日蓮 「闘う仏教者」の実像
著者 松尾剛次 著
電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。地震や疫病、蒙古襲来など、激動の鎌倉時代を生きた日蓮。天台宗ほか諸宗を学び、三二歳で日蓮宗を開いて法華経の信仰を説...
日蓮 「闘う仏教者」の実像
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商品説明
電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。
地震や疫病、蒙古襲来など、激動の鎌倉時代を生きた日蓮。天台宗ほか諸宗を学び、三二歳で日蓮宗を開いて法華経の信仰を説いた。鎌倉を本拠に辻説法で他宗を攻撃して圧迫を受け、建白書『立正安国論』の筆禍で伊豆に、のちには佐渡に配流された。死をも恐れぬ「闘う仏教者」のイメージがある一方、民衆の苦しみに寄り添う姿も垣間見られる日蓮。自筆の書簡、数多くの著作をはじめ、史料を博捜して、その思想と人物像に迫る。
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電子版はカラー
2023/11/30 08:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
紙の本とは別に電子版を買って見てみると紙では白黒で印刷された画像が電子版ではカラーで表示される。紙の中公新書で「カラー」と表題にあるのは美術系が多いようだ。
史料からの裏付けがしっかりした、読み応えある伝記です。
2023/12/23 15:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日蓮宗の開祖、日蓮さんの一生を著した歴史新書形式の伝記です。
日蓮さんに関する著名なエピソードのみならず、沢山のエピソードが満載になっています。それは沢山の史料から裏付けており、実に読み応えのある文章に仕上がっています。読み進めるのが楽しかった1冊です。
「売僧」忍性と日蓮
2023/11/22 21:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミネルヴァ書房から忍性の伝記を書いた人による日蓮伝なので類書では「鎌倉幕府に癒着した売僧極楽寺良観」と否定的に書かれるか日蓮の筆致は批判してもあまり踏み込んでは書かれない忍性の姿が見え隠れする。日蓮門下の僧侶や研究者なり日蓮主義者や創価学会員などはともかく宗門などとは関係のない日蓮伝を書く研究者は無意識のうちに忍性を否定的に見て書いてしまうのか、それとも購買層に妥協して忍性を敵役として書いてしまうのかと思えてしまった。
「昭和定本 日蓮聖人遺文」を「昭和定本」ではなく「日蓮遺文」と略すのはどうだろうか?「日蓮遺文」なら「昭和定本」に限らず他の遺文集でも当てはまりそうだ。
一般的に日蓮の誕生日を2月16日とするのは大石寺4世日道の御伝土代によるが、この本は日蓮が生まれたのは「承久四年」ではなく改元後の「貞応元年」は認めるが釈尊入滅日の翌日の2月16日という伝説だと見なすようだ。それなら御伝土代は日蓮門下の中では古い記録なので存在は触れるべきだった。
佐々木正の「親鸞始記」のように存覚が観応2年(正平6年)の報恩講に日野有範長命説の根拠となる親鸞の弟の尋有が亡父の四十九日に加点した無量寿経を書写したのに翌文和元年(正平7年)に存覚が書いた事になっている「親鸞聖人正明伝」を元にした親鸞伝を書いた人だからか偽書説のある三大秘法抄を「日蓮真筆」と見なして論じている。三大秘法抄が後世の日蓮主義者や創価学会、顕正会などに与えた影響を論じるならば話は別だが。三大秘法抄は本文にあるように室町中期の嘉吉2年に日親が書写した写本が最古なのに、それより百年以上前に日道が書いた御伝土代には言及しないのは一貫しない。あるいは日蓮の遺文(と見なされる文章を含めて)と日蓮門下の文書では扱い方が違うのか。
わかりやすい
2024/09/06 09:29
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日蓮の実像が、わかりやすく紹介されていてよかったです。不屈の意志で、まさに闘う仏教者という言葉が、ピッタリです。
日蓮は戦闘的といわれるが、本当にそうなのだろうか
2024/02/07 18:21
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
教科書では、鎌倉仏教において、日蓮は叡尊、忍性と同時代の僧侶として紹介され、日蓮宗(法華宗)を開き、戦闘的な姿勢が特徴になっている。本書では、その日蓮の実像に迫ろうとする。著者は叡尊、忍性についても著作があり、日蓮が他の宗派を攻撃し、それに反撃した僧侶である叡尊、忍性を研究しているという立場を持つ方である。目次を見ると、
はじめに
第1章 立教開宗へ
第2章 立正安国への思いと挫折
第3章 蒙古襲来と他宗批判
第4章 佐渡への配流
第5章 身延山の暮らし
おわりに
あとがき
参考文献、日蓮略年譜 となっている。
以上のように展開される。「はじめに」に出てくるが、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」は日蓮信仰に基づく作品から入り、日蓮宗が広がってきた時代や人物、日蓮主義により信仰のレベルをとどめることなく、政治・社会・文化運動に広げ、日本の中国侵略のイデオロギーとなったことを指摘する。これを日蓮宗と見ていいのだろうかとも思う。なおさら、日蓮を知る必要があると思える。日蓮の紹介で、自己を選民の子等とする苦悩する民衆に寄り添う姿も示される。多くの資料や著作を引用し、生い立ちから日蓮宗の創始、法難という事件の連続、よく知られている「立正安国論」の解説、蒙古襲来、2度の流罪を経て、身延山での生活が描かれる。戦闘的と見られる日蓮の違った側面も出てくる。宗教での教義の解説のところは理解するのが大変だが、避けるべきではないように思える。当時の時代状況もわかり、新書でこれだけのことが教えてもらえるのかと感じる。一読してほしい本である。