紙の本
ぐいぐい引き込まれるが。。。
2022/07/15 07:38
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投稿者:lucky077 - この投稿者のレビュー一覧を見る
闇商法(詐欺)の手口のオンパレード。元は普通の営業マンが詐欺の被害から仕事にあぶれ、詐欺を働くようになる。やがてイヤがっていた暴力団や政治家とも付き合うようになり、最後に家族(娘)を護るためにスゴイ手を使う。
ストーリー展開が速く、後半はぐいぐい引き込まれたが、心理描写があまく(上っ面だけ)で、満足感が乏しかった。白昼の死角のような満足感が欲しかった(昔読んだから、当時は満足しただけかもしれませんが)
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最後までハラハラしどおしで、読んでて止まらなくなった。展開に無理があるなと思う箇所も沢山あるが、娯楽作品として面白い。
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天才詐欺師の物語。ギリギリに生きていながら、死なない。生き残る。原野商法に始まって、和牛商法、海外ファンド、最後は東芝の原発企業の買収。世の中の読み方が素晴らしくキレている。
面白い。
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豊田商事事件のモチーフに端を発しての、組織的詐欺事業に手を染める一人の男の物語。人の欲望の醜さを暴くものかと思いきや。
なんていうか、とにかく自己本位で優柔不断な主人公の隠岐がどうしても好きになれず、にも関わらず周囲から一目置かれているような状況が腑に落ちず、読んでる間中まったく興味が持てずに感情移入もできずにずっとつまらなかった。詐欺の顛末もヤクザとの駆け引きも陳腐だった。
因幡のキャラは面白かったけれど使い捨てでがっかり。ヤクザの蒲生もまったく魅力がなく、聡美にいたってはあまりに漫画チックでドロンジョ様かと思っちゃった。
唯一共感できたのは、家庭内での父親の無力さだけだったな。
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700ページを超えるが一気読みできる。
主人公は詐欺師でクズだが、読み進めるうちに感情移入していく。
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詐欺商法で一世を風靡した横田商事の残党 隠岐隆が因幡充と原野商法で暴利をむさぼる前編では、詐欺の手口の解説のような部分が多く、楽しめた.難しい問題の処理に暴力団が絡んできて、隠岐の本領が発揮されるが、仕事以外に家族間の問題も発生し、隠岐が苦労する.ダミー会社を次々と作って金をうまく隠す手法には感心するが、最期は人との関係を如何にコントロールするかが、ビジネスの肝だと感じた.政治家の力を借りたり、広域暴力団を手玉に取ったり、隠岐の活躍が面白かった.リベリアまで手を伸ばす才覚は侮れないものだと感じた.
騙される人がいることは認識していたが、騙す側も苦労している実態が見えて楽しめた.
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山風賞受賞作品ってことで。機龍警察シリーズの信頼感もあったし。で、本作。テンポよく読まされる展開は相変わらずで、安心して読み進められる。でも前半、何だか登場人物のいちいちが空虚に思えて仕方なく、面白くて頁を繰る手は止まらないんだけど、いまひとつ乗り切れなくて…みたいな、もどかしい感じが続く。でも折り返しあたりで、視点人物が相棒を殺ってから以降、人物像の薄さはだいぶ気にならなくなる。よかった、よかった…と思いきや、終盤になってまた、悪女が再登場し、それと共に像の薄さも復活。これ、この女の描写が浅いのが一番の問題だな、とどのつまりが。なぜこんな風になったのか、どうやって過去の悪事を成し遂げたのか、相当のワルたちを相手にどう立ち回ったのか、どれひとつ全然見えてこん。畢竟、なぜここまでバケモノじみた凄まじさを発揮出来るのか、まるで理解できん。この人がいなければ、もしくはもっと有効に描かれていれば、ただ面白い!と思える作品だったのに。
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月村了衛『欺す衆生』新潮文庫。
1980年代に起きた豊田商事事件をベースに描かれる山田風太郎賞受賞の詐欺犯罪小説。
原野商法、和牛商法、株式投資詐欺、海外ファンド詐欺とあの手この手で人を騙し、大切な資産を奪おうとする奴ら。黒い金が集まる所に砂糖に群がる蟻の如く引き寄せられて来る悪い奴ら。裏切りと企み、成功と失敗。詐欺という犯罪を非常にスリリングに描いており、面白い。特に終盤の展開は読み応えがある。
金のためなら仲間の命までも差し出すヤクザよりも怖い、血も涙も無い生まれついての詐欺師たち。
タイトルの『欺す衆生』とは聞き慣れない言葉だ。調べてみたら『欺す』は「あざむく。真実でないことを嘘をついて真実だと思わせる。」ことで、『衆生』とは「一切の生きとし生けるもののこと。基本的には迷いの世界にある生類を指す……」とある。つまりタイトルの意味は「人に嘘をついて欺き、人を騙す奴ら」ということか。
戦後最大の詐欺事件を起こした横田商事で営業を担当していた入社5ヶ月の隠岐隆は会長が目の前で刺殺される瞬間を目撃する。それを切っ掛けに破綻した横田商事。隠岐は横田商事の元社員であることを隠し、何とか文具会社の営業社員となる。
妻の親族に騙されて作った借金もあり、妻と2人の娘との苦しい生活が続く隠岐に横田商事の元社員の因幡充が近付き、自ら立ち上げた詐欺会社に勧誘する。当初は詐欺という犯罪行為に抵抗を感じていた隠岐だったが、次第にその才能を開花させていく。
原野商法が一段落し、次の詐欺に手を染めようとする因幡は横田商事の元幹部の肥崎、鎌井を仲間に引き込む。さらには2人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが近付いて来る。
豊田商事の会長刺殺事件の瞬間はテレビでも映像が流れ、写真週刊誌にも画像か掲載されるなど当時は衝撃的な事件だった。実体経済とはかけ離れたバブルに浮かれ、投資ブームに便乗した詐欺犯罪は時代と共に変化していくが、結局のところ被害者となるのはある程度の蓄えがある普通の高齢者が多いようだ。
本体価格1,050円
★★★★★
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詐欺師の話。痛快な詐欺師の話とは違う。
追い詰められて陥る感じともちょっと違う。
詐欺を生活の一部として生きる人の話。
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豊田商事事件に始まり、東芝の米国ウエスチングハウス買収による巨額損失まで、昭和から平成の詐欺事件をモチーフにした犯罪巨編。ピカレスク・ロマンと呼ぶにはあまりに地味な作風ではあるけれど、作品から放たれる緊迫感にグングン惹き込まれて、本編725頁をほぼ一気読み。所謂ご都合主義的な展開もあれど、慎重派な隠岐が裏社会を紙一重のところでサヴァイヴしていく様子は過去作の「東京輪舞」と異なり、爽快感すら覚える。然しながら、家族の為という大義名分が形骸化する皮肉なラストシーンにはその欠片も残らない。毒を食らわば皿まで―。
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詐欺に引っかかる描写に引き込まれた
反社との繋がりにずるずるとハマって
いく様や、隠岐の吊り橋を渡るような
生き様にすっかりハマってしまった。
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詐欺。
「詐」・・・つくりごとをいう。うそを言ってだます。
「欺」・・・うそをついて人を迷わす。
タイトルの通り、本作は「詐欺」がテーマの犯罪小説です。
私は堅気の仕事なので、新たな世界の物語。非常に興味深いです。
あらすじは以下の通り。ネタバレは含みません。
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主人公の隠岐は、日本を騒がせた戦後最大の詐欺集団・横田商事に勤め、そしてその崩壊を目の当たりにしました。
もう今後は詐欺なんかしない、そう決意した隠岐は文具メーカーのしがないサラリーマンをしていました。
営業成績はイマイチで邪魔者扱い。
そんなときに声をかけてきたのが、元横田商事の因幡でした。
そう、再び詐欺の世界に誘い込まれたのでした。
最初に始めたのが原野商法。役所をも巻き込み、存在しない都市改革プロジェクトをネタに僻地を高く売りるのです。
詐欺のために大事なのは、人の背後にある企業ブランドや権威。
そして顧客への真摯な対応。
いい顔をしながら、徹底的に信じ込ませるのが常道のようです。
次第に儲かり始める2人。
その噂を聞きつけて入社したのが、元横田商事の面々であった…。
人を欺すためには、自分を騙す。
今を生きるためには手段を選ばない。
ヤクザやマフィアも絡み合う中、危険人物や危機的な状況をなんとか乗り切る隠岐。
果たして最後に欺されているのは…。
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前半部分が圧倒的に重い。
まっとうに生きようとするが、最低限の生活ですら徐々に手詰まっていく救いのない展開に読む手が進まない。
先が思いやられたが、中盤からはスリリングなコンゲームがテンポ良く進んでいく。
因幡、隠岐、蒲生の三者が手を組みながら、詐欺という舞台の上で、お互いを蹴落とす隙を狙っている。
主人公の隠岐は常に脱落候補筆頭なのにも関わらず、中盤から終盤にかけて覚醒していく。
騙し騙されのコンゲームの先に待っている未来なんて碌なものじゃないだろうと思わせられたが、結末は意外な形でここでも作者に躱わされた気がした。
気になった点:
主人公の隠岐、詐欺に手を染めるまではうだつが上がらない底辺サラリーマン。得意不得意があるにしても、詐欺のビジネスで覚醒する様を見ると、その片鱗くらいは前半に見えても良かったのでは。
そして全く家族から相手にされずATMとしか見なされていないにも関わらず、家族を脅しの材料に使われると簡単に屈してしまう点も、説得力にかける気がした。現実はそんなものかもしれないが、ひとつくらい、家族との絆を捨てきれないでいるエピソードがあると読み手としても没入感が増したのではないかと感じた。
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面白かった!
裏社会との関係が濃くなればなるほど、主人公が覚醒されてスケールが大きくなっていく。
続きが気になって結構分厚いけどスルスルと読めました。
最後の一文にぞくっとした。
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素直に話が面白かった。テンポ良く話がどんどん展開していき、そのスピード感と膨らみ自体が、主人公の生き方や内面を投影している感があり、引き込まれる。