紙の本
2000/6/4朝刊
2000/10/21 00:15
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京・上野の国立西洋美術館の設計者として知られるスイス生まれの建築家、ル・コルビュジエは、絵画の分野でも、余技の域を超える数多くの作品を残している。本書は彼の絵画作品に目を向け、建築との関係を探りながら、作家の表現の本質に迫っていく。
建築に関しては合理的精神を強調する近代人であったコルビュジエだが、彼の絵画には詩的、神秘的な要素も強く、彼の精神の内面のバランスを保つ役割を担っていたのではと著者は説明する。マッチョな自己像の演出、女性への無理解など、意外な人物像も浮き彫りにしている。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
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ル・コルビュジエが作品を作るに至った心理的な事柄を説明している著書。
コルビュジエの絵画において雌牛が多く用いられている理由や、彼と音楽の関係、建築作品に込められた意図や経緯が書かれている。また、彼の代表的研究であるモデュロールに関する説明もわかりやすく書かれている。現在行われている、森美術館のコルビュジエ展に興味を持っている人にはぜひおすすめ。その催しが倍以上楽しめる。
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再発見 ル・コルビュジエの絵画と建築
(和書)2013年07月04日 14:31
2000 彰国社 林 美佐
ル・コルビュジェさんの全作品集など図書館で借りてみたりしたけれど、それ自体が演出としてあるという。
そういう指摘は他の本でも読んだことがある。しかしそういった演習としてあるものにどのような背景があるのかということは僕にとって謎だった。
だからこの本を読んでそういったものを読み解く試みは参考になりました。
最近考えることは自尊心ということと自己愛ということです。自尊心は社会的なものである意味僕にとってどうでもいいものです。しかしそこを攻撃する人は多い。実際どうでもいいものであるが嫌がらせをされると結構ストレスを感じるものです。そういった経験から自尊心はどうでもいいが、しかし自分を守るのに必要なものでもある。
だから今回のコルビュジェさんの自己演出ということは非常に根底的に必要なことだろうと思う。
自己愛が重要だと思う。それは自然状態としてある。しかしそれだけでは潰されてしまう。そういった社会に対し高次元に自然状態が回復するという至上命令がありえる。それが社会の限界を超える理念だろうと思う。
それは自然状態としての自己愛が社会状態としての自尊心に抑圧され、それに対し自然状態の自己愛が高次元に回復されることが至上命令としてあるという。それがコルビュジエさんの自己演出の根底的意味だろうと思う。