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- カテゴリ:一般
- 発売日:2023/03/01
- 出版社: 新潮社
- レーベル: CREST BOOKS
- サイズ:20cm/261p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-10-590186-8
読割 50
紙の本
別れの色彩 (CREST BOOKS)
年齢を重ねた今だからわかる、あの日の別れの意味を−。男と女、親子、友だち、親しい隣人…ドイツのベテラン人気作家が、さまざまな別離をカラフルに描き出す円熟の短篇集。「愛娘」...
別れの色彩 (CREST BOOKS)
別れの色彩
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商品説明
年齢を重ねた今だからわかる、あの日の別れの意味を−。男と女、親子、友だち、親しい隣人…ドイツのベテラン人気作家が、さまざまな別離をカラフルに描き出す円熟の短篇集。「愛娘」「島で過ごした夏」など、全9篇を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
振り返ると、そこに忘れ得ぬ「あの日」の色がある。ドイツのベテラン作家の円熟作。年齢を重ねた今だからわかる、あの日の別れへの後悔、そしてその本当の意味を――。男と女、親と子、友だち、隣人。『朗読者』で世界中の読者を魅了したドイツの人気作家が、「人生の秋」を迎えた自らの心象風景にも重ねて、さまざまな人々のあの日への思いを綴る。色調豊かな紅葉の山々を渡り歩くかのような味わいに包まれる短篇集。【商品解説】
収録作品一覧
人工知能 | 5−29 | |
---|---|---|
アンナとのピクニック | 31−55 | |
姉弟の音楽 | 57−105 |
著者紹介
ベルンハルト・シュリンク
- 略歴
- 〈ベルンハルト・シュリンク〉ドイツ生まれ。ハイデルベルク大学、ベルリン自由大学で法律を学ぶ。小説家、法律家。フンボルト大学などで教鞭をとる。著書に「朗読者」「オルガ」など。
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紙の本
現実的な、ひりひりする感情への眼差し
2023/04/22 23:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:une femme - この投稿者のレビュー一覧を見る
日々の生活のなかで、抑えているような小さい棘を、細かく、だが、現実的に描いている。そのため、心の奥底にある毒のような感情や悪意の様なものを見せられるような、抉られるような心地になる作品もあった。
ままならない現実を、ふと見つめたいときに読みたいような短編集。
紙の本
時を経て思うこといろいろ
2023/06/12 11:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あお - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な別れの形を題材にした短編集である。死別とは限らず、関係性の終わりや、子どもから大人へと進んでいく類の別れなども描かれている。大部分は老年の域に達した男性が何かのきっかけで過去を振り返り、それについて思いをめぐらすというプロットが多い。
三人称視点で語られる作品が多いというのもあるだろうが、全体的に心情描写が理路整然としている印象を受ける。余計な感情を言葉に込めず、半ば説明体で語られているようで個人的には読んでいて安心感を覚えるし、心を落ち着けて頭の中を整理できるような気分にもなる。ただ、冒頭の「人工知能」に関してはどうしても、そこに登場する生者達が終始、それぞれに自己正当化ばかりしているような印象を受けてしまった(まあ、人生とは往々にしてそういうものなのかもしれないが)。
特に印象深かったのは「姉弟の音楽」と「ダニエル、マイ・ブラザー」だった。
前者は、学生時代に同級の女生徒と仲良くなって恋心を抱くも、彼女のなぜかいつまでもよそよそしい態度に失望した主人公と、障害者になってしまった弟のことを考え主人公へ素直に恋心を打ち明けられなかった彼女のすれ違いが数十年の時を経て露見する。しかし二人がやり直すことは叶わない。弟が障害を負った経緯や、認知症になってもなお、昔の友人である主人公が自分の元を去っていった時の絶望を訴えているように見える場面も相まって、切なくなる。
後者は、尊敬し愛していた兄が自殺し、兄弟の関係性を通して自分が得られなかったと思うものについて悲しみ、苦しみながら最後には手放していくプロセスを描いたものである。葬儀前後の時間を悶々と過ごしながら、自分に断絶的な態度をとる兄も、自分のために尽くしてくれたことのある兄も、すべてまごうことなき兄の姿であったのだと悟る時、自らもまた解放されていく。グリーフワークの一つの形を丁寧になぞっているような印象だった。
やってしまったこと、最初からできなかったことや得られなかったもの、それらについて振り返る時、人はどう心に折り合いをつけるのか。