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戦後短篇小説選 『世界』1946−1999 2 みんなのレビュー

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紙の本

長谷川四郎「家常茶飯」が唯一の◎

2000/07/10 00:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『1』に引き続き『戦後短篇小説集 2』を読んだが、日本の自称作家らの才能のなさというか、「随想」を小説と騙る図々しさは、今も昔も変わらぬことを知って仰天、また、「これはつまらない」と突き返さなかった『世界』編集部の見識のなさにも呆れた。本書には、1951年〜57年まで雑誌『世界』に載った阿部知二から長谷川四郎までの12篇が載っているが、とりあえず6篇読んでみた。その6篇とは大岡昇平「鷹」(同人誌でもボツにしたであろう駄作×)、広津和郎「青年期と晩年」(モチーフに著名な作家が出てくるため、その興味から△)、伊藤整「父の死まで」(さらに著名な作家や詩人が登場するので○)、椎名麟三「門のある家」(一応、小説を目指していることを買って△)、三島由紀夫「女方」(これは女方論ではあっても小説とは言い難い×)、長谷川四郎「家常茶飯」(唯一の◎)である。長谷川四郎は「通好みの作家」とのイメージがあり、天の邪鬼のぼくは敬して遠ざけてきたが、本書の他のエッセイ風、批評風自称小説の中に置いてみると巧いので感心した。「家常茶飯」は、「この三カ月の間にわたしの身辺におこった重大事件といえば妻が妊娠したことくらいのものだろう」との私小説的フレーズで始まる。主人公の「ぼく」は船乗り、趣味で、ものを書いてもいる。郊外に暮らす彼は、「戦友小森の妻」と称する女から葉書をもらい「九州から上京した」とあった。この戦争で多くの戦友が死んだ。小森もその一人だった。上船を明日に控えたある日、「山本さんですね」と言ってその女が来訪する。彼女によれば小森は無事に帰還、洋裁学校を経営しているが、自分は離婚したので近況は知らぬと言う。「ぼく」は、小森の死をこの目で確かめたと話すが女は聴かない。女と入れ違いに女房が戻り、「ぼく」の買ってきたカステラを、熱い牛乳と一緒に食べるつもりだったが、妊娠のためか嗜好が変わり、青い夏ミカンを皮のままばりばりと噛んで食べた。「……午前の三時である。六時間かかって書いたことになる。勘定してみると二秒に一字くらい(……)。ぼくは五時には起きなくてはならぬ。さて、二時間ばかり眠るとしよう。睡眠は……ありがたい」で、この短篇は終わっている。57年、すでにメタフィクションの手法を使った斬新さが面白いのだ。「解説」中に「デヴュー」(誤植)と「デビュー」が出てくる。昨今の「素人編集者」の弊害が老舗岩波書店まで汚染したのかと暗い気持になった。

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2016/03/04 12:08

投稿元:ブクログ

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