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紙の本
感想文にオススメよ。
2002/06/07 00:49
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投稿者:佐々宝砂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者ウォーリスは、アラスカ・インディアンの伝承的な教育の元に育った人。現在もアラスカはユーコンのほとりに住んでいる。うば捨ての憂き目にあった老女たちのサバイバルを痛快に描いた、『ふたりの老女』という作品が邦訳されている。
本書『掟を破った鳥娘の物語』は、アラスカ・インディアンの伝説に基づく物語だが、伝説らしくない生々しさを持っていて驚かされてしまう。女だてらに狩を好んだためバードガールと呼ばれた少女と、世界を旅したいと夢見た少年ダーグーの物語が平行して語られるのだが、お話は全く甘くない。結婚がいやで自分が属する部族(アサパスタ族)のキャンプを離れたバードガールは、チークワイイ(イヌピアック族エスキモー)に囚れて奴隷として扱われ、レイプと出産を経験する。一方、少年ダーグーの部族は、やはりチークワイイによって男たちの大半を殺されてしまい、ダーグーは夢見ていた旅をあきらめ部族のためにリーダーとして生きることを決意する…
北方の厳しい自然の中で、バードガールとダーグーの夢はあっさりと潰されてゆくかに見える。しかし、彼らは自分を失うことなく生き抜いてゆく。そのせいか、厳しい物語なのに読後感は重くない。テーマが重く、生活感がリアルな割に意外と軽い感触の本で、さらっと読める。大人向きの本として出版されているけれど、実際はいわゆるヤング・アダルトに属する本だ。中学生くらいから読めるだろう。読書感想文におすすめである。
しかし、感想文を書く場合、作中で悪者扱いされているチークワイイの実状に触れておく必要があるだろう。アサパスタ族の伝説がチークワイイを悪者としているように、チークワイイにはアサパスタ族を悪者とする伝説が残っているそうだ。要するにチークワイイとアサパスタは、敵対する部族だったのである。現在は、北方少数民族どうしということで友好的な関係にあるらしく、これほどチークワイイを悪く書いてある本書にさえ、チークワイイに生まれ育った人物が序文を寄せている。この手の配慮ってうさんくさい気がしないでもないけど、現代に出版された本である以上、こういう言い訳がましい序文が必要なんだろうね。
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