東北史講義【古代・中世篇】
著者 東北大学日本史研究室
東北史を三つの視点から読み解く。一つめは、近畿地方を中心に国家が形成されると、やがて国家的な境界が東北地方に形成されたこと。二つめは、境界領域としての東北地方で、人や物、...
東北史講義【古代・中世篇】
商品説明
東北史を三つの視点から読み解く。一つめは、近畿地方を中心に国家が形成されると、やがて国家的な境界が東北地方に形成されたこと。二つめは、境界領域としての東北地方で、人や物、言語、習俗、信仰などの交流が活発に行われたこと。三つめは、これまで一言で東北地方といってきた、その内側に多様性に富む地域が形成されていたということである。東北史を考えることは、現代日本の構造を明確化させることでもあり、逆に地域の主体性や独自性を示すことに他ならない。
目次
- はじめに/第1講 東アジアの中のエミシ……相澤 秀太郎/斉明天皇五年の遣唐使とエミシ/「蝦夷」表記の創出/宝亀十年唐使の入朝と蝦夷/「蝦夷」表記の消滅とその背景/唐・日本とエミシ/第2講 国造制から国郡制へ──陸奥・出羽国の成立……吉田 歓/陸奥国・出羽国の成立/東北地方の国造/石城国・石背国の分国/改新後の日本海側/七世紀後半の置賜郡/出羽国の誕生/陸奥国と出羽国/第3講 城柵と戦争・交流の時代……鈴木琢郎/養老四年・神亀元年のエミシの反乱/大崎平野と移民(七世紀後半)/丹取郡の新置と大規模植民政策/養老六年格と「柵」の時代/出羽柵北進と直路開削計画/藤原仲麻呂政権期以降の東北政策/三十八年戦争/第4講 城柵支配の変容と社会……大堀秀人/北辺の城柵の一齣から/延暦末年の城柵造営/エミシ政策の転換/奥郡の騒乱/元慶の乱/城柵に組織されるエミシ/移動するモノ・ヒト・文化/第5講 古代から中世への変革と戦乱……永田英明/平安時代東北史へのアプローチ/奥羽の受領と貢納制/奥羽の受領と国内支配/奥羽の「兵」と受領/エミシ支配の変容と鎮守府・秋田城/安倍氏と清原氏/安倍氏の権力と公的地位/「兵」として/発掘調査から見えてきた北奥社会の変動/防御性集落をどう見るか/第6講 平泉の世紀……渡邉 俊/金色堂が語る女性の力/清衡母の再嫁/清衡を支える女性たちと平泉への進出/清衡正妻の活躍/二代基衡の妻/女人沙汰/国守の娘との婚姻/三代秀衡の権勢/秀衡の遺言/平泉藤原氏の滅亡と秀衡後家のゆくえ/第7講 関東武士の下で……黒瀬にな/〈平時〉の到来/大河兼任の蜂起/鎌倉幕府の地方支配方式──奥羽におけるひとつの偶然とその結果/在来勢力の命運──没落する者、生き延びる者/北条氏支配の進展と奥羽現地の変化/鎌倉幕府と在来武士との回路の一例──陸奥介氏とその周辺/幕府を支え、揺るがす奥羽/第8講 奥羽と京・鎌倉──国人一揆を中心に……泉田邦彦/一四・一五世紀奥羽の世界/陸奥国人の一揆契状/一四世紀奥羽の戦乱と一揆/奥羽の鎌倉府移管と国人一揆/京・鎌倉の対立と争乱/室町期から戦国期へ──「郡」の再編/第9講 戦国期南奥羽の領主たち……黒田風花/南奥羽の領域権力/家臣団構造/離合集散──南奥羽の和戦/移行期における領主権力の変容/第10講 北奥羽の戦国世界……熊谷隆次/戦国時代の領域権力と「平和」/戦国期の領主配置の確定/南部氏の「一家」と「戸」の領主/斯波御所と和賀・稗貫・遠野/北羽の下国安藤氏・湊安藤氏/小野寺氏と由利十二頭/「仙北干戈」と仙北の領主/北奥羽戦国最後の戦争/北奥羽の戦国世界と「郡主」/第11講 〔特論〕北と南の辺境史……鈴木拓也/蝦夷・隼人の成立/蝦夷・隼人と征討/蝦夷・隼人と城柵/蝦夷の朝貢と服属儀礼/畿内隼人と朝貢隼人・今来隼人/隼人と元日朝賀 他
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事実上の上巻・東北に特化した歴史の話に感激です。
2023/06/10 15:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
当書はちくま新書レーベルで同時に刊行された『東北史講義』の2冊のうち、歴史が古い方の巻なので、事実上の上巻にあたります。
東北地方の古代・中世時代の歴史について、全15講と2つのコラムのスモールステップで著わされています。全て、別々の著者が各項目を著した、アンソロジー形式です。
中学の歴史の教科書の地図では、省かれていた東北地方。その東北地方に焦点を当てて歴史を語る著書はめったに見られないので、当書を購読できて感激です。
実際、読んでみて十分楽しめる内容でした(東北と縁があり、少々詳しいのでなおさら中身に共感できたからかもしれません)。画期的な2冊の上巻と思います。
東北の古代と中世
2023/07/24 15:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大和朝廷から辺境の扱いを受けていた東北。辺境であってもそこには人が暮らし、歴史があった。中央政権からの文献資料、考古学などからの論考。