紙の本
読書の秋にぴったりの児童文学
2023/11/02 16:34
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
秋には色々な形容があります。
食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、そして読書の秋。
『図書館がくれた宝物』なんていうタイトルを見ただけで、
本好き読書好きの人にはたまらなくなるのでは。
でも、この作品の原題は「A PLACE to HANG the MOON」で
邦題とはかなりちがっています。
原作者はケイト・アルバスというアメリカの児童文学作家で、
この作品がデビュー作。
しかも、この作品で多くの賞を受賞しています。
その作品に、なんとも素敵な邦題をつけてくれたことでしょう。
そのことを「宝物」にように感じます。
物語は、第二次世界大戦中のイギリスが舞台。
早くに両親を亡くした三人の兄妹はおばあさんまで亡くして
保護者がいなくなります。
時代は子どもたちが集団疎開していた頃で、
彼らは疎開先で新しい保護者を見つけることになります。
ただし、子どもたちにはある願いがありました。
自分たちのことをお月さまみたいだって思ってくれる人にお母さんになってもらうこと。
ところが、疎開先の村で彼らを待っていたのは、厳しい現実。
いじめや無理解、虐待のような仕打ち。
そんな彼らの唯一の憩いの場所が、村にあった図書館とそこにいた司書の女性の存在。
そう、邦題のように「図書館がくれた宝物」だったのです。
この物語はなんといっても三人の兄妹がいい。
長男はしっかり者の12歳のウィリアム。
次男は勝気な11歳のエドマンド。
そして、下の妹はまだ9歳のアンナ。
彼らを主人公にした、
これは読書の秋にぴったりの、児童文学です。
紙の本
エドマンド
2023/09/21 18:33
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投稿者:いずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
菜園で仕事中に、ひどいいじめを重ねたサイモンに「なにさまだと思ってんだよ」と言われたエドマンドが、自分のかっこうを改めて見てみて・・・笑い始めて、とまらなくなり
「なにさまか、だって?おまえたちのいうとおり、ぼくは、きたない疎開野郎さ!」といった。
こうやって過去の自分をのりこえた、その方法がすばらしい。
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第二次世界大戦、英国の児童疎開を背景にした物語。
疎開した先の子どもに意地悪されたり、やや定番かなと思うハラハラ展開もありつつ、きょうだい3人の関係性がよくて、終始温かい空気が流れているのが特徴。
児童文学の古典がたくさん登場して、ストーリーのなかで子どもたちを支えるのがいい。特に小公女は、バックボーンになっているのが感じられる。ラングの『きいろの童話集」は、言及された作品(火打ち箱)が、偕成社版にも東京創元社版にも入っていないのが残念。
それから長男(12歳)のウィリアムに、さっと『オリエント急行殺人事件』をすすめる司書さん、いいよね。GJ。で、この人との交流が深まっていきます。
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図書館司書のミュラーさんと読み継がれた本が、子どもたちの心を癒してくれる。本の力に改めて元気をもらえる。高学年に勧めたい。
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新しい家族を見つける目的もあって疎開した3人のきょうだい。
疎開先の家で上手くいかず辛い日々だが、図書館と本が心の拠りどころだった。
戦時中ということもあり、子どもたちは思っている以上に考えが大人なのが切ない。特に一番年上のウィリアムが健気で胸を打たれる。ミューラーさんと出会えて子どもらしくいられるようになって良かった。
心がポッと温まるような結末に大満足。
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私たちの親の世代には本当に日本にも疎開があった。 アメリカは当時でも豊かだった と聞いていたけれど 。戦勝国のイギリスにも疎開するこんな子供たちがいたとは。 この本のタイトルは 疎開野郎。たくましいイギリスっ子の物語。
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舞台は第二次世界大戦下のイギリス。
両親を早くに亡くして、たった一人の身内だった祖母も亡くなり、身寄りを無くした3きょうだいが、幸せな家族を見つけるまでの物語。
祖母が残した遺産を管理する後見人探しと、戦火を逃れて田舎に疎開する。
きょうだいは元々本好きで、知識欲もすごいし、恵まれた生活をしていたような子どもたち。
その子達が、疎開先で貧しさや寂しさなど、心も身体もつらい生活を余儀なくされる。
その時助けになったのが、村の図書館や本、ご主人がドイツ人のため村の人から冷たい目で見られていた司書の女性だった。
3きょうだいの性格がそれぞれ異なるので、自分の気持ちと重ねて読めたので、物語世界に没入できた。
物語の心が温かくなる結末と、本を通じて出会えた運命の家族の存在。やっぱり本っていいもんだなぁ。
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第二次世界大戦中のロンドン、ウィリアム・エドマンド・アンナの三兄弟は唯一の肉親である祖母が亡くなってしまう。祖母の遺産はあるものの、保護者がいなくては受け継ぐことができない。そこで弁護士のアドバイスで学童疎開に参加し、そこで親代わりになってくれる人を探すことになる。ところが、引き取ってくれた家庭とはなかなかうまくいかず、3人が唯一安心できるたのは村の図書館だった。優しい司書のミュラーさんは、なぜか村の人から冷ややかな態度をとられている…
ハッピーエンドなのは予想通りだけど、ミュラーさんのご主人はこれで良かったのかなぁ?
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アメリカの小説家の処女作でかつ児童文学
第二次大戦下のロンドン。
両親のいない三兄弟は祖母も死亡し、保護者のいない身になる。そして北部に疎開しそこで新しい親を探すことになる。
設定上3兄弟は遺産があることになっている。
疎開先では家庭にあずけらることになり、最初の家は裕福だがそこの子供達から陰湿ないじめをうけ、その次の家庭は貧乏な家庭で精神もまずしく幸せな生活をおくれない。
その三人をすくったのは寡婦となった女性だった。
多くの児童文学が話の中にでてきて、イギリスの子供もアメリカの子供も日本の子供も同じ児童文学をよめる環境にあることがよくわかった。
話の筋は紙芝居だが、細部はいろいろ面白い。イギリスの貧困家庭の状況や大戦下の反ドイツの感情などいろんかことが感じられる本であっった。
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1940年 第二次世界大戦下のロンドンでの物語。幼くして両親を亡くし、親代わりだった祖母もなくなり、お手伝いさんがいたがその女性も年取っていて親代わりは担えないので祖母の弁護士の助言で学童疎開に加わる。ロンドンに居るより安全だし3人を置いてくれる家族が見つかるかもしれないといううことで。しかし最初の家では双子の男の子と合わず、変わった家では夫は戦場へ行っていて幼い子供が4人も居る、預かる家に出る費用を当てにしていて与えられた部屋も酷くて心休まることはなかった。唯一楽しみは図書館で司書の女性が親切に接してくれた。彼女のパートナーはドイツのナチ党員らしくて地元の人からはのけもの状態だった。子供達は預かってくれている家族との関係に我慢ができなくなり最終的にその司書の人の家に受け入れてもらえた。ホッとする結末でしたが、今もなお色々な国にこの様な子供たちが居ることに思いを馳せた。戦争のなんと虚しいことか。多くの大人にも読んでほしいと思います。
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第二次世界大戦中、生きるのに必死な時代に疎開の子どもたちを受け入れ世話をする田舎の人たちのおおらかさにビックリ‼️3人の兄妹が疎開する話だが、一番上の子はしっかり者で真ん中は自由奔放だが他人の気持ちに敏感。下の子は甘えん坊3人の仲の良さと他人に気を使い礼儀正しい姿に先が気になり一気読み。
意地汚い人もゆるく登場するだけで安心と心乱れる事なく穏やかな気持ちで読むことができる。
礼儀正しく振る舞う大切さを教えてくれる本。
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幼い兄弟が疎開という名目で新しい家族を求めて…と言う話。個性的な3人兄弟もとても魅力的だし、風景や表情が頭に浮かぶような文章もすごく素敵だなと思いました。
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両親が他界しており祖母に育てられた兄妹3人は疎開することになった。
3人には、実は隠している大きな夢のある計画があった。
意地悪な双子がいる1軒目のホームステイ先。
2軒目は、子だくさんの母子で生活するとても貧しい家。
慣れない環境に気持ちもめげてゆく中、図書館と司書の存在が彼らの落ち着ける場所だった。
辛い生活が終わる頃、彼らの幸せに共感して涙した。
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戦時中でつらいこともたくさんあったけれど、最後は心あたたまる展開でよかった。
子どもが大きくなったら、読んでほしい一冊です。
出てくる本も、読んでみたくなりました。
子どもにとって、本を読む時間が心の支えになるといいな。
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第二次世界大戦下のイギリスで、親のいない3人の子が、親を見つけるために学童疎開するお話。3人は疎開先で苦しみながら生活するが、村の図書館を心の支えとして生きていく。自分を愛してくれる人がいることの喜びを全身で受け止める3人の姿に、心が幸せでいっぱいになり、涙が止まらなかった。人の愛情と優しさにふれられる、すばらしい本だった。
寝る前に本を読んでもらえること、頭や頬を優しく撫でてもらえること、抱きしめてもらえること、誕生日をお祝いしてもらえること、自転車に乗る練習に付き合ってもらえること、そして甘えさせてもらえること…。「家族」ならあたりまえにしてもらえることを、3人は大きくなってやっとミュラーさんという「お母さん」にしてもらうことができる。そうしてミュラーさんの優しさに包まれるたび、胸がじんわり温まった。
ずっと弟や妹の面倒を見てきた12歳のウィリアムは、「もうがんばらなくていい」と優しく言ってくれる大人に、やっと出会えた。いつも騒ぎを起こし問題視され続けている次男エドマンドは、自分のよさを見つめてくれる大人に、やっと出会えた。本を読み聞かせてもらうことを夢見てきたアンナは、やっと大好きな大人に本を読んでもらえた。どの子の喜びもちゃんと描かれていて、それもうれしい。
270ページほどまでは苦しい場面が続くが、ラスト100ページがとても温かい。3人とともに苦しみを味わい続ける価値は絶対にあるから、途中で投げ出さずに読み続けてほしいと切に思う。
ミュラーさんが3人のことをとても大切に思っていて、私にとって「お月さま」なのだとカー先生に語る場面や、3人が秘密にしていたおばあさんの死をミュラーさんに打ち明けるラストも感動した。読み終えるとしばらく他のことができず、大好きなシーンを再読しながら幸せを噛み締めていた。今年のベスト本だなー。