している関係なので、夫婦関係がもどかしく見えたりもした。
つかみどころがなくて、にこやかだけど腹の中を見せない、穏やかな人の思考回路を覗き見したような気がした。
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読もう、読もうと、やっと読めた本。予想以上に良かった!『予想以上に面白かった』ではなく『予想以上に良かった』。 この作者の本は2冊目。何故か文章がスゥーっと入り込んでくる。
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物語の登場人物や設定が頭に入ってこなくて、読むのを断念しました。今はまだ読めないだけだと信じて、この小説に入り込めるときをじっと待ってみます。きっと素晴らしいお話です、