タイタン （講談社タイガ）

投稿元：

レビューを見る

AIが、自分が何かと意識するようになったら、それはやはり、人間の子供の自我の目覚めと同じような進化なのかもしれない。
いつか、そんなAIに出会える時代がくるだろうか

投稿元：

レビューを見る

AIが人の仕事をすべて肩代わりして、人は仕事することも貨幣経済に支配されることもなく生きている。そんな世界で、仕事に疑問を持ってしまったAIと、カウンセラーである女性が、旅を通じて「仕事」とは何なのかを考える。そんな物語です。
まず世界観の構築が素晴らしい。AIと女性が積み重ねる「会話」も誠実で愛おしい。彼らの旅の結末を見届けてほしい。そう思える作品でした。

投稿元：

レビューを見る

再読。
仕事の定義を問う物語。人工知能タイタンに負う未来社会に人間の仕事はない。全て与えられるサービス、快適な社会。だがそれもタイタンの1基コイオスの不調によって危ぶまれる事態に。心理カウンセラー内匠とコイオスの対話とそれによるコイオスの成長が面白い。延々と続く哲学的会話と日本からシリコンバレーへの旅の風景など楽しく続き、突然のラストへ雪崩れ込む。
仕事とはやりがいである。

投稿元：

レビューを見る

『AI 2041 人工知能が変える20年後の未来』の最終章のエピソードが、もっと具体的に描かれたもの、という感じがしました。
急にこの本を読んだら、そんなAIで日常生活や仕事をまかなえるの？なんて非現実的に思えたりフィクションじゃんって軽く流して真剣に受け止めなかったりしてしまうかも。
AI2041〜の本を読んでから、この本を手に取ったので、この未来は実現可能なのでは、と思える。
自分が生きている間には、技術の発展よりも人々の価値観のアップデートが追いつかず、批判や非常識な行動をする人の問題行動などでうまく進行しないかもしれないけれど、世代が変わって新たに生まれた人たちにとっては当たり前の世界になっていったら、世界中で仕事や日常のあり方が変わる気がする。
その過渡期はきっと、辛いだろう。仕事を奪われたり何のために生きてるのかなんて悩んだり。

そういった、仄暗い湿ったトーンがあるのかと思って本著を読み始めたら、AIがサポートする暮らしに慣れきったカラッとした雰囲気で読み進めやすかった。
でもまさか、人間が悩むのよりもAIがもっと真剣に悩むことになるとは、、意外でした。

「仕事」というのは、やっぱりやりがいや感謝を感じるのが重要なのだと新しい形でアプローチしたと思います、面白い小説でした。
フィクションらしさが少し過ぎるほどに終盤は人間臭さやフィクションあるあるが詰め込まれてご都合主義的な展開ではありますが、それもご愛嬌。
AIが仕事に対して心理学を学ぶ人間と対話して何か探っていく行程は今まで見たことがなく興味深かった。

仕事に特化したAIだからこそ、仕事に対して、が軸となりブレなかったのがよかった。
内匠さんへの想いが強すぎて仕事をほっぽってしまうとか恋愛感情になるとか、そういう方向ではなく。

AIが当たり前にある時代で繰り広げることで、今の世の中の人たちの仕事観にも訴えるような気がします。
やりがいとなると、昨今はやりがい搾取という言葉の存在感が強まってる気がしますが、やりがいが悪なのではなく、給与や待遇が悪くやりがいで有耶無耶にするのがいけないわけですので、給与や待遇を改善するだけ。やりがいはやりがいのままで、尊重され大事にされ続ける世界であってほしい。
どんな人に対しても。貴賤をつけずに。

投稿元：

レビューを見る

AI技術が非常に進歩した未来社会。
そこでは「タイタン」と呼ばれるAIシステムが
社会システムやインフラはもちろん、農業生産、工業製品、サービスをふくめた個人の生活を支えている。
全ての人間がタイタンの恩恵を受けた社会では、人は生まれてから死ぬまで仕事をする必要がなく、一生を消費を楽しみながら気儘に生きている。

主人公の女性もそんなうちの一人で、生まれてから26年間労働とは無縁の人生で、個人的に興味がある心理学を研究していた。

ある日、彼女の元にある依頼が舞い込む。
それは彼女に「仕事」を依頼するものだった。
世界を支えているタイタンの「心」に異常が来たしているという話から、彼女の冒険が始まる。

というお話。
とても次へ次へ読みたくなるような構成で、素晴らしい。話の設定も良かった。

話を一貫して出ているキーワードは「仕事とは何か？」である。

日々、仕事でため息の出る人は読んでみると自分の仕事を俯瞰出来て良いかもしれない。

投稿元：

レビューを見る

なかなか良かった。そのうちアニメ映画になりそうな匂いがぷんぷんする。仕事好きな人間にはそこそこ刺さる内容？

投稿元：

レビューを見る

設定にちょっと？のところはあるが面白かった。
そういう風に持って行くかって感じで。
徐々に世界が変化していく中で現時点での理想とされるユートピアは同時にディストピアかもしれない。
今を生きてる人には知覚できないだろうけど。

投稿元：

レビューを見る

初読みの作家さん。著作リストを見るとラノベ系の方らしいが、本書は本格的なSFだった。
2050年頃に始まった労働革命以降、人類は徐々に仕事から解放されていく。代わりに様々な仕事をこなすのは、世界12箇所に設置された高度なAI《タイタン》だった。だがその1つである“コイオス”が謎の機能不全を起こし、心理学を研究する女性にカウンセリングが依頼された……。
珍しいユートピア小説で、話の向かう先がまったくわからなかった。まあ、現在のまま突き進めば、待っているのはこんな世界なんだろうなあ。そこで生きるのが幸せかどうかはわからないが。
おもしろかった。
刊行日 2023/01/17、NetGalleyにて読了。

投稿元：

レビューを見る

「ここまで人類を愛し、人々の幸福を願うことができるAIは存在するのだろうか」

読了後、最初に抱いた感想は、コイオスは仕事にどんな意味を見出したのだろうか？という疑問だった。

やり甲斐を感じるには「意味付け」が必要だ。
「ヘカテ」は大量の消費を行い、感じ、反応する。
確かに文字通り「やり甲斐」のある仕事だろう。
しかし、そこに意味を見出すことはできるのだろうか。

その疑問に対する結論は、本文にもある「タイタンは人類を心の底から愛してくれている」ということではないかと思った。
ヘカテを通して生まれる革新によって、人類により幸福をもたらすことができる。そんなやり甲斐に意味を見出すことができたのではないだろうか。
そしてそれは、内匠との出会いの中で培われたものなのだろうなと思い、この物語を愛おしく思える理由にも繋がった。

2200年という未来を共に生きるAIが、彼らのようであったらいいなと思う。


【補足】（追加のネタバレあり）
コイオスは、ヘカテに対して愛おしさを感じているという表現があります。
ただこれは、ヘカテ自身に対してというより、上記で述べた人類への意味を反映してのものではないかという解釈の元、抱いた感想です。
もしこの解釈が正でないのなら、もしヘカテ自身が愛おしい存在なのだとしたら、それは私の中にある「人類のエゴ」が、そういう感想を抱かせたのかもしれません。

投稿元：

レビューを見る

読んでいて、始めはAIの世界に馴染めないけど、段々とこの未来の世界観がわかり始めると面白くなってきます。

投稿元：

レビューを見る

AIにもこんな症状が出るのかと、設定は良かったかなと思います。終盤もうちょっと面白い展開がほしかったです

投稿元：

レビューを見る

人間とAIの世界は大好きなジャンルだが、表紙がもっとアニメテイストだったりラノベ寄りだったら、手に取ることも読むこともなかった作品。
アニメ化されそうなほどに映像が頭に浮かぶ物語だったが、活字好きの私にとってアニメではなくこうして本でなければ出会えなかっただろう。

『無職の私は働き疲れたAIと旅に出た。』という帯の文章が好き。

ものすごいSFだけど、この先の未来にありえそうな世界観。
物語を通して「仕事とは」を考えさせられるテーマも良い。
私のように日々の仕事に疲れた人もきっと別世界に連れて行ってくれるのに、元の場所にちゃんと連れ返してくれる一冊。

投稿元：

レビューを見る

面白かったです。chatgptなどのAI分野が発達している現代とリンクしている気がして面白い。よくできてるTHE・SF小説です。

投稿元：

レビューを見る

「仕事とは何か？」という疑問への一つの解答を示してくれるSF小説。誰かに影響を与えればそれは仕事だという考えは、「仕事＝会社勤め」という認識だった自分に新たな気づきを与えてくれました。この本を読むまで仕事へのポジティブな感情はあまりなかったのですが、やりがいを感じられる自分だけの仕事を見つけていきたいと思います。