森林に何が起きているのか 気候変動が招く崩壊の連鎖 （中公新書）

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：岩波文庫愛好家　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

序章から第3章迄が海外のネタ、第4章から第5章迄が日本国内のネタという構成となっています。海外と国内の両方を森林という横串で深掘りされており、先ずもっていい構成だと感じました。
　その前半部で感銘を受けたのは、次の内容です。『先進国の需要を満たすように森林は利用するが、同時に、その資源は地球環境にとって重要であるから保守的に扱わなければならないと地元での森林利用を制限するのは、あまりにも身勝手なダブルスタンダード』とあった本文です。
　他方で後半部では森林に関しては「適切な管理」と「適切な利用」が声高に提唱されており、この点が適切ではないからこそ、地球温暖化が年々上昇しているという構造がよく理解出来ました。
　木は、数年経てば利用出来るという代物ではありません。数十年という歳月が必要となります。それ故に人間一人の寿命では限度があるという事、そして政府の施策・携わる林業会社等の体制も長期的な視点及び方針を持続させる事が最大事項と言え、多くの方に本書が読まれると良いのではと痛切に感じます。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：広島の中日ファン　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

森林をテーマに、それに関する様々な環境問題を、森林研究が専門の著者がコンパクトにまとめて著した1冊です。
　山火事問題、過度な森林伐採など、森林関連の環境問題はこれほど多岐に渡るのか、そもそも森林ってこんなに奥が深いのか、ということに気づかされる内容です。これだけ盛りだくさんの内容を、よくこれだけの薄い紙幅にまとめ、一気に読み切れるようにしたものだと、著者の文章技術に感心しました。