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紙の本
日清・日露戦史の真実 『坂の上の雲』と日本人の歴史観 (筑摩選書)
著者 渡辺 延志 (著)
官修「日清戦史」は陸軍が不都合な事実を隠蔽、改竄して編纂していた−。埋もれていた歴史を掘り起こし、120余年の歳月を超えた日清戦争の実像に迫り、日本人の歴史観のあり方を問...
日清・日露戦史の真実 『坂の上の雲』と日本人の歴史観 (筑摩選書)
日清・日露戦史の真実 ──『坂の上の雲』と日本人の歴史観
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商品説明
官修「日清戦史」は陸軍が不都合な事実を隠蔽、改竄して編纂していた−。埋もれていた歴史を掘り起こし、120余年の歳月を超えた日清戦争の実像に迫り、日本人の歴史観のあり方を問いなおす。【「TRC MARC」の商品解説】
『日清戦史』草稿の不都合な事実はなぜ隠蔽されたか。『日露戦史』でもなされた戦史改竄が遺した禍根と、『坂の上の雲』で形成された日本人の歴史観を問い直す。【商品解説】
著者紹介
渡辺 延志
- 略歴
- 〈渡辺延志〉1955年生まれ。朝日新聞社記者を経て、ジャーナリスト。「歴史認識日韓の溝」で平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞。ほかの著書に「軍事機密費」など。
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紙の本
昭和日本軍の独善性を招いた日清戦史の改作
2022/10/24 21:25
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎が「坂の上の雲」を執筆した動機は、官修の「日露戦史」が全く面白くなく各将軍の戦後の自慢話ばかりに堕してしまっているからであった。しかし戦史の改作は既に「日清戦史」の時から始まっていた。90年代に官修「日清戦史」の草稿である「日清戦史決定草案」が発見され、本書は草案と公刊戦史との違いを詳述したものである。例えば平壌城での戦いは日本軍苦戦であったにも関わらず清軍は一日で白旗を掲げたが、これは白旗を出せば捕虜にならずに直ぐ自国に帰れると誤解していた清軍の「一人相撲負け」であった。しかし官修戦史では清軍の内部腐敗と日本軍の勇猛が強調されている。その他準備不足による兵站補給の拙劣、前線指揮官の独善先行などが草案では指摘されているが官修戦史では削除されている。
「草案」を書いたのは東条英機の父である東条英教であり、改作を進めたのは大島浩の父である大島健一である。子は2人共東京裁判の戦犯になったが、日本軍の独善的思考の淵源となった戦史改作のもたらした歴史の皮肉を思わずにはいられない。
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日清日露戦争を正しく評価できたか。
2022/07/22 18:30
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
日清日露戦争で、明治日本は世界の列強の仲間入りをしました(と思っていた)。しかし、日清日露戦争を当時真っ当に評価分析出来ていなかったことが、太平洋戦争敗戦につながった可能性があります。本書は、現在の視点で、日清日露戦争と当時の日本政府や軍部の戦争の分析について、分析しています。なかなか面白い視点で明治の戦争を見ている一冊です。
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戦史のレガシー
2022/10/18 08:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルから、日清・日露の戦争秘話といった内容を予測しましたが、たとえば福島の図書館に所蔵された一次資料探索など、「戦史自体の研究」にかなりエネルギーと紙面をさいています。戦争通史が読みたかった。
ちなみに日清・日露と同じように、太平洋戦争ではなく「日米戦争」の方が明確では? 大人の事情でしょうか。