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- カテゴリ:一般
- 発売日:2023/07/26
- 出版社: NHK出版
- サイズ:21cm/99p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-14-223154-6
紙の本
司馬遼太郎『覇王の家』 “人間・家康”を読む (NHKテキスト 100分de名著)
著者 安部 龍太郎 (著),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)
小説として描かれた、司馬遼太郎の「家康論」織田信長、豊臣秀吉と並ぶ戦国時代の英傑であり、260年に及ぶ江戸時代の礎を築いた徳川家康に、作家・司馬遼太郎が真っ向から対峙して...
司馬遼太郎『覇王の家』 “人間・家康”を読む (NHKテキスト 100分de名著)
NHK 100分 de 名著 司馬遼太郎『覇王の家』2023年8月
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商品説明
小説として描かれた、司馬遼太郎の「家康論」
織田信長、豊臣秀吉と並ぶ戦国時代の英傑であり、260年に及ぶ江戸時代の礎を築いた徳川家康に、作家・司馬遼太郎が真っ向から対峙して書き上げた小説『覇王の家』。この作品から、司馬の鋭い人物観察眼と歴史への洞察力によって浮かび上がる、知られざる家康の性格、またそれを育んだ風土や文化に根付いた気質や価値観などを読みといていく。
同時に、他の司馬作品とは異なる本書の特徴に注目しながら、司馬がいかに歴史や社会と切り結んだのか、その視点と方法に改めて光を当てていく。
現在、まさに家康の物語に取り組んでいる歴史小説家・安部龍太郎氏の解説で、『覇王の家』をより深く味わうガイドとなる一冊。【商品解説】
著者紹介
安部 龍太郎
- 略歴
- 作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。
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紙の本
作者目線を感じた
2024/01/10 19:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎さんの「覇王の家」は若い頃に読んだが、今回の書で作者目線からの内容に触れられた。このようにしてみると、すべての作品をもう一度よみたくなる。
紙の本
第4回は、本当かねぇ・・・という感じ
2023/08/21 19:08
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
『覇王の家』はすでに読んでいたので、その作品解釈論、作家論および日本分析論として、面白く一読。(番組も視聴中です。)やはり、「三河かたぎ」(10頁)というか、「三河人のなかに見出した日本人気質」(26頁、換言すれば今日に至るまでの日本的組織(集団、人)の原型ないししは源流)にかかわる描写・分析が、原本においても本書においても大変参考になりかつ印象に残っている。なお、第4回の内容だが、司馬遼太郎とポストモダニズムの通底性の議論(家康って、トリックスター(価値紊乱者)と云えるのか?)にしても、家康は地方分権と農本主義を目指していたという立論(家康が第一義に置いたのは、あくまでも徳川家の存続と繁栄では?)にしても、評者としてはほんとにそうかねぇという感想である。
さて、次は積ん読になっている山内昌之『将軍の世紀』に挑戦しようと思っているところです。
紙の本
さすがは同業者、スルドイ
2023/08/26 00:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田呂宋兵衛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
放映中の大河ドラマに、司馬さんの生誕百年をひっかければ、この作品か・・・。
ベタになりそうな企画だが、語り手の人選が面白い。
なにしろ国民的小説家の作品だし、ご自身も同じ人物の長編を執筆中だし、下手な批評はできない。
これを受けた安部さんの勇気に敬意を表する。
司馬文学の特徴として、安部さんは「キャラクターの決めつけ」を挙げる。
そういえば・・・
「竜馬がゆく」では、藩のメンツにこだわる薩長を、いろんな手を使って結びつけようとする、
「自由な発想の、商売の分かる」坂本竜馬。
「燃えよ剣」では、立身出世にこだわり、最後は官軍に捕まって首を切られる近藤勇と、
新選組を強くすることに専念し、五稜郭で華々しく散る土方歳三。
「坂の上の雲」では、ガタの来た皇帝専制のロシアと、ナショナリズムに目覚めたばかりの立憲国家・日本。
「人格者だが愚将」の乃木希典を支える、旧友児玉源太郎の智略。
確かに、司馬さんのベストセラーには、「キャラクターの決めつけ」による単純化が多い。
良い意味での通俗性であり、多くのファンを引き付けた秘訣だろう。
しかしながら司馬さんも、家康の「キャラクターの決めつけ」には苦労したようで、
安部さんの見立てでは、「三河かたぎ」をキャラクターに設定し、
三河人の律義さと家臣団の絆の固さに注目しながら、家康という人間が描かれていく。
物語のクライマックス、小牧・長久手の戦いのくだりでは、
慎重に事を運びながら精密に情報を収集し、ここぞという所で思い切って勝負をかける家康が活写される。
ここでは、司馬さんの軍隊経験から、無能で無謀だった日本軍幹部を思い浮かべながら、
こんな将軍が日本にいたら・・・という願いが反映されていると安部さんは説く。
家康の側近、石川数正が、有能すぎるがゆえに三河家臣団の中で浮いてしまい、秀吉方に走る経緯が、
その後の江戸幕府、ひいては日本社会の閉鎖性を示すという安部さんの見方には同感できる。
第4回分では、坂口安吾など戦後無頼派の司馬文学への影響、
本作はイデオロギーを拒絶するポストモダニズムの試みではなかったか等、
初めて聞く話が語られる。
難解な所もあるが、心に留めておきたい。