紙の本
現代にも通じる普遍性
2023/08/08 20:52
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投稿者:fuku - この投稿者のレビュー一覧を見る
俵万智さんがツイッターか何かで紹介していたので、手に取ってみました。
当方、源氏物語は大学受験以来、という程度の知識ですが、
現代の問題との類似性を軸とした構成となっていて、興味深く読めました。
現代語訳もかなり思い切って、今時にアレンジしてあり、硬派な人には
イマイチかもしれませんが、(私のような)知識の少ない人や高校生には
馴染みやすいかと思います。
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面白かった。
変に先進的と読もうとすることも必要ないし、その当時の社会状況、常識、偏見の中で生まれた作品。
今の時代の読み方だって、今の時代のものでしかない。
ナオコーラ訳も読みやすくてよい。
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平安時代の社会規範に合うよう書かれた源氏物語を「読みにくい」と感じる人が楽しめるよう、現代の社会規範に合わせて様々なシーンを紹介。
以前、好きだった作家の小説の中でものすごい男女差別表現があり、「登場人物にそんなことを思わせる発想を持つ著者の書くものなんて読んでたまるか!」と若かりし頃荒ぶっていた私ですが、この本のおかげで「色々な想いは感じても良くて、それでも読書を楽しむことはできる」と思えました。
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いつも聴いているpodcastの番組に著者の山崎ナオコーラさんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。
山崎さんは大学時代の卒論で「源氏物語」をテーマにしたとのこと。それから20年以上を経て、今度は「源氏物語」を材料に、そこに描かれた登場人物たちの言葉や思考を現代の社会規範からの視点(問題意識)で感じるところを記していきます。
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「あさきゆめみし」でではありますが、学生時代に「宇治十帖」を読んだときは、主人公(薫)と浮舟が、いわゆる現世利益的な幸せを享受しない結末に、不完全燃焼というか、もやもやした感想を抱きました。
この度、著者による浮舟についての解釈は大変興味深かったです。
私の中で浮舟は、2人の男性の間でどっちつかずになり、身動き取れずに、出家という選択をせざるを得なかったな薄幸な女性という評価でしたが、男に振り回されずに、自分を生きるという覚悟を持った自立的な女性との見方もできることは、新鮮でした。
源氏物語の奥深さを改めて感じた次第です。
源氏物語のストーリーを一通り知っている人なら、現代的な視点からはこんな読み方も可能なのだと、新たな発見ができると思います。
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特に目新し着眼点はなく源氏を題材にしたエッセイという感じ。各章に載った現代語訳が、角田源氏より更にラフで興味を引いた。全訳して欲しい作家さんが増えました☺️
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紫式部の『源氏物語』をナオコーラさん流の訳で解説。今ではとてもじゃないけどまかり通らないことがこの時代はおこなわれていたのだなぁと。現代的な訳をされていて、とてもわかりやすかったです。
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かの源氏物語を現代の視点で自由に読み解いている。決してポリコレ的批判ではなく、物語に対する作者の愛情が感じられる。源氏物語そのものを読んだことがなくても、どのような話か知っている人なら十分に楽しめると思う。ナオコーラ訳源氏の全編が読みたくなった。
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私は郷に行っては郷に従え派なので、自分が源氏物語を読んでいるときは、その当時の社会規範や当たり前を知れることが面白いと思って、そこまで引っかかることはなかったなあと。
合理性とか現代的正しさはないけれど(なんなら考えられないことばかり)、なんだかそれも儚くて風流で好きだと感じてるタイプだった。
むしろ、現代のルールを当てはめて、この人はかわいそうだのひどいだの言うのは、登場人物たちも望んでないのではないかとも思ってしまう面はあった。
それでも確かに思い返すと、紫の上が源氏の奥さんにされるシーンは中学生の時に衝撃を受けた覚えがあるし、その違和感を言語化してくださってること、
また、時代が変わっているからこそ、平安時代の人とは違った感じ方で読む事ができるというのは一理あるなと思った。
キャッチーな目次とは裏腹に、淡々と論文のように、源氏物語を題材に、現代の社会問題を見ていっているような印象を受けた。
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「源氏物語」を今更どう読む?もう出尽くしてるのでは?と思ったのだが、なかなか潔い解釈で面白かった!
映画の「TAR」を最近見たのだが、バッハやショーペンハウアーの人格(かなり家父長的)に作品はどう影響するか、またその作品をどう扱うかについての話題が出ていた。
考えてみると、前近代の作品群はほとんど全てが、その時代の価値観に基づいて作られているわけだ。「源氏物語」もまた然り。時代の差別的な価値観はなかったことことにはできないし、ましてや、それを善きものとするわけにもいかない。それはそれとして、認めた上で、さあ、どうだ、というしかない。
「無理に進歩的な作品だと捉える必要なんてありません」「昔に差別があったのは事実です。」
そういうスタンスで読むと、著者の言うとおり、確かに、「貧乏は面白い」なんていう思いが紫式部にはあったのかもしれない。こんな視点は目から鱗だ。
そして、光源氏を裏切ったとされる女三の宮はむしろ性被害者だという視点。
女三の宮や浮舟の不当な評価はいかがなものか、という著者になるほどなと思った。そういえばそうじゃん!なんで今までそんなことに蓋をしてきたんだろ?
女三の宮が脇が甘いからと言って、レイプされていいわけはない。女三の宮は、光源氏を裏切ったわけではない。悪いのは柏木だ。女三の宮は柏木に心を許しているわけではない。
「子どもっぽいのは罪でしょうか?字が下手だったら、夫から愛されなくても仕方ないんでしょうか?異性に姿を見られたら、性暴力を受け入れないといけないんでしょうか?」
山崎ナオコーラはやさしく、公平だ。そして、その視点で、なんとなく鵜呑みにしてきた登場人物たちの評価を見直させてくれる。
LGBTQ+の人たちが先進的に見えるかもしれないが、先史時代からきっといたはず。という指摘もその通り!だと思う。むしろ自由に暮らしていたかもしれない。
十分知ってる、と思った「源氏物語」を新しく公平な視点で照らし直してくれた良書だと思う。
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面白かったです。今まで平安時代に気持ちを寄せて読んでいたので、現代の性、貧困、不倫等と照らし合わせて語っては良くないと思っていました。今の感覚では突っ込み所満載だものね。作者の源氏物語への愛が感じられたので読めたのだと思います。源氏は昔も今も、千年後もきっと面白い。私はぐだぐだした宇治十帖が好きです。
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ナオコーラさん自身が好きで、トークイベントに参加するために拝読。社会規範によって読み方は変わる。だから、古典も現代文学もミライまで読み続けられる。
文学の面白さを再度感じられた本だった。
マウンティグ、エイジズムなどのパートでは、深く頷く部分が多かった。日頃考えていることに対して、アンサーしてくれたような気がする。
源氏物語自体の魅力も思い出されて、改めて読みたくなった。
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小学生の時に源氏物語ときがたりを読んでから、源氏物語が大好きで、卒論も源氏物語の女君たちの出家に焦点を当てたものを書き、現代語訳もいくつも読んで、その都度色んなことを考えさせられてきたのだけれど、今回また新たな見方が出来てとてもよかった。
特に、女三宮と浮舟。
そして、子を授かることもなく出家もさせてもらえず、初めて登場した時から死ぬまで光源氏の性的対象の女君として描かれた紫の上を、紫式部はどういうつもりで生み出したのか、改めてとても気になった。
山崎ナオコーラさんの現代語訳が楽しみ。
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いわゆる″須磨がえり″経験者の私にとって、この本を読み、著者〈ナオコーラ訳〉に早く出会っていれば、『源氏物語』を深く読めたのだ!と知ることができた。
『源氏物語』ほどではない、明治から昭和初期の作品、いや平成でも、これは今の感覚とズレているな、と思うものがある。
しかし、それが駄目なのかと言うと、その時点ではそれは普通だったのだと知ることが出来、今を考えることが出来る。
そんなことを改めて感じながら、面白く読んだ。
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実は読み終わっていない(図書館の返却期限が来た)のだが、感想を書かせて頂いても少しは良いのでは…という気がしている。日本人なら誰もが(名前だけは)知っていると思う、源氏物語、を詳しく現代的なテーマに沿って、丁寧に且つわかりやすく、また興味を引くように、読む者が想像力を働かせ易いように、解説された書籍であると思う。
私が読み終わっていない、のに「感想を…少しは良いのでは…」などと書いたのは、この書籍が勿論、長編小説などでは無く、種々のテーマに沿って解説する、というスキームの繰り返しである、と感じたからである。
現代的なテーマ(同性愛とか、ロリコンとか、普遍的ではなく人の興味を惹く愛のかたち)に沿って、源氏物語、の当時の原文を引用しながら、詳しく分かりやすく、作者の手によって解説されている、要はそのスキームに沿って読む者はそれぞれのテーマを追体験する事が出来る。かく言う私も、源氏物語などこれまで興味本意の興味すら無く、高校生時代の古典の授業など退屈を通り越して気持ち悪ささえ感じていたのだが…、流石に歳を重ねたからだろうか?、今となっては興味本意かもしれないが受け入れる事ができるようになったと思う。
先に書いたようにまだ読了してはいないが、10を超える普遍的ではないテーマに沿った源氏物語の解説、改めて全て制覇したいとは思う。屈折しているかもしれないが、ひとつひとつのテーマにある原文とその解説を読みながら、私の頭の中にあったのは、平安の時代?、或いはそれ以降?、にそれを読み、胸を熱くした、読み手のはにかんだ表情やその時代の空気、情景、であった。これを成してくれたのは、作者によるガチの源氏物語研究、解説、によるものだと思う。