- 販売開始日: 2022/01/14
- 出版社: 白水社
- ISBN:978-4-560-09861-5
アメリカ副大統領:権力への階段
著者 ケイト・アンダーセン・ブラウワー(著) , 笠井亮平(訳)
「ナンバー2」から見たアメリカ政治の中枢アイゼンハワー政権のリチャード・ニクソンからトランプ政権のマイク・ペンスに至るまで、13人におよぶアメリカ副大統領の生身の姿を描い...
アメリカ副大統領:権力への階段
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商品説明
「ナンバー2」から見たアメリカ政治の中枢
アイゼンハワー政権のリチャード・ニクソンからトランプ政権のマイク・ペンスに至るまで、13人におよぶアメリカ副大統領の生身の姿を描いたノンフィクションである。ジャーナリストとして長年ホワイトハウスを取材してきた著者は、存命の副大統領経験者全員やその家族、側近など膨大な数の関係者へのインタビューや資料に基づいて、副大統領職という、これまで見過ごされがちだったが実はきわめて重要なポストの実態を描き出す。とくに経験者による在任中の回想からは、副大統領というポジションの難しさや大統領との関係が生々しく伝わるとともに、アメリカ政治に及ぼした影響の大きさが浮き彫りになる。副大統領公邸である海軍天文台や、「セカンドレディ」すなわち副大統領夫人について取り上げているのも興味深い。
副大統領の視点からアメリカ政治の中枢で繰り広げられる人間関係―ときに熾烈な権力闘争であり、ときに相互協力であり、稀にではあるが友情も育まれる―を解き明かすことで、各政権の意外な一面や政治の舞台裏が垣間見えるだけでなく、現在および今後のアメリカ政治を理解する際の新たな視座を提供する。
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大国アメリカのNO.2が、悲哀と屈辱に溢れる「閑職」とは!
2022/03/22 09:06
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
賑やかな催しが大好きなアメリカ人には、四年に一度訪れる大統領選挙は予備選を含めて長く楽しめる恒例のお祭りなのだろう。今では「最古の」政治システムなのに、米国民のほとんどは「最高の」選挙制度だと信じ込んでいる。
自分の投票が州の選挙人総取りルール等で反対党の勝者に奪われる不合理さは、ハラハラ、ドキドキで勝敗を見守るスリルと快感の前では些細な欠陥か。試合でも勝負が決するのを好むから、「州」=ステート(国)の選挙結果に「引き分け」は不要なのだ。
本書を読むと、大統領選挙戦でのランニング・メイト(副大統領候補)の驚くべき役割と実態が暴かれる、涙なくしては読めない証言と出逢う。戦略で選ばれた副大統領候補は、「伴走者」どころか単なる「広告塔」「使い捨ての駒」「危険かつ無知な若造」「哀れな無用の長物」に過ぎないらしい。
「権力者」(大統領)に近くとも制度上は「上院議長」役に止まり、最も近しい本当の存在はファースト・レディ(大統領夫人)なのだ。大統領の信頼と友情を勝ち得た者だけが八年後に後継者としての支持を得られる。大半は、閑職に心身とも疲弊し、いびられ無視されるか、こき遣われて醜聞で追われる定めだ。
三顧の礼で副大統領候補に迎えられた政界の実力者も、一期目は丁重に遇されるが、二期目には経験と知恵を積んだ大統領に煙たがられる始末。結局は人間関係の妙で、オバマ・バイデンの正副大統領コンビが長続きした稀有な成功例だと著者は記す。
本書に差し挟まれる二箇所の写真頁が貴重だ。中でも、副大統領公邸だという米海軍天文台の建物は、赤毛のアンが校長時代に下宿する幽霊小路の風柳荘みたいな大英帝国風の建築で、三角屋根の円塔がとても素敵に見えた。白亜の殿堂(ホワイトハウス)に比べれば、よっぽど人間的で温かみが感じられる。
大国アメリカのNO.2が、これほど悲哀と屈辱に溢れる「閑職」とは、知らなかった。著者は旺盛な取材力を駆使して歴代副大統領の「忍耐」と「陰助」の実態を描き出す。
翻訳文も初版ゆえに校正ミス(22頁14行目誤:「連符」政府⇒ 正:「連邦」政府)や語句洩れ(72頁7行目:問題(に)なること、166頁11行目:政務秘書官(に)こう語った)があるものの、日本語としては読み易かった。