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参加型福祉社会を拓く 介護保険時代、市民はどこまで主役になれるか みんなのレビュー
- 「参加型福祉社会を拓く」出版プロジェクト (編著)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:風土社
- 発行年月:2000.2
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紙の本
お仕着せでもなくほどこしでもなく金儲けでもない,自前のコミュニティー・ケアを可能にするパワー
2000/10/06 15:22
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投稿者:池山 栄一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高齢化は誰もが避けて通れないだけに,「日本の社会福祉をどうすべきか」というテーマは重大。わが国では現在,高齢者1人の社会保障の原資を4.2人の現役が負担しているが,実際の介護サービスの大半を支えているのは主婦の無償労働であり,「老・老介護」が放置されるケースも目立つ。
しかもその費用負担は今後の人口推移によってさらに重くなる。わが国の総人口は2007年をピークに減少に転じ,21世紀末には約6700万人に激減するが,高齢人口の割合は相対的に増大するので後続世代の負担が激増するのだ。高齢者1人の社会保障負担は,2025年には現役2.2人の肩に,2050年には現役1.7人の肩にのしかかろうとしている。
一方,2000年4月にスタートした介護保険法が早くもつまづきを見せている。費用負担(徴税)だけは平等化したが,期待されたサービスの機会均等や質の向上は見られない。介護保険制度では実際の介護サービスを提供するのは都道府県指定の介護ビジネスだが,ビジネスである以上利潤追求は必然で,大手介護ビジネスは不採算地域から早くも撤退し始めている。このままでは税金だけは取られながら,一部の地域では介護サービスが受けられないという,公権力による「やらずぶったくり」がまかり通ることにもなりかねない。
本書はこうした福祉の商品化に代えて「参加型福祉」を提唱する。そしてその背景にはすでに15年を経て来た実践の裏付けもある。その狙いは「地域の中で自立をたすけ合い,自分のかかわり合った人たちの中で,幸福に生きかつ死ねるコミュニティー・ケアを自前で創り出すこと」にある。つまりお仕着せでもなくほどこしでもなく金儲けでもない,地域における福祉負担の共有化と世代間の順送りなのだ。
もしわれわれが「人間らしい顔をした福祉」を望むとしたら,ここから出発するしかないのではないか。この一書にはそう思わせるだけの説得力が確かにあると言えよう。
(C) ブックレビュー社 2000
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