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紙の本
河川改修での近自然工法を概観し,スイスやドイツの先進的事例を紹介。河川を含む総合的計画のあり方を示す
2000/10/06 15:22
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投稿者:ブックレビュー社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
河川を含め,道(モールなど),公園をはじめとする,各種社会資本整備,もしくは計画において,自然のよさを取り入れた近自然工法・多自然型工法が時流になっている。緑はヒートアイランド効果を抑制する働きがあり,このことは多くの研究事例から明らかである。同様に,河川も涼しさを演出し,気温上昇を抑える作用を有する。
河川や緑は人々の心を和ませ,また,文化的側面も強く,屋形船から,夕涼み,川遊びに至るまで人々の生活に密着している。川や緑は人間にとってかけがえのないものであり,恩恵を被っている。こうした問題意識を前面に出した著作が公刊された。著者は水質汚濁,コンクリート護岸の河川に嘆息し,自然を生かした川づくりに携わるようになる。1970年代後半にチューリッヒに招請されたことがきっかけで,わが国に近自然工法を紹介する。 本書が類書と大きく異なる点は,通常は河川工学・生態学・砂防に特化しているのに対し,この著書ではこれらの解説に加え,近自然工法の理念や哲学,さらには環境教育の方向性について取り上げていることである。本文では思想,各組織(主体)の連携のあり方など,ソフト面にページを割き,工学・砂防に加え,社会科学的視点の重要性を随所で説く。
本書では一貫して近自然工法の利点を述べているが,その前に,この工法を正しく理解するうえで,理念を把握し,エキスパートと常に議論するといった5カ条の項目を挙げる。本文は7部構成で,まず,理念が取り上げられる。ただ,抽象的記述は少なく,洪水対策,河川改修のあり方,親水性を高める施策など,設計・施工段階での具体的な方策が示される。続いて河川改修が扱われるが,ここでは土木工学,景観工学,生態学のアプローチで展開され,さらに環境アセスメント,設計事務所・建設業者の選択,契約といった実務的内容も含まれ,総合的な自然工学の姿を示す。以下,維持管理,歴史的遺産としての側面,災害時における近自然工法の優位性(兵庫県南部地震でのコンクリート護岸の被害例など)が述べられる。諸外国の事例も紹介され,大いに参考になる。一般市民をはじめ,専門家必備の書。
(C) ブックレビュー社 2000
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