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紙の本
ぼくも毎年心待ちにしていた「創作学校」の特別講義集
2000/08/23 00:15
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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
辻佐保子さんから3冊目の遺著を贈られた。1冊目は『のちの思いに』(日本経済新聞社)、2冊目は『薔薇の沈黙 リルケ論の試み』(筑摩書房)である。この『言葉の箱』は、その昔、季刊『リテレール』及び単行本編集長、さらには「創作学校」を仕切る羽目に陥っていた折、多数の著者に原稿を依頼、「創作学校」の特別講師もお願いした。むろんその中の一人に、敬愛する作家辻邦生もいた。3本の講義内容は、「小説の魅力」(93年2月17日)、「小説における言葉」(94年2月2日)、「小説とは何か」(94年10月28日) で、これらをまとめたのが本書『言葉の箱』である。この中の「小説の魅力」はソニーの友人と組み、当時、CD化もし、ジャケットの表紙絵は山本容子さんにお願いした。ぼくは年1度の辻邦生の講義、毎年心待ちしていた。内容、話しっぷりともに、刺激的かつ楽しかったからだ。佐保子夫人の「あとがき」によれば、辻邦生は講演嫌いだったが、『詩と永遠』(79年〜87年までの9講演。88年・岩波書店刊)、『言葉が輝くとき』(85年〜92年までの13講演。94年・文藝春秋刊)の2冊があり、さらに辻邦生にとって「小説を書く根拠や目的、方法をめぐっての思索は、実際の創作活動とほぼ同じ比重を持つほど、大切な仕事」であり、この系列の最初の本『小説の序章』(河出書房新社・後に中公文庫)、さらには本書を発展させた論考「情緒論の試み」(未刊。雑誌『思想』に10回[77年〜78年]連載)もある。早く本にすべし!未刊といえば『リテレール』の編集長時代、日経新聞連載のエッセイ『生きて愛するために』(現在は中公文庫)を単行化させてもらったが、その折、『音楽芸術』(音楽之友社)に連載した「音楽論」(タイトルは失念)も欲しいと頼むが、彼は版元に遠慮し、まず『生きて…』をくれた。この「音楽論」も、どこかで是非本にして欲しい。本書には「小説とは何か」の折、講義のために用意した「ショート・ストーリー」も載っている。辻邦生は何をするにも、いつも真摯かつ情熱的な人だったのだ。
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