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紙の本
歴史としての二十世紀 (新潮選書)
著者 高坂 正堯 (著)
“いい人”の政治家が、なぜ戦争を起こすのか。クラウゼヴィッツの戦争論の限界とはなにか。戦争の時代に逆戻りした今、現実主義の視点から2度の世界大戦と冷戦を振り返る。国際政治...
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商品説明
“いい人”の政治家が、なぜ戦争を起こすのか。クラウゼヴィッツの戦争論の限界とはなにか。戦争の時代に逆戻りした今、現実主義の視点から2度の世界大戦と冷戦を振り返る。国際政治学者・高坂正堯の幻の名講演を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
「戦争の世紀」が再来した今こそ、高坂史観が役に立つ――! 「〈いい人〉の政治家が戦争を起こすことがある」「ロシアに大国をやめろと強制することはできない」――戦争の時代に逆戻りした今、現実主義の視点から「二度の世界大戦」と「冷戦」を振り返る必要がある。世界恐慌、共産主義、大衆の台頭、文明の衝突……国際政治学者の「幻の名講演」を初の書籍化【解題・細谷雄一】。【商品解説】
著者紹介
高坂 正堯
- 略歴
- 〈高坂正堯〉京都市生まれ。京都大学法学部卒業。「古典外交の成熟と崩壊」で吉野作造賞受賞。他の著書に「文明が衰亡するとき」など。
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紙の本
知的巨人の30年以上前の講演録
2024/04/14 20:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「本書は、国際政治学者で京都大学教授であった高坂正堯が1990年に行った全六回の連続講演の記録を活字化して刊行されたものである。「流麗な柔らかな文章で、二十世紀を概観する。そのようなスケールの大きな知的な作業は、高坂のような知的巨人でなければとうてい不可能であろう」という趣旨のことを本書の「はじめに」で細谷雄一慶応大学教授が記している。文章は平易であるが、凡人にとっては、そのすべてを理解することは難解であった。凡人が特に印象に残った内容を次に紹介する。◆国際政治で敵か味方か不明な場合、最善の方法は仲間にすること。十九世紀の英外務大臣カースルレーは、「イギリスにとって最大の脅威はロシアである。だから、仲間にして取り込んでおとなしくさせるのがいい」と発言。フランスが率先した欧州統合も同じ発想で、ドイツをグループ内でおとなしくさせようとする外交的知恵。◆歴史上の大事件で我々の生活に大きな影響を与えた事柄であっても、その原因はわからないことが多く、人間が知り得る歴史的教訓は意外と限られている。◆アメリカの禁酒法制定の過程をみると、人間は理想に酔うと何も見えなくなる。◆歴史上、物不足の主因は人々の買いだめで、絶対量の不足からということは滅多にない。第二世界大戦後、欧州救済のため物資を提供したマーシャル・プランが成功した理由も、ヨーロッパ人が隠匿していた物資が流出したため。◆政治は未来の力ではなく現在の力を反映する。国の前途と運命に配慮すれば、現状よりも将来性にかけるしかないが、政府にそのような大胆な選択はできない。◆政治家の良し悪しを判断する基準、「税金を取ります」と言う政治家はいい政治家、「税金を取りません」という政治家はまやかし。
一方で、講演から30年以上が経過した現時点からみると、次に示すように、いささか「?」と思う内容もある。◆「アメリカの繁栄も永遠には続かず、その絶頂期はどうも早く終わりすぎたようである」との記述がある。アメリカのIT産業の隆盛をみるまでもなく、果たしてそうであろうか?◆「ゴルバチョフが来日を一番後回しにしたのは、日本への最大の敬意である。ソ連にとって、こんなに御しにくい国はない。ソ連は日本の経済協力に期待しているが、日本のビジネスマンや銀行はしっかりしているから、その期待には応えないだろう。下手すると北方領土を返してくれるだけの話になる」との趣旨の記述がある。これも、その後の展開をみると残念と言うしかない。
知的巨人の思考回路にふれられるとともに、たとえ知的巨人であっても将来を予測することの難しさも実感させてくれる一冊であった。