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指揮官たちの第二次大戦 素顔の将帥列伝 (新潮選書)
著者 大木 毅 (著)
南雲、デーニッツ、パットン、ジューコフ…。第二次世界大戦をリードしてきた指揮官たちにつきまとう「評価」は、果たして本当に正しいものなのか。6カ国12人の知られざる言動と意...
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商品説明
南雲、デーニッツ、パットン、ジューコフ…。第二次世界大戦をリードしてきた指揮官たちにつきまとう「評価」は、果たして本当に正しいものなのか。6カ国12人の知られざる言動と意外な横顔を綴った評伝。【「TRC MARC」の商品解説】
南雲は、デーニッツは、そしてパットンは、本当に「名将」だったのか? 猛将、賢将、凡将、愚将――。大戦をリードした参戦各国の指揮官たちにつきまとう「評価」は、本当に正しいものなのか。戦後永らく日本を支配してきた俗説を排し、日進月歩の最新研究に基づいて明かされる、将軍たちの知られざる言動と意外な横顔。戦後七十七年、ついに登場した『独ソ戦』の著者による軍人評伝の決定版!【商品解説】
著者紹介
大木 毅
- 略歴
- 〈大木毅〉1961年東京生まれ。立教大学大学院博士後期課程単位取得退学。現代史家。陸上自衛隊幹部学校講師等を経て著述に専念。「独ソ戦」で新書大賞2020大賞を受賞。
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紙の本
「戦争には三階層、戦略・作戦・戦術の三次元があるといわれる。」(200頁)
2022/07/18 02:03
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
たまたま映画『ミッドウェイ』(エメリッヒのやつ)を観て、南雲忠一のことが気にかかり、本書を一読。いろいろと参考になりました。但し、採り上げられた指揮官たちの寸描のうち、もっとも印象に残ったのは、ゲオルグ・トーマス歩兵大将(ドイツ陸軍)をスケッチした第七章。これに関連して、終章の一部を備忘までに引用しておきたい。「第二次世界大戦において、こうした戦略的逸材は、連合国側にしか現れなかった観がある。それも当然で、枢軸側は、日独伊ほかの「持たざる」国々から成っていた。かような国家にあっては、リソースの合理的な運用を追求し、敵に対して戦略的優位に立つという正攻法を取ろうとしても、不可能という結論に至らざるを得なかったのである。・・・ このような戦略的劣位に置かれた枢軸国、とくに日独の指揮官たちは、戦争目的を達成するために、「戦役」(campaign)、すなわち、一定の時間的・空間的領域で行われる軍事行動を計画立案し、実施する「作戦」の次元でのアクロバットに頼るしかなかった。それは、下位階層である作戦次元の勝利を積み重ねることによって、戦略次元の窮境を打開するという、九割九分は失敗を運命づけられた試みだったのだ」(199~200頁)。ここは、まったくその通りだよなぁと慨嘆しつつ読んだ次第です。
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好みがうかがえる本
2022/05/28 19:23
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
デーニッツ提督がヒトラーに追随した「政治的な提督」なのは言うまでもないが、この内容は基本的にクノップの「ヒトラーの共犯者」とはそんなに変わらない。おまけにクノップがデーニッツが「水晶の夜」では上官に抗議したと書いているのにすっ飛ばして、デーニッツが反ユダヤ主義の演説をした事に飛んで、いかにもヒトラーの権力掌握で彼に心酔したかのようだ。少なくとも「水晶の夜」まではヒトラーのユダヤ人政策とは距離を置いていたはずで、彼が反ユダヤ主義者になるのはそれ以降になる。著者が別なところで批判しているマーザーの「ニュルンベルク裁判」にあるデーニッツがユダヤ系の海軍士官を保護したという記述は、これにつながるはずだ。
ここは「第二次大戦の〈分岐点〉」で「レニングラード」攻防戦を書く際に偉大な赤軍の高邁な「作戦術」を評価するのには「都合が悪い」モスクワ戦直後のペテルブルグからクリミア半島まで一挙に解放しようという無謀な作戦に絡む上に、捕虜になってからは対独協力者になったのでお嫌いなヴラーソフ将軍と第2突撃軍がヴォルホフで破滅した事をすっ飛ばしているのを連想する。これじゃ自分の持つネオナチ思想に「都合がいい解釈」をすると批判しているパウル・カレルやアーヴィングを批判出来るものではない。
パットンについても言える事で、彼がドイツ軍の捕虜になった娘婿を解放する為に放っておけばドイツ軍が降伏して解放されるのに、私戦としか言いようがない捕虜収容所へ進撃して失敗したハンメルブルクの戦いに一切、言及していない。パットンには「大事なのは娘婿だけ、死ぬのは赤の他人だけ」という自己中心で冷酷な性格が窺えるし、当時ですら問題になって左遷されたのに、重要ではないのだろうか?こんな人間的に問題がある男を「偉大な英雄」だなどと言いたくもない。
ジューコフは逮捕された事はないが、トゥハチェフスキーの部下だった事があり、軍人として彼に心酔していたというから、トゥハチェフスキーが「摘発」された時には党員集会などで自分も巻き添えを食いたくないから一緒になって「告発」した事があるかもしれない。「収容所群島」にあるような娑婆にいる為に必要な「裏切り行為」だが、それはこの時代に生きた人が批判すればいい事だ。またノモンハン当時の彼について、張鼓峰や1929年の東北軍との衝突などを除くと国内戦以降の赤軍は正規軍との戦いをしていない点を見落としているのではないか。「独ソ戦」にも出て来る「作戦術」に関わる国内戦当時の全ロシア参謀本部総長だったスヴェーチン将軍は「収容所群島」に掲載されているソルジェニーツィンが収集した銃殺された人の写真の被写体の1人だが、折角版元だった出版社から出しているのに転載しないのか?「トレイシー」と「ケストナーの終戦日記」のように読んでいないならば話しは別だが。